侮るなかれ
かなり時間が空きました、申し訳ありません!!!!!m(_ _)m
言い訳としては学校の学年末テストが忙しかったのです…(´・ω・`)
そして度重なる約束破り、本当にごめんなさいm(_ _)m
作者は時間があるほど怠けてしまうダメ人間でありまして……(−_−;)
更には報告です。
一つ目:第六部、『南風原深夜は神である』を修正しました!
二つ目:男性神を男神に変更しました!
三つ目:執筆時間が週二日に限定されました…………゜・(ノД`)・゜
まあ、三つ目は……気が向かれた方は最新の活動報告をお読みくださいませ(ぺこり
ではでは以上です!
あ、待って下さい! 最後に特大級の謝罪を……
ほんと申し訳ございません……深夜、次回になりますm(_ _)m
今回の最後が切りがよかった+時間がなかった=深夜は次回で、となりました。
本当に何度も延期してごめんなさいm(_ _)m
でも次回こそは出します! 出ます!!
でないと物語が進まないので!!
ではでは、本当に長くなりましたm(_ _)m
本編へどうぞ
※物語の都合上、前半部分に位置していた【勇者side】を次の次の話へと移行いたしました。ご了承のほどよろしくお願いしますm(_ _)m ………5/21
【神様side】
今や幾千の竜の卵だけが地に並ぶある種殺風景な渓谷に、一つの存在がいた。
二十になるかならないかといった風貌のこの男…………その実、神仏の類であった。
男は、まるで地球の引力に真っ向から喧嘩を売るかの様に彼の目の前に浮遊する黒い鏡を、より正確に言うならば、その鏡の中に映る遠い地の光景を見てほくそ笑む。
「くははっ! 危ねぇ危ねぇ!
まさか勇者の中に神級魔法を使える奴がいるとは思えなかったぜ……」
「だがまぁ……」男は続ける。
「加護を施したあの蜥蜴の前には、無力だろうよ」
『加護』、男はそう言った。
そう、今まさにルークスキアにて神級雷系魔法を無傷で受けきったあの黒龍は、この男神によって身体面のスペックを大いに跳ね上げられていたのだ。
故に、本来の龍種であれば瞬殺は出来なくとも瀕死の重傷を負わせる程度の威力を、灯里の魔法は確かに誇っていたのだが、当然それは今の彼女の知るところではなかった。
保険を掛けといて正解だったな……、そう男がしみじみと呟いた。
直後。
「――――やはり、あの神気は男神のものでしたか……」
男の背後から、澄みきった、美しい声が聞こえた。
「誰だっ!?」
何故だ、どうして……。そんな心情と共に男は振り向く。
少女と思われる声の主の接近に、全く気付くことが出来なかった。
その事実が、どうしようもなく彼を焦らせた。
「なっ……!!」
そして男は息を飲む。
振り向いたその先に居たのは――――照り輝く金糸の髪をもつ、美しい童女だったのだから……。
男と目が合うと、その童女はやおら口を開き…………
「戦線布告は頂いたとみなして……貴方を、排除します」
「……………………は?」
妙に自身満々で、やっと見つけたぞとでも言わんばかりに、言い放った。
対して、現れた童女から突然の敵対宣言を受けた男はというと、こちらも彼女の言葉の意味を正確に理解…………出来ているわけもなく――――その頭の中は、"誰だ"。この一言で一杯であった。
お互いに言葉を発っさず、両者は暫し視線を交える。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「…………………え?」
ややあって、先に声を上げたのは童女の方だった。
彼女は先の凛と引き締まった表情を、まるで想定外の事実が起きたかの様に呆けさせている。
「も、もしかして…………私のことを、知らないんですか……?」童女はまさかそんなと、男に問うた。
「アァ? 知るかよそんなもん……」
男は童女の推測を大雑把に肯定し、
「ただ一つ分かるのは…………中級神の俺を超える神格の女神って事ぐらいだ……ぜっ!!」
軽く動転している童女へと、その神速の手刀を突っ込んだ。
完全な不意打ち。今ある八つの異世界をすべて合わせても、これを受けて生きていられる者は何人いようか?
