負けられねぇんだっ!! 【勇者side】
さてさて勇者sideの二本目です!
このところ更新していない時間帯からpvが100を突破し、有頂天の鹿米です!
それと、pvが1000を突破しました! ありがとうございます、皆様のおかげです!!
感想も二件、評価も一件新たに入りました!
感想を下さった『二本狐』様、『観測者 7.2号』様、誠に有難う御座いました!
ではではどうぞ〜♪
【一人称:風巻side】
俺達が異世界に召喚され、さらに二つの絶望を突きつけられてから、既に一ヶ月近くが過ぎた。
二つの絶望というのは、一つが元の世界に帰れなくなったこと、もう一つが......一人の同級生の、死亡だ。
この一人、厳密に死亡が確認されたわけではない。だが最早、十中八九確定らしい............。
彼の名前は南風原深夜、召喚当時は学校にはおらず、入院していた筈の同級生だった。
なぜ彼の死亡が分かったか、それは俺達が召喚されてから一週間ほど後のことだった。
だいぶ落ち着いてきていた俺達に、アリスィアさんが問いかけたのだ。もう一人、仲間はいなかったか、と。どうやら召喚に使った魔力の量を考えると、少なくともあと一人は確実に異世界にいるはずなのだと言う。
最初は誰も彼のことだとは思わなかった。彼はその時、教室にいなかったのだから。だが、俺達を召喚するのに使った魔法、その効果を聞いて、俺達はハッとなった。
俺達を召喚した魔法の効果、それは、
________ある一つのカテゴリーに属する人々の、一斉召喚________
俺達の場合、そのカテゴリーとはクラスになるのだろう、そうすると、休んでいる生徒でも同じではないか、俺達はそう考えた。
そしてアリスィアさんにそのことを問うと、答えは是。
召喚は、俺達の教室とルークスキアの王城の位置をリンクさせて行なわれたらしい。それはつまり、元の世界で教室の外にいた休んでいる生徒には、学校と直前にいた場所の位置関係が、そのまま反映されるということ。
偶然にも、彼が入院している病院の場所を知っていたクラスの女子に、この世界の地図を使って(学校を王城に見立てて)病院の大体の位置を特定してもらった。
その結果、病院があった場所は________
________古龍の住処
生存は、絶望的らしい............。
これが、砕けちった俺達の心を、再び粉砕した二つ目の事件。
だが、それからもう一ヶ月近くが過ぎ、俺達も、徐々に前に向かって歩き始めていた。
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「スゥ......はっ!!」
俺は刹那のうちに足に力を込め、つま先を支点に一気に前へ踏み込んだ。瞬間、5mほどもあった対戦相手、香取との距離が、一気にゼロになる。俺がこっちに来てから一番に練習し取得した技術、『縮地』だ。
「おらぁっ!!」
勢いをそのままに、右拳で掬い上げるようにブローを放つ。
恐らく今の俺の動きは、この国の騎士達でも一人、二人見切れるかどうかの筈だ。だが、
「......フッ!」
香取はそれを紙一重で後ろに避け、そこから横に蹴りを薙いできた。
お互い一歩も譲らない闘いに、周りのクラスメイト達から歓声が上がる。
しかし、もしこの光景を、俺達を知る元の世界の人間が見たならば、疑問に思うだろう。
ついこの間まで一般人に過ぎなかった俺達が、何故このように動けるのか、と。
そしてその秘密は............異世界人補正にあった!
なんと王城に召喚された生徒全員に、何かしらの能力が宿っていたのだ!
例えば俺の場合、瞬発力や動体視力などの、全体的な身体能力がかなり跳ね上がっていた。地味という奴もいるが、俺はこの補正が大好きだ。何故かって、自分の体というのは普段から使っているため、身体能力が上がっても制御しやすいからだ。
それにこの力、使えば使うほど、どんどん精度が上がっていく。まさに俺の理想のチートだ。
出来れば魔力チートもやりたかったが、そっちの方は残念ながら俺には無かった。
そして俺と対等に闘っている香取、彼にも勿論補正が付いている。
名前は本人が決めていないため、俺が勝手に『予見』と呼んでいるものだ。効果は名前の通り、敵の動作を"予め見る"ことが出来ること。これがなかなかに強力だ。
最初の方こそ、そこまで使える能力ではなかったが、こちらも徐々に精度が良くなって、今では俺のレベルの速さにも対応出来るようになりやがった。
他の奴らも、魔力チートやら生産系チートやら色々いるが、そのいずれもが、鍛えればこの世界の最強の一角に名を連ねることが出来る、その可能性を持っている。
二つの絶望がのしかかる中、俺達は全員で集まり合って、話し合った。
そして、決めた。
________『強くなろう』と________
魔王を倒せるように、この世界で、もう誰も欠けることがないように強くなろうと。そう決めた。
故に俺達は妥協しない。ただ貪欲に強さを欲し、何者よりも強くなるために............。
だから、
「________負けられねぇんだっ!!」
俺は放たれる蹴りをそのままに、香取へ向けて、さらなる一歩を踏み込んだ。
いかがだったでしょうか?
毎日違う時間での更新になり申し訳ありませんm(_ _)m
それと、そろそろ連日投稿が途切れてしまうかもしれません。学校が忙しくて......重ねて申し訳ありません!!
次回は深夜のバトル回です!