絶対不変の王者であると
まさかの投稿一日目でpv224という快挙!!(?)
皆様誠にありがとうございます!!
ありがたや、ありがたやぁ
ではではどうぞ〜
「グルアァァァァァ!!!」
生半可な精神の者ならばすぐさま意識を断ち切られるような、そんな鋭い咆哮に、深夜は心の底から震え上がった。
自らの巣に入ってきた獲物を決して逃がすまいと、見開かれる黄金色の双眸、今まで幾千もの敵を屠ってきたであろう凶悪な顎門、地球にあるところの旅客機に相当する程の翡翠色の巨体。その全てが告げている。
________彼のものは、絶対不変の王者であると________
龍はその両の翼を羽撃たかせて、その身に似合わぬ俊敏さで深夜へと急降下していく。
「に、逃げっ! ぐあぁぁっ!!!」
恐怖のあまり瞬間的に飛び起きてしまった深夜は、次の瞬間全身を駆け巡る激痛に悲鳴を上げた。バランスを崩した彼はそのままベッドから転げ落ちる。
「ガッ!? ......ふぅ、ふぅ、ふぐっ! ............ぐ、あぁ......!!!」
痛みを噛み殺す歯の隙間から嗚咽が漏れる。彼が涙で霞んだ視界で上空見上げた時、龍は既に彼との距離を10mほどまで縮めていた。
「は、はは......」
(これは無理だよ、もう......)
深夜は、諦めによる苦笑を漏らした。どうせなら素早く殺って欲しい、一瞬で意識を切り離して欲しい、そんな願いと共に、深夜は目を閉じた。
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これは、どうしたことだろうか?
いつまでたっても痛みは襲ってこない、そのことを不思議に思い、深夜は恐る恐る目を開け、
________目の前の龍と目が合った。
「うわぁぁぁ!!??」
(な、なんで目の前に止まってるんだよ!)
余りの驚きに思わず絶叫する深夜に龍は、「......フシュー」とその温い吐息を浴びせた。そして、
『五月蝿いぞ人の子。龍族は耳が良いのだ、響くではないか......』
(........................は?)
「しゃ、喋ったぁ!?」
『だから五月蝿いと言うたろうが............』
「す、すいません......」
呆れるような龍の声に多少落ち着いた深夜は、改めて目の前の龍を凝視する。
黄金の瞳、翡翠色の鱗、そして視野を埋め尽くさんばかりの巨体。間違いなく、ほんの数秒前に自分に襲いかかってきた龍だった。
『まあ良い。だがそれより人の子、主、手負いだな?』
「 ? ......確かに俺は手負いですけど......」
急に何を言い出すんだ、そう思いながらも、深夜は龍の問いに答える。すると龍は、再び「フシュー」と吐息を深夜に吹きかけ、ゆっくりとその頭を上げていった。
(あれ? ......助かった、のか?)
呆然とその様子を見ている深夜に、龍は彼の疑念を感じとったのか「フッ」っと一息し、どこか自慢するような口調で、その言葉を口にした。
『________誇り高き龍族は、手負いの獲物など喰わぬ。我らが喰らうのは、野を走る活き活きとした肉だけよ............』
(............ということは)
「ということは、もしかして見逃してくれるんですか?」
『うむ、主を喰らうのは止めておこう。怪我が完治するまでのあいだ我が巣に居座っても良い。......その代わり......』
序盤の言葉で深い安堵に見舞われていた深夜は、僅かな沈黙の後に語られたその言葉に再びその身をこわばらせた。
(まさか......傷が治ったら喰わせろ、とか?)
だが、それは杞憂であった。何故なら、次に龍はこう宣ったのだから。
『主が寝ていた白い寝床、そこに我が卵も寝かせてはくれまいか?』
「............ん?」
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ベッドに卵を寝かしてくれなどと、趣旨の見えないことを言われ一時混乱した深夜だったが、理由を聞いてみると予想以上に単純だった。
この龍の巣がある場所は、大体元いた三階建ての病院くらいの高さがある。結構な高所なので風当たりが強く、風で煽られた卵が地面へと落下し割れやすいらしい。そのためにベッドの上に卵を寝かせて、風から守ってくれとのことだった。もちろん、深夜はそれを快諾。
こうして、一人と一匹は共同生活を始めることとなった。片方が動けないため、やや傾いた"共同"ではあったが。
『《蔓の腕》』
龍が一言そう唱えると、地面がもこもこっと割れて、割れ目から出てきた大量の植物の蔓たちが深夜をベッドへと横たわらせる。
「おお! これが魔法かね、ファンタジーだねファンタジーだね!!」
『シンよ、口調が可笑しいぞ?』
「しょうがないよリュウさん、俺はこういう魔法やら何やらのファンタジー系が大好きなんだ!」
共に暮らして行くに当たって、深夜と龍はお互いのことを『シン』、『リュウさん』とあだ名で呼び合うことにした。『リュウさん』はあだ名では無いような気がするが、どうやら龍族には名前というものが無いらしいので仕方がなかった。
「それでリュウさん、改めて聞くけど、此処ってどこなの?」
『ふむ、そういえばシンは突然我の巣に召喚されてきたと言っていたな』
「うん、俺がいた病室の床に青色の魔法陣みたいのが現れて、寝ていたベッドと一緒に、気が付いたらここに居た」
深夜は龍改めリュウさんに、自分がどうしてここにいるのかを、先ほど話し終わっていた。
リュウさんは『うーむ......』と低く唸ったあと、今度は一転してクツクツと笑い、その輝く双眸を深夜へと向けた。
ちなみに、今リュウさんは深夜が寝ているベッドの横で丸くなっている。もちろん、彼の卵もベッドの上だ。
『シンよ、主はかなりの幸運だったようだぞ?』
「幸運............どこがさ?」
深夜はここ最近自分に起こったことを振り返ってみるも、不幸も幸運もそこまであるとは思えなかった。そんな深夜に、リュウさんは順序立てて、深夜がなぜ幸運なのか、ここはどこなのかを説明していった。
『まず初めに、シン、どうやら主は、どこか他の場所で行われた召喚に巻き込まれたのだ。それも主と関係の深い人間の召喚にな』
「巻き込まれた? 俺と関係の深い人の召喚に............?」
(巻き込まれた、のか?......俺を狙って飛ばしたんじゃなく?)