そんな神の一撃を、彼女は………………
――――ズパァァン!!
「――――これで、分かりましたか?」
はっきりと見極め、その細腕でしかと受け止めていた。
その腕に輝くのは、まるで業火のように躍りうねる――――金色のオーラ。
「金色の、神気だと………………ま、まさかお前っ……!!」男の目が、徐々に見開かれていく。
その様子を受けて、金糸の童女――――そう、女神様は…………「やっとですか」と小さく呟いた。
一方、
彼女に腕を掴まれ、動けないでいる男は驚いていた。この場に女神様が訪れたから…………ではない。
彼が驚いている事柄は、一つ。
(おいおい、通りで思い出せなかった筈だ……。
これは……本当にあの最高神なのか……?
昔のような絶対の威圧が感じられない。それこそ、あの無限に思える神格を多く失ってしまった様に………………)
それは、今の女神様の神格の、異様なほど小さくなっていたからだ。
(以前戦場で感じた同質の神気は、もっと絶望的な力を秘めていた筈だ)
そういえば、と男の思考はさらに深くへと潜っていく。
(少し前に……最高神暗殺の成功間近までいったことがあったな……。あの時失敗したのは確か…………そうか、突然飛び出してきやがった現地の人間のせいだったか…………。
そしてそれから……どうなったんだ?
正直作戦が失敗した時点で観察を打ち切ってたから、そっから先が分からねぇ……)
『あの無限に思える神格を多く失ってしまった様に………………』
男の中で、先の思考が反芻される……。
(神格を多く失って――――待て、神格をだと……!!
ありえない。戦いにおいて神気を消費する事はあっても、神格自体を失う事はまずない……!)
だが確かに、あの絶対的な存在感は、膨大すぎる彼女の神格に比例していた。確かにこの最高神は、神格を失ったのだろう、男はその事実を再認識する。
(一体、なにがあったんだ?……………………っまさか)
――――男はそこで、ある可能性へと行き当たった。普通に考えればありえないこと、そう男は思っていた。
(だが、打ち切る前に見た最後の最高神は…………!!)
『う、あ…あぁ…………あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
脳内に映し出されるのは、自分を庇って死んだ人間の子供を前に、泣き叫ぶ――――美しき最高神の姿。
それを思い出して、男は…………、
――――繋がった――――
(こいつなら……あの小僧になら……ありえる!! ありえるぞ!!!)
男の中で、一つの仮説が明確に意味をなした瞬間だった。
「随分と、思い切ったことをしたなぁ? 最高神……!」
「? …………私が最高神であると、ようやく分かりましたか……」
「あぁ、分かったよ……」男は突然、女神様に向けて舐めきった視線を送ると、次の瞬間――――自身の出せる最大出力で彼女の手を振り解いた。
「っ! …………逃げられるとでも思っているのですか?」
男は両手をひらひらと左右に振って、降参の意を示した。
「では、大人しく拘束を…………」
それは彼女の声を遮る様に、突如「――――我らが怨敵、女神の最高神はぁぁ! 現在その神格の数割を失っている模様!!!」男がクリスタルの様なものに向けて叫び出したのだ。
「それはっ…………!」
「あぁ、俗に言う通信石ってやつだ。便利だろう?」男はその顔に、嗜虐的な笑みを浮かべる。
対して、女神様はしてやられたと歯を噛み締めた。
今この瞬間、彼ら男神によって一番の障害と認識されていた女神様が、弱体化していることを知られてしまったのだ。
(いよいよもって、全面戦争ですか…………はっきり言って、これは不味い。でも、今はその前に――――)
女神様は俯いていた顔を上げる。
その目線の先で石を片手に叫び散らす男を睨み据え、
「あぁ、確かだ。向こうの最高神は今や俺達の敵でぶぉう!?」
「ちょっと、失礼しますね?」男を一瞬で捻じ伏せた女神様は、彼の手からするりと石を抜き取る。
そしてそのまま耳へと当てがった。
『――――いどうした!? おい!! 聞こえているのかっ!!』直後耳に飛び込む叫びに顔をしかめる。
「…………男神達は、いつもそうやって叫んでいるのですか?」
彼女のその一言で、石の向こうがざわついた。
『…………貴様、最高神か?』
ややあって声がかかる。さっきとは違った、落ち着きを払った男の声だった。
女神様はその問いを肯定し、次に……
「この男神の言う通り、現在の私は力の約半分を消耗しています」自らのコンディションを、暴露した。
『何故我々にそれを話す……? 攻めてくれと言っているようなものだろう?』
「――――構いません」
『なっ!?』女神様の予想外の返答に、さしもの声にも同様が走った。
そして女神様は続ける。
「私達女神は、成り神として一人の少年を呼び込みましたから…………人間に生まれながら、神に絶対の適正を持つ少年を――――」
『人間を……神として呼び込んだだと…………まさか貴様、そのために己の神格を受け渡したのか……!』
「はい」
『ぶふっ!!』
直後、瞬時に返ってきた女神様の肯定に、相手の男神が吹き出した。
『く、ははは……!! 面白い、面白いぞ最高神……!!
