神、なのだろう?
どうも今晩は、鹿米夕ヰです。
なんと、日間ランキングが昨日の187位から96位へと上がっていました!
まさかの百位圏内......ほんとに何があった............!!
そしてなんと、この度pv30000を記録致しました!!
あれ、おかしいな? つい二日前に、『pv2000』とか言ってた気がするんですけど......?
さらにブックマークも600に突入、総合評価も1500を突破しました!!
本当に皆様のおかげです! 感謝してもしきれません!
さて、前書きはこの辺にして、そろそろ本編へGO!
ではではどうぞ〜♪
『シンよ、そろそろ説明してはくれまいか? 主は......神、なのだろう?』
「あ、うん。俺は神だよ。て言うより、神になったんだけどね............って、あれ?」
戦闘が終わり地上に降りた一人と一匹。リュウさんの子は未だ眠ったままだ。
深夜はリュウさんに、自分が神になった事情を話そうとした。"した"というのは、結局説明する前に中断されたのためだ。
突然、雲が割れた。
深夜達より遥か上空に、光り輝く白い穴が現れた。
『シン! あれはなんだ............!!』
「大丈夫、危険なものじゃないから」
次々と起こる超常に、リュウさんは"またか"といった様子で深夜に問いかけるが、深夜はそれを軽く制した。
深夜は知っている。あれは危険なものじゃない。
(門が開いたってことは、来るのかな?)
そんな深夜の思考を肯定するように、一際輝いた白い穴から、一つの人影が飛び出した。それは真っ直ぐ落下して来ると、寸分の狂いもなく深夜の胸に収まった。
ぽすっ
「おっと。............あー、久しぶり?」
降ってきた人影は女の子の姿をしていた。俯いていて顔は見れない。
腰まで流れる金糸の髪に、深夜の胸に届くかどうかという華奢な体が、今はぷるぷると震えていた。
「............あなたは......」
「............あなたは?」
「あなたという神はっ、神を散々心配させておいて、なにが"久しぶり?"ですかっ!!」
「え!? だ、だって、久しぶりでしょ?」
「そういうことではありません!......そういうことでは、ないんです.......。
私が、私がこの五ヶ月間......どれだけ心配したと思って............!!」
女の子は顔を上げた。
「っ!!」
深夜は、思わず息を飲んだ。幼気の残る、その恐ろしいほど整った顔。その瞳が、今は溢れんばかりの涙を湛えていたからだ。
「......ごめんね?」
深夜は軽く逡巡した後、ゆっくりと女の子の頭を撫でていく。
「......っ。............ふぁぁ」
ぴくっと強張った彼女の体からはしかし、徐々に力が抜けていった。
一分後、深夜の体に完全に撓垂れ掛る女の子が一人。
「......あの、女神様、そろそろ離れてくれないかな?」
「............はっ!」
心ここに在らずといった様子だった女の子は、深夜のその一言でばっと飛び起きた。その顔は耳の先まで真っ赤に染まっている。
深夜は、優しくその子に問いかける。
「それで、どうしてわざわざ地上に降りてきたの? 何も俺に会うためだけじゃないでしょ? 女神様」
「......ぐす、もちろんです。
あなたに会うのが目的で間違いありませんが、抱きついたのはほんの序です。......ほんとですよ? ......ぐすん。」
ところどころでしゃくりあげる女の子の言葉に、深夜は怪訝な表情で聞き返す。
「俺に会うのが目的?」
「そうです。実は________」
『ちょっと待ってくれ!』
深夜から女神様と呼ばれた女の子が、彼に何事かを話そうとした、その時。横合いから声がかかった。
ここまでずっと蚊帳の外だったリュウさんだった。
彼は焦った様子で深夜に問いかける。
『シンよ、この子供は真に女神なのか?』
「うん? そうだよ、女神も女神、他の女神たちの頂点に位置する最高神」
『さ、最高神だとっ!?』
「うん、女神様、リュウさんに紹介してもいいかな?」
