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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第三部 功刀康太は邪神と戦う
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第114話 康太は公安と仲良くなる:その19「海は広いな、大きいな!」

 今、俺は夏の海岸にいる。

 周囲には水着姿の男女が多数遊んでいる。

 そう、今は海水浴中なのだ。

 え? この間「修行あるのみ」って言ってなかったかって?


 それとこれとは、また別の話なのだ。

 もちろん毎日修行には励んでいるし、黒幕「アル」の捜査についても俺は関与できていないが順調に包囲網を狭めているらしい。

 根を詰め過ぎても良い事は何もない、息抜きも大事なのだ。

 という「大義名分」を元に、俺からマユ姉ぇに提案してみた。

 そういえば、去年の夏休みはリタちゃんがこっちに来た直後だったので海水浴どころではなかったね。


「そうねぇ、集まれる人だけでも行ったら良いわね」


 よし、マユ姉ぇの許可は貰った。

 後は人選、男組は、正明さん、マサト、タクト君くらいかな?

 吉井教授や豊原医師、中村警視とかは一応声掛けしては見るけど、難しそう。

 女性は、呼べる人全員呼ぶべし。

 それが、今回のミッションの命運を分けるのだから。(笑)

 そうだ、翔太君も誘ってみよう。


「あ、コトミちゃんは無理かもしれないわ」


 マユ姉ぇの一言が妙に気になる。

 大抵イベント事には喜んで来ている彼女が無理とは、どういう意味なのだろう?


「マユ姉ぇ、それはどういう意味なの?」


「それはねぇ、……。私の口からは言えないわ。コトミちゃんに参加かどうかだけ聞いてね。それ以上は聞いちゃダメよ」


 何か事情があるんだろうか。

 個人のプライバシーに係る事だし、医療の心得があるマユ姉ぇが知っている事だから健康に関する事かもしれない。

 なら無理強いしないでおこう。


「うん、分かったよ。参加するかどうかだけ聞くね」


  ◆ ◇ ◆ ◇


 そして雲一つない晴天、気温35℃真夏日という海水浴日和になった当日。

 マユ姉ぇお勧めの海水浴場に俺達はいた。


「まぶしー、すながあついね、おねえちゃん」


 リタちゃんは麦わら帽子に薄めのサングラス、しっかりとUVカットの日焼け止めを全身に塗っている。

 リタちゃんは種族の特徴上どうしても身体色素が日本人よりも薄いために、日焼けというより火傷になってしまうので、いつもより念入りに防御している。

 水着は青ベースのシンプルなAラインワンピース。

 リタちゃんの華奢(きゃしゃ)だけど少女期特有の綺麗なボディラインを美しく見せている。


「リタちゃん、そこ危ないから気をつけて」


 ナナは、ピンク系のセパレーツ。

 胸の部分にフリル地を多く用いていて、いつものボーイッシュ系よりはカワイイ系。

 元気系な子がガーリッシュなのは、イメチェンを考えたのかな?

 髪の毛は編みこんでいて、こちらもいつもとは感じが違うけど、もちろん可愛いぞ。


「ワシ、砂の城つくるんじゃー! ショウタ殿、マリ殿一緒に来るのじゃ!」


「ちょっと待ってよ、チエちゃん。足元熱いんだよ」


 元気いっぱいのチエちゃん。

 真っ赤な競泳タイプのワンピースで、今にも砂浜に飛び出していきそうだ。

 こちらは逆にナナばりのツインテールにしていて、可愛いね。

 

