事件
1話ごとの文字数を1000字~1100字ほどにしようかなと思います。
やはり、出来る限り毎日投稿でやっていきます。
カミサマたち一行が帰った後、第1回家族会議が開かれることになった。
「…で、ユキちゃんは家に住むっていうこと?」
「はい。生活費などは負担するので…」
「それなら、2階の下宿部屋をユキちゃんの部屋にするといいわ。あそこ、ついこの間大学生の子が出ていってから空いているのよねー。あ、生活費とかも気にしないで。6人が7人に変わったところで大差ないわよ。」
「わかりました。では、お言葉に甘えさせていただきます。」
こうして、我が家のメンバーに天使ユキ改め、立花 雪が加わったのであった。
その時、"正午のニュースの時間です。今日未明、日向市 西日向の住宅街で殺人事件が発生しました。被害者は…"というアナウンスとともにテレビ画面に2人の顔写真が映し出された。
「ねえ、西日向だって!隣の市でしょ?こわいねー。」
そう言いながら姉貴は兄貴にちょっかいをかけている。兄貴は「そだねー」みたいなことを言いながら、おそいかかる姉貴の手をいなしている。すげー。
「本当は今日奏の服を買いに行くつもりだったけど、来週にしましょう。危ないわ。よし、昼ごはんにしましょう。」
あ、今日行くつもりだったんだ。いくらなんでもはやすぎんだろ。もうちょっとこの体に慣れさせろ!
◇◆◇◆◇◆◇◆
――――立花家からほんの1kmほど離れたところにある、1軒の家でのこと――――
「おいよぉ…どうなってんだよこれ…」
ガチャ、ガチャッ
ドアが開かれるとともに、家に警察官が入ってくる。
それから先はあまりよく覚えていない。
気が付いたら、病院のベッドで寝ていた。
「よかった、気が付いたのね。」
看護師さんが言う。
「意識が戻ったので、たぶん今日中には退院できますよ。よかったですね、明子さん。」
「ほんっとに。雪まで死んじゃったら私はもう何もできなくなるところだったわ」
いかにもわざとらしい泣きまねをした後、俺の方を向いて笑う。もっとも、その笑顔は安堵などからくるものではなく、下卑たものだったのだが。
「はぁ…」
「私はちょっと家に戻ってくるから、待っててね。」
「わかりました。」
俺は煮えたぎる怒りを抑えるのに必死だった。明子は、また俺のことを利用しようとしているのだ。
ベッドに備え付けられた机を使い、メモを書き残す。
そして、体に刺さった点滴をぶちぎると、3階の窓から飛び降りた。
5分後、部屋に入ってきた看護師と医師が見たものは――
"母と父に会いに行ってきます。"
そう書かれた一切れの紙だった。
明子さんは点滴をぶっちぎった人の伯母さんです。