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灰狼  作者: ユダ
出会い
2/4

情報収集

 混乱していた思考もまとまってきたので、状況を整理しておかなければ。情報は大事。


  一つ、なぜ自分は犬になっているのだろうか。

    -わからない。確かに自分は人間であったはずだ。

  一つ、目覚める前に何かがあったのだろうか。

    -わからない。人間であった頃の最後の記憶ですら定かでない。

  一つ、ここはどこなのか。

    -わからない。森の中であるということはわかるものの、日本のどこかであるという確証もない。

  一つ、自由に動けるだろうか。


 わからないことだらけではあるが一先ず最後の疑問だけは試しておかねばなるまい。


 歩く。 

四足歩行の経験はないはずだが、何かに躓くということもなく歩けるようだな。

 走る。 

人間であるときよりも速く走れる!小回りも効くしなかなかよさそう。

 跳ぶ。

そもそもの高さが負けているから頭の位置としては低いが、これは人間時よりも高く跳べるといってもいいだろう。

 

 まあ、基本動作としてはこのくらいで問題あるまい。

 二足歩行の手の細やかさは使えないが基本スペックは高いな。

 道具を使えないという不利はあるが。


 五感としては、嗅覚と聴覚はやはり発達しているようだ。

 遠くの音まで聞こえるし。

 土の香りも人間の時よりもはっきりと区別できる。

 視覚もイヌ科は見え方が違うし近眼だとか曖昧な知識ではあったのだが、記憶との差異はないようだ。 

 むしろいいんじゃない?


 体のことは大体分かったので3つ目の疑問を解消するとしよう。

 

 水の近くから離れるのも怖いが、四の五の言ってる場合ではないな。

 少なくとも寝床と食事は用意しなければならないわけだし、どうせ移動することになる。


 食事は…雑食でよかったはずだ。森の中だとねぎっぽいのを抜かせば大丈夫だろう。

 ああ、ブドウも確か駄目だったような。中毒をおこすとかだったはずなので、限界が来たら気を付ければ食べられる…かな?試したくはないな。



 食料の確保を第一目標としてふらふらと歩いていると、今までとは違った感覚が嗅覚へと飛び込んでくる。

 その匂いの発生源へと近づいていくと、どうやら踏み固められた道のようなものが見えた。

 そこそこの道幅があり、木も切り開かれているようだし動物ではないな。


 人間が近くにいないことに少し安堵しながら生き物の気配を探る。

 さすがにこの姿だと出会ってすぐに襲われる可能性もあるからな。

 いずれは情報収集もかねて出会っておきたいところではあるが。



 どうやら人間も動物も近くにいないようなので、注意深く道の様子を見る。

 人間の足跡が多いが轍のあとがあるのでやはり人間の道で間違いない。

 動物の足跡が全くないのが気になるが、人間にわざわざ近寄る動物もいないのだろう。

 轍は…今時馬車でも使っているのか車輪の幅が短いな。

 やはり、日本ではない可能性が出てきたのは痛い。山じゃない森なんて今時そうそうないもんな。

 一先ず情報収集はやめにしてこの道から離れよう。君子危うきに近寄らずだ。



 その後、はぐれた様子の雌鹿を見つけたので、狩りをしてみたが逃げられてしまった。

 人間としての記憶があまりないので特に忌避感はないものの、狩りなんてしたことないからな。

 無理だよな。


 そのあと、暗くなってきたので見つけたネズミを狩って食べたはいいが、あまり美味くない。

 毛の割合が多い。

 ネズミしか狩れない狼…やめておこう。


 少しおなかも膨れたら眠くなってきた。

 少し先に開けた寝床にはちょうどよさそうな場所を見つけ、丸くなる。

 狩りの練習をしなければ食料の安定は見込めないし、犬となってしまったこの状況も情報を集めていかないとな。

 戻らなくても別に困らないが。明日のことを考えていくうちに私の瞼は段々と重くなっていった。

 

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