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さぁさぁ皆さんお待ちかね!家庭用ゲーム機が出てから一世紀。遂に!遂に、VRMMOが出たのです!ええ、そうですとも。没入型ですよ!頭の中から脳波を取り出して擬似的な異世界に感覚を飛ばす!これが現実になった!まぁまぁ、落ち着きたまえ。ん?俺か?俺は落ち着いているとも。めっちゃ落ち着いている。興奮しすぎてドッタンバッタンしたりはしてない。大丈夫。ノープロブレム。むしろ落ち着きすぎて悟りの境地に至ってる。安心したまえ。


さて、確認だ。本日、没入型のVRMMOのタイトルが発売された。この没入型VRMMOは長年課題とされていた脳神経への干渉による人体への影響を、クリアした。どうやってクリアしたのから機密らしいが問題ないらしい。問題あってもやるけどね!やる人いっぱいいると思うけどね!むしろ自分から実験台になるまである。

と、新しいこのタイトルなのだが、どうやら小説に良くある感じの西洋風の世界観らしい。らしい。としか言えない。何故かって?βテストが一切なかったんだよ!ふざけんじゃねぇ!やりたかったよ!何一つ情報公開されなかったせいで昼しか寝れなかったよ!


で、なんだっけ。あ、そうだった。その、新しいVRMMOなのだが、ええ、そうですとも!家に来ています!初回生産分10万本、当たりましたとも!倍率は知らん。が家に来たということが重要なのです。漏れた奴など気にするに値しない。私の目の前にある!それが重『うるせぇ!』


おや、下の階の人が天井を叩いたようだ。わざわざ叩くなんて暇なのだろうか。私を見習えばいいのに。見ろ、この落ち着きよう。悟りの境地を飛び越え人類の限界で平泳ぎをしているよ。


さて。やるか。


さて。やるからにはアレを言わないとな。ん?アレだよアレ。


ん?分からんのかね?ほう。

なんと嘆かわしい。最近の若い子はこんなことも知らんのかね。はぁ。仕方ない。私だけで言うとするか。


まず、ヘッドセットを付ける。これは脳波をどうやらどうのこうのするらしい。仕組みは企業秘密らしい。

次に体がすっぽり入る…この…なんて言うか…棺桶?に入る。なぜこれに入らなければいけないのかはしらん。大丈夫。知らなくてもゲームは出来る。知る必要はない。


そして最後にアレが必要だ。アレを言わなければ始まらない。それがトリガーとなって仮想空間にダイブする。
























さて。どうやらここが仮想空間のようだ。


何もねぇ。なんにも無い。


真っ白。


ん?なんも言わなかったって?


せやの。言わなかったの。


いう必要ないからな!


騙される方が悪いんだよ!


あ、ごめんなさい。やめて。卵投げないで。ここ仮想空間なのに、何でか卵飛んでくるけど投げないで。痛いっす。ベチャってするからやめて。めっちゃリアルに卵だから痛い痛い。殻が痛い。って。


「痛てぇだろうが!」


めっちゃ痛てぇよ。目の前の白いうさ耳の浮かんでる奴からめっちゃ飛んでくるよ。痛い。あ、目に入った。


「痛てぇ!リアルすぎんだよ!あとやめろ!投げ続けるのやめろ!めっちゃ痛てぇから!無視したのは悪かった!悪かったよ!だから卵投げないでくださいお願いします。」


目の前に白いうさ耳の浮かんでる奴がいる。俺に卵投げてきた奴がいる。半目でまじ怖ぇ。睨まれてる。


さて、質問です。

こいつはいったい何者でしょー!

1.うさ耳

2.うさ耳バニー

3.通りすがりの人

4.ちょっとお腹空いた通りすがりの人

5.明日が給料日の通りすがりの「さっさと始めさせろ!」グフッ


蹴られた。皆さん。見ましたか。蹴られましたよ。蹴られて10mは飛びましたよ。めっちゃ痛てぇ。超絶痛てぇ。


「始めさせていただいてもよろしいですか?」


何事も無かったかのように進めようとしてやがる。


「では説明を始めさせていただきます。」


まだ何も言ってねぇのに始めやがった。


「こちらのVRMMO、『DIVE IN』をお買い上げいただきありがとうございます。ただいまより各種設定、説明を担当させていただきます、管理AIの『Ein』です。」


自己紹介始まったぞおい。こっちは卵投げられて蹴られたんだぞおい。


「先程は失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。」


お、謝った。しっかたねぇな。許してやろう。まあ、俺は寛大だからな。仕方あるまい。ただし!俺の前に跪けばな!


「おう。こっちも悪かったな。ゆるしてやらんこと「ふざけるなぁ!」グフッ」


いいキックだ。それなら世界を狙えるぜ…。


じゃねぇよ。なんで蹴られるんだよ。むしろなんの前触れも無かっただろ。


「この空間にいると相手の心が読めますので。」


嘘やろ!?プライバシーが!俺の頭の中を全部見られてるだって?!俺の心の中のあんなことやこんなことが!