深夜には、自分を見たこともない土地へと飛ばす存在に心当たりがあった。
だが、ここで一つ、疑問に思うかもしれない。
なぜ魔法などのファンタジーと無関係の地球に住んでいたはずの深夜に、そんな心当たりがあるのか、と。
そう、確かに深夜は、そういう事柄とは無関係な普通の高校生だった。
だがそれは、あくまで"だった"なのだ。
それが表すところはつまり、
今の、二日前からの深夜は、普通の存在では、ない。
(まあ、確かにあの人なら、俺に断りも入れずに龍の巣に放り出したりしないよな............あ、人じゃなかったや)
深夜はそう考えて、自分が故意に飛ばされた可能性を排除する。
(そうすると関係の深い人、か......家族、かな? )
「もしかして家族とかだったりするのかな?」
『可能性としてはある。だが今回に限っては恐らく違うだろう』
「 ? ......なんで言い切れるの?」
『ここから北東に少し行った辺りからがルークスキアという大国の領土でな。ギリギリ此処からも見える場所に其の国の王城があるのだが、その王城で先日、勇者の召喚が行われたらしい。
召喚に使った魔力の残滓が、こんな所まで流れてきている。これほどの魔力を使ったのであれば、少なくとも三十人は召喚されているだろう。
よって家族の可能性はないと言ったのだ。主の家族が三十人以上の大所帯ならば別だがな......』
「いや、じゃあ違うみたいだ、ありがとう」
(他に可能性があるのは......三十人......三十人......あれ? もしかして......)
「......学校、かもしれない」
『学校......ああ、学び舎の事か。その学び舎、人数はどのくらいだ?』
「全校生徒964人、俺と関係が深いのはうちのクラスの奴らだから、俺を抜いて32人......」
『ふむ、どうやら当たりの様だな』
「うん。それでリュウさん、勇者って何のために呼ばれたのか、分かる?」
『それは、人類が魔王軍を下すために決まっておろう?』
「......やっぱり、そうかぁ」
(こうなったら、いち早く怪我を治さないとなぁ.............みんなを死なせるわけにはいかないし......)
深夜は、厄介事を背負ってしまったとでも言うように、大きく溜息をついた。
「............あれ? で、結局なんで俺が幸運なの?」
深夜は、忘れていた話の始点を改めてリュウさんに問うた。するとリュウさんは『ふむ、』と一つ頷いた。
『シン、お前の居た病院とやらの、学び舎との位置関係を覚えているか?』
「んー、どこの方角かは分かんないけど、結構離れてたと思うよ?」
『ふむ、距離にしてどのくらいか分かるか? 《蔓の腕》』
リュウさんの魔法により、深夜は宙へと掲げられ、そのまま周囲を見渡すようにゆっくりと回転していく。その途中、深夜は遥か遠くの地に、大きな壁の様なものが並んでいる光景を見た。
「あ、丁度あそこの壁? みたいのが有るあたりだと思う、大体だけど......」
『うむ、どうやら推測通りのようだな......シン、あれが王都《ティグリード》だ』
「っ! ......じゃああそこに皆が居るわけだ............で、何が推測通りなの?」
『ふむ、シン。こたびの勇者召喚はな、あの都市の王城を中心に行われたのだ』
「うん、それで?」
『つまりは、主の世界での学び舎と病院とやらの位置関係が、この世界でのルークスキアの王城と主自身の位置関係になっているのだ』
(うん、うん、なんか分かった............つまり、)
『主が元の世界でのこの座標から少しでも離れておったら、今頃は地に赤い花を咲かせていたのやも知れん。故に、主は幸運だったと言ったのだ』
「............Oh。そ、それは確かに、結構な幸運だったんだね、俺......」
(飛ばされた途端に上空から落ちて死んだり、魔物に喰われたり、最悪岩の中なんてことも十分に有り得た訳だ............)
そう考えると、深夜の背筋に冷たいものが走った。
龍さんの巣は、あれです。
モ〇ハンの荒野に出てくるクルぺ〇コの巣をもっと太く巨大にしたもの想像していただければ
次回、ちゃんと王城に召喚された勇者達(以後勇者)sideです♪
感想、評価、誤字など待ってます!
※結局、深夜の何が幸運だったのかを入れ忘れていたため、急遽編集いたしました。
ご迷惑おかけしますm(_ _)m