1:謎に満ちたツンデレ美少女
「う...うぅ....ZZZ」
いつも通り爆睡をしている俺、生野光夜である。目覚ましを止め、再度眠りについているところだ。2度寝はいいもの、とてもいいものだ。そう思い気持ちよく寝ているところにあの女がやってきた。
「こうちゃんおはよう♪はいっ、起きた起きたっ!」
カーテンを開けた途端、朝の眩い日差しが俺の顔を直撃した。嫌な顔をする俺を見てクスクスと笑う美咲。大人しく指示に従い起きる、着替えようとして、上の服を脱いだその時、俺の目の前でかん高い声がした。
「キャャャーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
その声の主は美咲であった。てっきり既に部屋を出て下に行ったものだと思っていた。何より何故この眩暈のするような声を発したのだろうか。ただ上の服を脱いだだけなのに........。
「こ.....こ.....こうちゃん!!早く服着てよ!!!!!」
顔を赤くし、怒った様子で怒鳴る。呆れてしまい思わず口からため息がこぼれる。何故なら、朝から怒り怒鳴る美咲が理解できないからだ。一方朝から怒鳴る美咲はというと、顔を膨らまし下に降りて行っていまった。
俺も下に降りてテーブルに着く、目の前には既に朝飯は並べられていた。白米、わかめの味噌汁、ハムエッグ、サラダといった普通の献立であるが、美咲の手によって作られると星3つ級のおいしさとなる。俺は美咲の作った料理が好きだ、それも考慮して星3つとなっている。
朝食を食べ終え、美咲はキッチンで洗い物をしている、その間俺は寝癖を直し、歯を磨く。そして家を出る前恒例の忘れ物チェックである、忘れ物チェックが終わる頃には美咲もやることを終え、玄関にやってくる。
「美咲、忘れ物はないか?」
「こうちゃんじゃあるまいし、あるわけないでしょ♪」
軽く傷つく言葉を笑顔で発する美咲はSだと思い始めてきた。(いやいや、美咲に限ってそれはないだろ』と自分にツッコミを入れる。
今日は時間的に余裕がある、美咲とゆっくり歩いて学校へ向かうのも悪くないな。そこにふと何かに気付いたようすで俺の顔を覗き込む美咲、俺は不思議に思い美咲に聞いた。
「ど.....どうしました?美咲さん....顔に米粒でもついてるんですか?」
俺は苦笑いをして言う。その質問の意味がわからないようなキョトンとした顔をして美咲は否定した。
「あっ違う違う、こうちゃんそのペンダント昨日までしてなかったよね?どうしたの?もしかして....あの女からのプレゼント.....?」
「お....おい.....あの女って誰だよ....つか美咲にヤンデレキャラは合わないからやめとけよ」
「あはは、ヤンデレキャラっぽく言ってみたんだけどどう?キュンときた?」
「きてません、むしろ怖かったぐらいです。それとこのペンダントはな.......。」
俺はその後の説明に困った、どのルートで入手したのか不自然でない口実を必死に脳内で構築していく。『そもそもなんで急に美咲はヤンデレなんてやりはじめたんだ?美咲の理解できない行動が1つ増えたな』となど考えていると
「こうちゃん?こうちゃーん?そのペンダントは何なの?」
「おっ、あのな....このペンダントは.....そうっ、かあさんから貰ったんだかあさんからな」
焦りながらそう言い告げる。この咄嗟で作った口実は通るだろうかと心配な面はあったが美咲は納得した様子で言った。
「そっかぁ、こうちゃんのお母さんから貰ったものなんだね、なら大切にしないと。でもどうして急につけようと思ったの?」
「気分的にだよ、気分的に」
「そっかぁ、こうちゃんにも気分的なんてあるんだねぇ」
酷い言葉を投げかけてくる美咲に反論はしないでおく、変に怪しまれても困るからな。そんなこんなでペンダントの話が終わった頃には学校の校門のところまで来ていた。そこに丁度出くわしたのが、同じクラスの雅也と小澤だ。
「よぉ、雅也、小澤」
「おはよう♪瀧川くん、未来ちゃん」
「おっはー、光夜、美咲ちゃん」
「おはよう、生野くん、美咲ちゃん」
俺らは軽く挨拶を交わし、教室へ向かった。教室では本を読んでいるやつ、朝からプロレスをする男子など個性豊かなやつらが沢山いる。教室に入り、自分の机に腰を掛けカバンを開ける。教科書等を机に入れ一息をつく。
「おい光夜、ちょっといいか?」
今までうんともすんとも言わなかったジョーカーが話しをかけてきた。
「急にどうした?闇黒獣の気配でもするのか?」
咄嗟に闇黒獣のことを口走ってしまったが、何故ジョーカーが闇黒獣の気配が察知できるとわかったのだろう?自分でも不思議に思う。
「いや、違うんだ。この建物内にもう一体の伝説の七獣の魔力を感じる」
「もう一体の伝説の七獣!?!?!?!?」
俺は思わず大声を出して叫んでしまった。クラス全体が静まり視線が俺に集められる。
「あ.......あのぉ.....」
この状況をどう打開すればいいかと俺は考えた。