深夜がそう言って女の子、もとい女神様の方に視線をやると、何故か彼女は半眼で深夜を睨んでいた。
「ど、どうしたの?」
「シンヤ、出来ればその問いは、私が最高神であると漏らす前に言って欲しかったです......」
「............あ」
「はぁ......まあ、良いですけど......。それに、私としてもシンヤの命の恩龍に名乗らない訳にはいきませんから」
女神様はそう言うと、その貫頭衣のような服装を正し、リュウさんを見据えた。
「改めて、シンヤを守って頂き有難う御座いました」
そう言って深々と頭を下げる。
『いや、我はただ龍族の誇りを守っただけだ、気にするな。
それよりも我は、ただの人間だったシンが怪我が治った途端に神になった、その理由が知りたい』
「ああ、それなら............」
「シンヤ、私から話します」
「そう? じゃあ頼むよ」
「任せて下さい!」
こほん、と可愛らしい咳を皮切りに、彼女は語り出した。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
あの日私はお忍びで、シンヤが住む世界、第一世界、通称地球に来ていたんです。
地球は魔法や呪いといった類のものが公にはされておらず、むしろ敵視される傾向がある世界です。故に、その時の私はすっかり気を抜いていました。
事が起こったのは、私が『おうだんほどう』なる道を渡っていた時でした。大通りから曲がってきた『とらっく』という鉄の箱が、道を渡っていた私に向かって突っ込んできたのです。
もちろん、こんな身なりとはいえ私は他の女神を束ねる最高神なので、その『とらっく』どころか堕ちてきた星が直撃したって、擦り傷くらいのダメージしか受けません。
しかし、私に向かってきたその『とらっく』には、確かに私を殺すだけの力がありました。
何故なら、その『とらっく』表面には、神に対して最悪な、二つの術式が組み込んであったからです。
一つ目の術式は、私の魂をこの体から切り離すもの。
二つ目は、切り離した魂を破壊するものでした。
やったのは恐らく、女神達を目の敵にする男神達ではないかと言われています。
とにかく、その時の私は、その場から逃げ出すことができませんでした......。
神という存在は、傷付くことが稀なその特性上、『死』というものを極端に恐れる傾向があります。
あの時の私もそうでした。
なまじ早い段階で術式を見破ってしまった私は、自分を殺しうる存在が目の前にあるという状況に、ただ恐怖して、足が竦んで、腰を抜かしていました。
そのまま少し経ち、あわや『とらっく』とぶつかりそうになった時、私は突然、横から強い衝撃を受けて吹き飛ばされました。
突き飛ばされた私は思わず振り返り、そして、一人の少年を見たのです。
そう、それがシンヤでした。
彼は、無事に『とらっく』の車線から逃れた私を見て、笑っていました。それは心の底から安堵しているような、そんな綺麗な笑顔でした。でも次の瞬間、その場所にもう笑顔は残っていませんでした。
『とらっく』が、彼を撥ね飛ばしたからです。
私は真っ白になりました。しばらくの間ボーっとして、その惨状を見ていた中の一人に、私にかかったシンヤの血を拭かれて、初めて意識が戻りました。
私が周りを見渡すと、『とらっく』は街角の建物に当たって止まっていました。そしてそこから少し手前には............肉塊になったシンヤの体も。
私は、自分でも気付かないうちに彼の亡骸へと歩いていました。その足取りはふらふらとおぼつかないもので、何度も転けそうになり、それでもなんとか彼の前まで辿り着くと、私は座り込んでしまいました。
原型を止めていない彼の骸を見ていると、なんだか急に、目の奥が熱くなってきて............私は泣き出しました。彼の血で服を染めながら、彼の骸に覆い被さって、沢山沢山泣きました。
そしてふと顔を上げて、それを見つけました。
それはとても明るくて優しい光を発するもの。
彼の、シンヤの魂でした。
如何だったでせうか?
長かったので2話に分割しましたσ(^_^;)