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鯉の餌やり  作者: ガイア
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私と彼のこいのえさやり

私の多少体験談が入ってます。後は過去に私がした妄想のようなものでしょうか。

私は本当に好きなんですよ鯉の餌やりが。


私は、鯉の餌やりが好きだ。


どこが好きなのか、そう言われてみればそうだな。そんな事は考えた事はなかった。

だが、強いていうならそうだな。


鯉達が、私が池の前に立つとスゥッと集まってきて餌を待ち、私が餌をあげると喜んで餌を奪い合う。

私が次の餌をあげるのを待ち、スイスイと泳ぐ姿はなんとも可愛らしい。

この鯉達は、私が餌をあげないと生きていけないのだ。

私がこの鯉達に餌をあげる事で鯉達は生きていける。だから私の周りに集まってくる。

私の手からじゃないと食料を得られないという姿が、とっても可愛くて愛おしくてたまらないのだ。


いつか、私が鯉達の餌になって池の中に入り体を啄ばまれながら鯉達の胃の中に入るというのはどうだろうか。

そう考えると非常に興奮を覚える。


結局のところ私は、鯉達が私の手によって生かされているという事実に満足感を得ているだけのただの変態なのだろう。

この事実を過去に友人に話した事がある。


「鯉の餌やりにそこまでの情熱を抱いてるやつは世界を探してもお前しかいない。ただ餌をあげるだけじゃん。じゃあ公園の池の鯉とかはどうなの?」


成る程、確かに都会の公園だと鯉がいて、その鯉に餌をあげる事ができるところがある。

実際に私もあげた事があるが、あれはあまり興奮しなかった。

隣に子供がいたからというのもあったかもしれない。隣に5歳くらいの女の子が鯉に餌をあげていた。

私は、その女の子の周りにバシャバシャと群がる鯉を一目すると、そちらに集まらず、端っこで泳いでる一匹の鯉に山程餌をあげた。

持っている300円の餌が尽きるんじゃないかというくらいたくさん、その赤と黒のどこにでもいそうな鯉にあげた。

その鯉は一人で食べ放題だ。喜んで食べていた。私はその鯉が食べている姿を見ながらきっと、満開の笑顔を浮かべていただろう。


「可愛いなぁ」


私は、結局のところ他の人に餌をもらって尻尾を振って喜んでる不特定多数の鯉より、はぐれものの餌をもらってないような鯉が、私にたんまり餌をもらって喜ぶ様子を見るのが好きなのだ。


私は成長して大人になってもきっとこの変なこだわりというのだろうか、こだわりとも少し違うか。

こういう気持ちは変わらないのだろうな。


***


だが、私も成長して恋をした。

同じ職場で上司からパワハラを受け、いつも隅で悪口を言われながら一人コンビニでご飯を食べている痩せ型で新入社員の眼鏡をかけた真面目そうな男の子。

私は彼の直属の上司となり、彼の世話をするうちに私は少しずつ彼に興味を持つようになった。


彼は金魚を飼うのが好きらしい。

私は、鯉の餌やりが好きだという事で彼と話が盛り上がった。長い髪の毛の隙間から覗く金魚の餌やりの話をするときの彼の楽しそうな顔を、私は素直に可愛いと思った。

彼は池で金魚を飼っているらしい。


「よかったら、僕の家で金魚見にきませんか?」


突然の誘いだった。


「いいよ」


彼は、完全に私に心を許している様子だった。

それはそうだろう。職場で上司にパワハラを受けていた彼を、時に彼を守り、時に彼を褒め、変な言い方をすれば餌を与えて、ここまで心を許してくれるようになったのだ。

私が彼を育てたのだ。

そうだ。私が彼を育てたのだ。

誰からも餌をもらえない彼を、私からしか餌をもらえない彼を私が餌を与えて自分に懐くように、私が彼に声をかけるだけで彼の顔がぱあっと輝くようになったのは──私が。


「──さん。見てくださいこの丸々太った僕の金魚。可愛いでしょう」


ハッとして彼を見て微笑む。


「そうだな。その赤いのなんか、可愛いな」


「はい!この子は一人だけはぐれもので餌も最初はなかなか食べてくれなかったんですけど、水槽を分けてあるものを与えるようになったらこんなに大きく成長してくれたんですよ」


「あるもの?」


「はい!」


そう言って彼は、小さな黒い土の入った虫かごを持ってきた。


「見てください!これ、なんだと思います?」


満遍の笑みで微笑む彼に、私は目を見開いた。


「これは、ミミズか?」


「はい!ミミズです!」


彼は、虫かごの中に手を入れミミズを手に取って怪しく笑った。


「ふふっ、くひ、くひひ。見てて、見ててくださいね」



彼のいくコンビニではガチムチの店長がイケメンの副店長と一緒に働き、オフィスにはマスクをした口裂け女がいるという狂った職場。


同じ作者の書いたコメディ小説深夜のコンビニバイト始めたけど魔王とか河童とか変な人が来すぎて正直続けていける自信がない。も読んでね。

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