絶対なる高みとしての自身のアイデンティティを失って、男神と女神の戦力の均衡を崩して、そこまでして成したのが人間の小僧の成り神化とはっ!!』
「侮るなかれ……今はまだ未熟ですが、彼は無限に伸びて行きますよ」
『ほぅ……』
言い切った女神様に男神は感嘆の声を上げた。
『…………その自信、果たして何処から来るものだ?』
それを聞いて、女神様の双眸が怪しく光る。今の彼女は正しく、女神達の長――――神全体の最高神としての威厳を持っていた。幾らか弱体化したところで、彼女のそれが揺らぐことは……ない。
「常神が――――」
『……なんだ?』
「私たち常神が、世に生まれ出で完全に神気を使いこなすまで……凡そどれくらいの年月が必要だと思いますか?」
『ふんっ、莫迦にするなよ。常神が生まれてから神気が溢れ出すまでに約一ヶ月。それを完全に使いこなすまでは約四年と言ったところだろう?』
「そうですね、大体そのくらいです」
「ではっ――――」女神様はその口調を一段跳ね上げた。
「彼の……第一世界の住人である少年、南風原深夜の場合……神気を完全に扱えるまでにどれ程の月日を経たと思いますか?」
おいおい、そう男神が呆れた声を上げる。
『なんだ? 貴様はもしや、俺たち男神に彼の小僧を殺すなと言いたいのか?
もしも貴様が小僧を育て上げるのに使った年月を俺達に告げたとしても、俺達がそいつを――――ひいては女神達を殺すという事実は変わらんぞ?』
「そんなつもりは微塵もありませんよ」
検討違いもいいところだ、と女神様は一人溜息を吐いた。
『では何故だ! 貴様は何故いま常神の話を…………』その男神の言葉を遮る様に……
「――――――――二年…………」女神様は告げた。
『…………なんの時間だ……?』
未だ察することの出来ない男神へと、彼女は更に告げる。
「少年が――――シンヤが神気の動かし方を、引き出し方を、纏い方を…………」
咎人の罪状を読み上げるかの様に、相手の首を締め付けるかの様に、つらつらと――――
「…………染め方を、壌土の仕方を、意思の込め方を……その全てを覚えるまでにかかった月日です」
『莫迦なっ!』男神が吠えた。
『有り得ん、生粋の神でも四年はかかるそれら全部を二年で習得しただとっ!!』
「それだけでなく、体術や剣術までも――――彼には二年で事足りた」
『っ!!』
その事実に男神が押し黙る。
正直女神様も、最初は彼の余りの可能性に瞠目したものだった。彼はまるで干からびた大地の様に……最高神の神気操作を、戦女神の体術、剣術を、その他多くの技術を吸収していったのだ。
だから女神様はもう一度、告げる。
――――彼を誇る様に……
――――彼を愛しむ様に……
「――――――――彼を、侮るなかれ」
どうやら作者、気分が高揚すると文章が極端に幼くなってしまうようなのです…(´・ω・`)
訂正箇所はどんどん進言下されば嬉しいです!