 父親の仕事が忙しくて夏休み遠出が出来なかった翔太君。

 教祖さんに話してみたら是非とも連れて行って自分の分も遊んでやって欲しいとの快諾を受けて、守護霊のマリちゃん共々来ている。

 マリちゃんは元々水系のモノ、海を見て眼を輝かせている。


「チエちゃん、準備運動とかしなきゃダメよ。ケイコちゃんも言ってあげてよ」


「うん、カオリちゃん。2人とも日焼け止め塗らないと、後で痛くなるわよ。翔太君も気をつけないと。マリちゃん、2人が無茶しないように見てて上げてね」


 高校生組は、2人とも見事なスタイルをビキニで覆っている。

 カオリちゃんは、紺系のホルターネックタイプ、圧倒的なバストを惜しげもなく見せつけている。

 ケイコちゃんは黄色系のチューブトップ、胸も十分だけど腰回りのラインを綺麗に見せるハイレグカットが良い。

 2人とも腰回りに同配色のパレオをおしゃれに巻いている。

 今回2人は念願のマリちゃんに会えて、行きの車内ではチエちゃん、マリちゃん、翔太君は女子高生のお姉様達のイイおもちゃになっていた。


「やっぱり暑いですね、先輩」


 一応声かけてみたら来てくれたコトミちゃん、水色のタンキニ系水着で上にラッシュパーカーを着ている。

 暑いのならパーカーを脱げばいいのに。


「コトミちゃん、無理はしなくて良いのよ」


 マユ姉ぇは、何故かいつもよりコトミちゃんを気遣っているように思う。

 マユ姉ぇの水着は、黒のワンピースだけれどもスリットの入り方やハイレグ具合がアダルティさを演出している。


「『アル』の件は一応大丈夫だとは思いますが、皆さん油断はしないで下さいね」


 仕事柄、周囲に気をめぐらして鋭い視線を飛ばすアヤメさん。

 彼女はその鍛えられた雰囲気通りの黒系競泳型水着。

 普段はワンレンにしている髪を高い位置から細めのポニーにしており、その(たたず)まいと姿含めて、鍛え上げられた日本刀にも似た美しさがある。


「姉御、やっぱり綺麗だ」


 そこに見惚れるタクト君。


「コウ、荷物はここに置けば良い?」


 今回、大荷物を運ぶのも手伝ってくれたマサト。


「いやー、絶景ですね」


 この絶景なのが、海辺の風景なのか、女性を含めてなのか分からない発言をしている吉井教授。

 アロハスタイルにサングラスが妙に決まっていて、ナウなジジイ風だ。


「ほんと、良いですね」


 娘達が仲良く遊んでいるのを微笑ましく見ている正明さん。


 今回のメンツは以上だ。

 なお、男どもの服装の説明がざっとなのは毎度の仕様だ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「きゃー!ボクに集中攻撃は無いよぉ!」


「つめたーいよ、おねえちゃん」


「ならば、こうじゃ!」


「僕もまけないぞー。マリ、後ろからやっちゃえ!」


 海辺では3人の姉妹達と翔太君、マリちゃんがはしゃいで水かけっこをしている。

 それを楽しげに眺めているマサト。

 童顔坊ちゃん風なマサトだから違和感は無いけど、見方によればロリを鑑賞している危ない人に見えるやもしれない。


「そうなんですか。筋肉もあるのにスタイルがお綺麗ですもの」


「ワタシ、なかなか贅肉が落ちなくて困っているんです」


「若いうちはダイエットよりも筋肉をつけた方が綺麗な身体になるわよ」


 向こうではアヤメさんが女子高校生組にダイエット講座をしている。


「姉御、俺も相手してくださいよ」


 そこに入りたくても入れないタクト君、可哀そうに。



「これでどうですか?」


「うーん、これは厳しい手を打ってきますね、教授」


 テント内の日陰では、吉井教授と正明さんがポータブル将棋で勝負中。

 なかなか拮抗したイイ勝負っぽい。

 ただ、教授は、何故かコトミちゃんの方を時々チラ見している。

 どうしてだろう?

 それを不思議そうに見守る「ぐっちゃん」と狛犬たち。

 また付いて来たがったので、大人しくしている条件で連れてきた。



「お姉様、こういう場合はどうしたら良いんですか?」


「そうね、コトミちゃんならいくらでも手はあるわよ」


 こちらではマユ姉ぇがコトミちゃんと談笑中、今日は妙に二人の距離が近い気がする。



 かくいう俺は、マユ姉ぇ達や正明さん達がいるのと同じテント内で一休み中。

 俺、さっきまで妹達に引きずられて引っ張りまわされていた。

 普通に泳ぐのなら良いのだけど、魔法によるダイナミックな遊びになっていたので酷い目に遭った。

 尚、流石に他人の目があるので、マユ姉ぇから魔法自粛が言い渡された後は、若年組(1人1000歳オーバーはいるけど)は大人しく普通の遊びをしている。



「コウちゃん、私飲み物を買ってくるからお留守番お願いね。タクト君、荷物持ちお願い!」


「はい、お母様!」


 コバンザメのようなタクト君を連れて買い物に行くマユ姉ぇ。

 そしてここには俺とコトミちゃんだけが残った。

 なんか、今日は妙にしゃべりにくい雰囲気があったのだけど、それをコトミちゃんが打破してくれた。


「先輩、今日はアタシを誘ってくれてありがとうございます。こんな機会が無いと海なんてなかなか行けないですもの」


「こっちこそ、無理に連れ出す形になっちゃってごめんね」


「先輩が謝る事なんて何もないのに、なんで謝っているんですか? おかしな先輩」


 そう俺に笑いかけてくれるコトミちゃん。

 でも何かいつもとは違う気がするのは気のせいだろうか?

 普段ならもう少し発言に「毒」があって生意気風なのに。


 そのうち、大荷物を抱えたタクト君を引き連れたマユ姉ぇが帰ってくる。


「コウちゃん、コトミちゃん。皆に飲み物を配るのを手伝ってもらえない?」


「はい、じゃあ先輩これをお願いしますね」


 そうしてコトミちゃんからスポーツドリンクを数本受け取った時、コトミちゃんのラッシュパーカーの袖から彼女の腕が見えた。


 え!

 そうか、そういう事だったのか。

 俺は動揺を一切見せない様に精神ブロックを貼って、何もなかったように笑ってコトミちゃんからジュースを受け取った。


ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。


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