2:謎に満ちたツンデレ美少女
打開策を考えているところに、救世主が現れた。
「そうだ光夜、それがこの未来ちゃんなんだよ」
雅也だ。俺がヤバいと感じてるのを察して救いの手を差し伸べてくれたらしい。
「ちょ.....何なのよ!何であたしなの!?」
雅也にむちゃぶりをかけられて困っている小澤。俺はそんな小澤には悪いが雅也にアイコンタクトで「サンキュー」と合図を送る。雅也は「どうってことないさ」とアイコンタクトで応じた。思わず感激してしまい「友情万歳!雅也最高!」と内心泣きながらお祭り騒ぎの嵐が巻き起こっている。それにより先ほどの静まりはなくなり、元の騒ぎに戻った。
「マジでサンキューな、雅也」
「親友を助けるのが親友だろ?」
「何よあんたたち!あたしを利用したってこと!?」
「悪いな未来ちゃん、光夜を助けるためだったんだ、許してくれ!頼む、この通り!」
顔の前で両手を合わせ頼んでいる雅也。雅也だけに謝らせるのは悪いと思い、俺も雅也と同じく顔の前で両手を合わせ頼み込む。
「もうっ!わかったわよ!許してあげるから今度パフェ奢りなさいよね」
「「はい」」
目を細め口をとがらせ言う小澤に、俺と雅也は小さく返事をした。さりげなく奢りの約束を入れてくる小澤は抜け目がないなと思う。さすが成績1位、彼女にしたいランキング1位だな、変なとこで納得をしてしまう俺もどうかと思うが、気にしないでおこう。
1校時~4校時を終え、毎日の楽しみである弁当だ。高校には食堂というものがあるらしが、ここ佐臼学園高校には食堂はない。そのかわり、弁当販売、パンの販売などをしている。だが俺はそんなものを買わない......金がないなどの理由で買わないのではない.....何故なら俺には美咲の手作り弁当があるからだ!毎日、美咲の弁当が楽しみで仕方がない。
っとまず美咲の弁当を食べる前に決まって買うものがある、それは自販機で売ってるパックの≪いちごオレ≫である。俺はこのいちごオレが大好きなのだ。入学当初から昼休みに絶対買って飲んでいるほど愛好している。
その目的のいちごオレを買い終え、ルンルン気分でクラスに戻ろうと廊下を歩いていると後ろから人の視線を感じる。気になり振り替えってみると誰もいない。
「気のせいか?」
誰もいなかったので特に気にはしない、俺が再度ルンルン気分で歩き出した。それと同時に、壁からちょこっと顔を出し俺の事を見る人影があった。
美咲の弁当を食べ終わり、雑談をしていた。時刻は1時30分、そろそろ5校時が始まる時間帯になる、俺はいちごオレを一気に飲み干し、急いで授業の用意をする。さすが午後の授業と言ったところだろうか、すごく眠い.......とにかく眠い......。ついウトウトしてしまう、あげくの果てに俺は顔を教科書で隠し寝てしまった。見事バレて教科書の角で叩かれてしまった。痛い、とにかく痛い。
他のクラスメイトはそんな痛がる俺のことをおかまいなしに笑っている。あの幼馴染の美咲でさえもクスクスと笑っている。そんな調子で6校時も終え、放課後となった。
「俺部活あるから先行くわ、んじゃな、光夜、美咲ちゃん、未来ちゃん」
そう言い残すと雅也はスタスタと廊下を駆けて行ってしまった。
「あいつ、マジのサッカー馬鹿だな」
俺、美咲、小澤一同は一斉に頷き、雅也がサッカー馬鹿であることを改めて認識したのだ。そこ後、校門のところまで雅也のサッカー馬鹿への呆れ愚痴を言い合っていた。
「それじゃ、また明日ね、バイバイ」
大きく手を振る小澤に俺と美咲はそれに応え、手を振る。その時だった、昼休みに感じた視線をまた感じだのだ。
!?
勢いよく振り向くが誰も俺を見ていない。
「うーん、おかしいなぁ」
頭をかきながらつぶやく俺を見て美咲が言う。昼間から誰かの視線を感じる、まずこれはないと思いたいのが心霊現象だ。幽霊とかは苦手ではないが、アレじゃないか、うん。そもそも俺には霊感というものがないはずだ。
「こうちゃん?どうかした?」
「いや、なんでもない、帰ろうぜ美咲」
俺は美咲の手を握り走り出した。美咲は顔を赤め、下を向き前髪で顔を隠している。
「おい、美咲下向いてどうしたんだ?あっ....まさかお前トイレ我慢しててトイレ行きたいのか!?」
俺は心の内を当ててやったぞと言わんばかりに言う、が予想は大きく外れすごいものが飛んできた。
「こうちゃんのバカー、アホー、ドジー、おたんこなすー!」
美咲は目を閉じ、頬を赤くして怒鳴った。そして頭に強烈な一撃であり美咲の必殺技の『怒りの鉄槌』が頭に入った。俺は避けることもできず頭に直撃、たんこぶができるほど痛かった、その後にたんこがぶできたんだけど........。
そんなやり取りを、学校の屋上から眺める人影があった。純色な金色の髪には、花の髪飾りがしてある。その人影は腕を組み不服そうに疑問を誰かに投げかけた。
「あれが伝説の七獣第1位と契約した子なの?」
「そうだよ」「間違いないよ」
「「魔力を感じるから絶対そうだよ」」
屋上で誰かとやりとりをしている。フンッと鼻を鳴らしスタスタとどこかへ消えていった。