「エッ「エッチなのはあなたの頭の中です。」グフッ」


蹴られた。


「進めてよろしいですか?」


あ、はい。


「では、説明させていただきます。」


いぇあ。


「では、初めに簡単な世界観から説明いたします。」


ほう。確か、西洋風だと聞いたが。


「概ね正しいと言えます。正確には西洋風、中世ヨーロッパ風の世界もある。ということですね。」


ほう?も?え、世界一つじゃないの?普通、こういうゲームって世界は複数ないよね?


「開発者の努力のたまものですね。一つの世界でサーバーをゲーム一つ分使っております。」


そりゃ豪気なことで。


「中心にある全ての世界と繋がっている世界『loam』。ここはこれといった世界観は存在しません。」


お?そりゃどゆことで?


「ここはプレイヤーの世界です。中心の街を基盤として、プレイヤーが自らどのような街にしていくかを決めていくのです。」


なるほど。なかなか面白い。


「中心の街には他の世界に向かうことの出来る”門”が存在しますのでそこから各世界へ旅立ってもらいます。もちろんいつでも門を介して『loam』へと帰還可能です。」


ほぇ。なるほど。てことは、グランドクエスト的なのは?


「各世界へ向かった先、それぞれで存在します。」


理解した。


「プレイヤーの皆様は『渡り人』として旅立ってもらいます。職業と言うよりは人種として『渡り人』といったニュアンスでしょうか。」


なるほどね。めっちゃ面白そう。


「続いて、NPCについての説明に移ります。」


お。あれかな。いわゆる生きてるよー的な?


「その通りです。各世界全てに現地人、もしくは何らかの手段によって交流可能なキャラとしてNPCは存在します。隠しステータスとして好感度が存在しますのでNPCと関わる際にはお気をつけください。」


おーけーおーけー。俺の性格的になんら問題ないな。ここまでの行動をみろ。満点の行動だろ?


「…続いてステータス等の設定に進みます。」


おっと?スルー?まさかのスルー?え?マジ?


「他のゲーム、小説などにおけるいわゆるステータスのようなものは存在しません。正確には隠しパラメータのようなものとして存在します。各プレイヤーの行動によって上下し、プレイヤーの動きを補助します。また、職業など様々なことに対して必要とされる場合があります。しかし、見ることは基本的に不可能です。スキル等でのみ確認可能です。しかしながら、何も見えないのでは不便であると思いますので、こちらのドッグタグをお配りしています。」


そう言って差し出されたのはメタリックな色をしたトランプを半分にしたぐらいのサイズの板だった。


「こちらにはプレイヤーネーム、レベル、称号が記録されます。」


なるほど?


「プレイヤーネームはこの後設定していただきます。常識的な名前を付けてください。」


おやおや。俺がそんな見せるのも恥ずかしくなるような名前をつけるとでも?


「レベルはステータスにより総合的に算出されます。経験値などはありませんのでお気をつけください。」


スルー!安定のスルー!

レベルが存在しないのはどうなのか。あれかな。レベリングとかが無くなるのかな?


「称号は各プレイヤーに与えられる行動の証です。多種多様な無数の称号が存在します。ある一定の行動をすることで自動的にドッグタグに刻まれます。また、一部の称号にはステータスなどに影響を与えますのでご留意ください。」


おお。称号ってあれだよな。あれ。うん。あれだよ。なんて言うかあれよ。


「ではプレイヤーネームをお決めください。」


よしよし。ほいほいほいっと。


「『トーラン』でよろしいですか?」


ハッハッハー!期待したかね?期待してた?へんてこな名前つけちゃうの期待しちゃった?残念だったなぁ!落とすと見せかけて落とさない!これも技術よ!ざまぁ見あが「よろしいですか?」


あ、はい。すんません。


「では、ドッグタグに全て刻み終わりました。ドッグタグは紛失することはありませんのでご安心ください。なお、操作するキャラであるアバターは自動スキャンの後ランダムで一部を変更したものが使用されます。それではどうぞ。『DIVE IN』の世界へ。」


待ちたまえ!


「はい?」


危ない。もう少しで逃す所だった。

Ein?と言ったかね?君、どうだ。私の元に来ないかい?いや、違うな。一緒に来てください。一目惚れしました!お願いします!


「…頭の中で変なこと考えてません?」


めめめめめめ滅相もない!ままままままさかあんなことやこんなことをしようだなんて考えてもいませんとも。


「…お断り申し上げます。」


えー!もう。連れないなぁ?一緒に来ようよ?


「…管理AIですので。」


残念だなぁ。一緒に入れれば自慢できたのに。


「…では転送します。」


え?もう?マジ?待って待って。私のAI惚れさせてハーレム計画が!待って!


「二度と会わないことを願っております。」


待ってぇぇぇぇぇぇぇぇ…



《«『Ein』の微笑み»を取得しました》


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