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一話

久しぶりの更新です。



 それにしても、見渡す限りミニチュアの世界だ。

 本当に人は居るのだろうか?それに人間が居たとしても、このミニチュアサイズの世界で豆粒のような存在を見つけられる自信が無い。

 この世界に来て何故か視力がすごく良くなってはいるが、二ミリの存在を十メートル先で探して下さいと言われても普通は無理だ。

 腰に手を当てて見渡しても色々な凹凸があり、その凹凸のどれが動物でどれが植物か、私には見分けがつかない。

 

 町や村ならそれなりの大きさだ。だが、そう安易に近づいても良いのだろうか?普通ならパニックだ。

 

 想像してみよう。

 

 

 平穏な毎日を送っていた所に、突如山より高い身長の女が遠くの方からやってくるのをコテコテの体育会系の顔をした村人の一人が目撃する。

 ゴミ虫の如く、わらわらと体育会系顔に集まる村人達。

 村人達は動揺しながら「なんだあれは?」「ママ?何が見えるの?」「大きいわね......」等と互いに危機感の無い、しょうもない感想を述べあっていたが、一人のチャラい顔の村人の青年が放った言葉で事態は急変する。

「なあ、あれ......こっちに来てないか?」

 青年の一言はその場の群衆を静まりかえらせた。

 暫しの沈黙の後、村中は大パニック、皆が閉鎖的で無学な頭を必死に回転させながらあっちこっち村人全員が走り回る。

 右往左往しながら、学の無い頭で無い知恵を絞りあって出した村人達の結論は、

『そうだ、山神様に謝ろう!』

 と言う何とも的外れな結論に無事たどり着き、村人達は日々のしょうもない訓練で培った技術を遺憾無く発揮し、短時間で祭壇を組み立てあげる事に成功する。

 村人達は迫りくる巨大な女を尻目に、祭壇に向かって只ひたすらに感謝の舞を村人達全員で踊り続けるが、無情(笑)にも巨大な女がすぐそこまでやって来た。

 村の前に立ち止まる女の前で、ひたすら感謝の舞を踊り続ける村人達。

 巨大な女はそんな村人達が踊る感謝の舞を数十秒眺めた後、

「何やこの踊り、だっさ。踏み潰したろ」

 山神様に感謝の舞を踊っていた村人達は無事、その願いが届く事無く、一踏みで村人全員がキレイサッパリ巨大な女の足裏の染みになりましたとさ。

 

 

  おしまい。

 


 


「ねぇわ」

 

 この大きさの私が安易に村に近づいたらどうなるかを考えたが、その想像の結末に一言言うとしたら、

 

「マジねぇわ」

 

 に尽きる。

 私は普通にどの様な反応をされるか考えたのだが、何故か私の想像の結論は『私が近づくと村人達は山神様に踊り始める。それを見た私は、その踊りのダサさに呆れて踏み潰す』と言うどうしようも無くシュールな結果が出た。

 私は頭を抱える。

 どういう要素でああいう想像が出たのか、自身の想像力には驚くばかりだ。

 

 自分の無駄に創作力豊かな頭では、まともに考えても独創性豊かな結論しか出ない様だ。と結論を出している中、ふと地面を見ると重大なあることに気がつく。

 自身の五メートル先に、村らしき物が見える。どうやら私は考え事をしている内に前が疎かになっていたようだ。

 自分で安易に村に近づくと余り宜しくない反応をされるかも知れないと、予想していたのに、その宜しくない反応を想像している内に安易に村まで近づくことになるとは。

 

 仕方ない。このまま接近してご挨拶するしかないか。

 

 私はスタスタとその村の側まで近づいて、その村を上から覗きこんでみた。

 近づいて分かったが、ここは小さな村の集落だ。

 村人達が怯えているかと心配していたが、その村人たちは、

 

 くっそだっさい踊りを沢山の村人達が祭壇に向かって踊っていた。

 

 彼らは必死の形相で、くっそセンスの無い音楽と共に、しょうもない踊りで必死にお祈りをしているようである。

 

 村人達のダサい踊りを暫し無言で眺めていた私は、気がついたら無意識に「だっさ・・・・・・一思いに踏み潰してあげよ」との言葉と共に、右足を上げて降り下ろしていた。

 

 

 

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