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measure 2
「で、お前はさっきから何をしているんだ?」
「偏屈薬屋の営業……かなぁ?」
「ほう? では、嘸かし暇なのだろうな? 私は従業員を雇った覚えは無いが?」
首根っこ掴まえて凄まないでぇっ
ジタバタと足掻いてみるが、掴まれた襟首は外れない。
「堪忍してリオネル。降参」
「全くツマラン事ばかりするなジョゼ」
漸く解放される。
「ツマンナクは無いんだけどなぁ。何屋だかも判んない様な店に、案内人は必要だよ?」
「そんな者は要らない。必要に応じてお客は迷い込むものだ。お前はお前の仕事をしろ」
「じゃあ……ちょっと店先借りるよー」
「何? ちょっと待て!」
リオネルの制止を背中で聞いて、勢い良く店から飛び出す。
カランカラン
開け放たれた勢いと外からの風で、一層澄んだ音が鳴る。そんなカウベルに合う様に、僕は唄う。