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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第三部 功刀康太は邪神と戦う
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第104話 康太は公安と仲良くなる:その10「事故対応!」

「何が起こったのじゃ? あれは花火じゃないのじゃ!」


 俺はチエちゃんの声で燃え上がっている爆発場所を良く見た。

 花火打ち上げ場所は港湾地帯、しかし爆発したところはそこから1kmは離れた工業地帯。

 確かあの方向には変電所があったはず、そこでの事故なので停電が起こったのか?

 しかし事故だと思うけど、花火が落ちての引火にしては距離がありすぎる。


「はい、急いで消防、救急の出動をお願いします。私も現場に行って住民の避難の応援等致します」


 アヤメさんは早速警察本部へ連絡していた。


「アヤメさん、俺もお手伝いに行って良いですか?」


 幸い、俺は身軽に動ける格好だし、三鈷杵さんこしょもあるから術で支援も出来る。


「お願いできるかしら。他の皆さんは危ないですのでお(うち)へ一旦帰ってください」


「正明さん、マサト君、教授、お嬢さん方を案内して先に帰ってもらえますか? 私も医療関係でお手伝い出来ますから一緒に行くわ」


 マユ姉ぇ、確かに助かるけど浴衣で大丈夫?


「なら、ワシら術使いも出番じゃな」

「ボクもお手伝いしちゃおう」

「おねえちゃん、わたしも」


 妹達もやる気満々だけど、チエちゃん以外は術の媒体無いでしょ?


「チエちゃんは良いけど、ナナ達道具無しでどうするんだい?」


「それならワシが持ってくるのじゃ! ワシが知っているアイテムなら、どこでも呼び出せるのじゃ! 『ど○○もドアぁ』!!」


 チエちゃんは、空間に穴を開けて手を突っ込むと、光兼サン、九十九神(つくもがみ)小物(ビット)サン達、リタちゃんの魔法少女(ステッキ)に俺の独鈷(とっこ)と小手を取り出した。

 うん、確かに「どこでも」取り出せるけど、旧アニメ声優さん風の掛け声でやらんでも良い気がする。

 こういういつでもギャグを挟んで場を和ませるのがチエちゃんだ。


「先輩、なにか嫌な気配、それも人外のモノを爆発方向から感じます。皆さん気をつけて下さいね」


 コトミちゃんは、少し顔を青くして俺達を心配してくれる。


「うむ、確かに良からぬ気配じゃな。これは戦闘の覚悟も必要なのかもしれないのじゃ」


 チエちゃんもさっきのギャグから一転して真剣な雰囲気。


「すいません。でしたら私の愛刀も呼んでもらえませんか?」


 アヤメさんの問いに、


「すまんのぉ。アヤメ殿の刀はワシ見たことすら無いのじゃ。じゃから呼び出す事はムリなのじゃ。代わりにこの光兼(みっちゃん)殿を使うと良いのじゃ。みっちゃん殿、母様(かあさま)構わないじゃな?」


「私は良いけど、みっちゃん良い?」


〝緊急事態じゃし、凄腕の女性(にょしょう)に使って貰えるなら、(それがし)構わぬぞ〟


「ありがとうございます。では光兼(みつかね)殿、宜しくお願い致します」


〝うむ、確かお主は打ち刀が得物(えもの)だそうじゃな。では、その様に変化(へんげ)するのじゃ〟


 そう言って光兼サンは普段の短刀姿から普通の日本刀サイズまで大きくなる。


「これは素晴らしい。助かります」


 俺はバックから「ぐっちゃん」と狛犬ズを出す。


「ぐっちゃん、カオリちゃん達を守ってね。狛犬君達はナナをお願い」」


 それぞれの「ぐぅ!」って声を聞いて俺は三鈷杵を準備した。

 さあ、急いで現場に行かねば。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 三鈷杵に光を灯した俺と杖に光の玉をつけたリタちゃんを先頭に俺達は火災事故現場へ早足で行く。

 下駄では動けないので、女性陣はチエちゃんに靴を呼び出してもらっている。

 アヤメさんの靴もチエちゃんが昼間に見ていたので無事持ってこれた。


「はい、そうです。了解しました」


 アヤメさんが警察から電話を受ける。


「皆さん、事故現場は変電所横の公園、そこで爆発が発生しそのあおりで変電設備が破壊されて停電になっているようです。変電所では初期対応が間に合って大事故にはなっていないようですが、公園側では火災が発生、近隣工場や家屋に延焼中との事です。消防隊も到着済みですが、謎の存在の為に消火活動が邪魔されているとか」


 アヤメさんの報告にある謎の存在というのが事故を起こした元凶か?


「じゃあ、俺達の仕事は非難指示と応急手当に謎の存在の撃退かな?」


「うむ、そうじゃな。タクト殿、お主は火炎のコントロールは出来るのか?」


 チエさんの問いにタクト君は渋い顔で答える。


「チエ(あね)さん、実は俺それが上手く出来なくてグレて里から逃げ出したんだよ」


「うむ、それはしょうがないのじゃ。でも試してはみても良いのじゃ! 修行しておるから、もしコントロール出来ればラッキーじゃし、出来なければ次に出来るように更に猛特訓じゃ!」


 やっぱり能力を生かせなくてグレたのね、タクト君。


「はい、やってみます。姉さん、姉御!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


 現場規制線の前まで来た俺達。

 その向こうでは爆炎が巻き起こっている。

 あんなに爆発物が工場にあるんだろうか?

 また爆発の起こる場所がどんどん移動しているように見える。


 規制をしている警官の方に警察手帳を見せて話していたアヤメさん、


「では、マユお姉様はナナちゃんやタクト君といっしょに消防・救急の救護所へ行って下さい。コウタ君とリタちゃん、チエさんは私と一緒に奥へ来てくれますか?」


「はい、じゃあ(みんな)怪我しないように気をつけてね。お家に帰ったら美味しいスイカ冷やしてあるから、それ食べるまでは気を抜かないでね」


「そうじゃ、遠足も冒険も戦闘も家に帰るまでが大事なのじゃ。皆の衆(みなのしゅう)抜かるではないのじゃぞ!!」


 マユ姉ぇとチエちゃんの掛け声で俺達は意気洋々とそれぞれの「戦場」へ向かった。

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