4:星光獣との出逢い
行き着いた結論は...
「悪い...少し考えさせてくれ...いきなりすぎて何が何だか理解ができてない...」
俺は少し俯き、小声で答えた。結局結論という結論は出せなかった。非日常的なことすぎている、この16年俺はどにでもいる日本男児として生きてきた。それが急に殺されかけたり、選ばれただのなんだのとか言われても困る一方である。
「そうか、なら時が来るのを待つ、だがな光夜、お前は一回命を狙われているんだ、今後狙われないという保証はない。そのことを頭に入れとけよ」
ジョーカーは冷静だが強い言葉で念を押す。俺は目を瞑った、俺は一回殺されかけてる..あー、今は考えるのはやめよう。再び目を開ける……とそこにジョーカーの姿はなかった。
丁度今日は祝日で学校は休みだ。カーテンを開け、窓の外を眺める。朝日は昇り、鳥が鳴いている、新聞配達のバイクやランニングをしている人も見える。いつもの俺なら「今日も平和だなぁ」となるのだが、今の俺はそのような気分ではない。先ほどの事が相当重荷となっているのだろうか。時刻が期になり、時計に目をやる。
「まだ6時か...」
俺がこんな時間に起きている事はまずないのだ。休みの日はいつも12時頃まで寝ているのが当たり前。10時に美咲が来るのだ。『休みの日はいい』って言ってるにも関わらず、『好きでやってるんだからこうちゃんは気にしないで』と毎回済まされてしまう、だが俺も少しその言葉に甘えてしまっているとこもあるかもしれない。
「気分転換がてらにランニング行ってくるか」
無理に元気をだし、俺は部屋着からスポーツのできる格好に着替る、少しでも重荷が楽になればいいと思った。ランニングを終えた頃の時刻は7時13分。それから何をしようか迷うのである、いつもは美咲に頼りきりになってしまっているので、こういう時に困る。後悔をしつつ、とにかく腹が減ったので朝飯を作ることにした。
「朝飯を作ると言っても俺が作れるのは限られてるよな....」
過去に何度か作ったことはあるのだがその結果は恐ろしいものとなっている。そんな時、ふと閃いたのだ。
「困ったときのカップラーメン」
我ながらいい閃きだと思い即行動に移す。その後あれこれやっているとあっという間に美咲が来る10時になった。美咲が来た後、飯の作り方、洗濯機のまわし方、洗剤の分量や使い方などをあれこれレクチャーしてもらえたのである。来たときは目を大きく見開き驚かれたものだ、急に飯の作り方などを教えてほしいなどと言うから『どこか頭でも打った?病院の付き添いいる?』などととても不思議がられた。
その夜、また俺は日課であるランニングをやる。1日の日課だから、今日の理由はそれだけではなくリフレッシュという目的もある。
「んじゃ、行ってくるぞ美咲」
「いってらっしゃい、あまり遅くならならないでよね」
お決まりの一声をかける。朝のモヤモヤした気分が嘘のように晴れている。美咲の言葉に軽く返事をし、扉を開け路上に走り出た。
「そういえば...まっいいか」
1つ疑問に思ったことがあったが考えるのをやめ、俺は走り続けた。それからしてまた神社の鳥居までやってきたのだ。『昨日俺が殺されかけたところ...』などと不吉な記憶が回想する。その時だった、グサッと鈍い音をたて胸に何かが刺さる感触がした。胸を見ると黒槍が見事に俺を貫いていた。どことなく昨日見た悪夢と同じ光景、デジャブしたと言ったところだろうか。
「....またこれか」
不覚にも朝、忠告されたばかりの最悪な場面に遭遇してしまった。今回は昨夜と違い体の中から刃物でエグられる痛さだ。胸から血が大量に出てくる。俺はどうすることもできずに、体から力が抜けその場に倒れた。そこに白い流星のようなものが目の前に現れた。
「ジョー..カー...」
「朝忠告したばかりだろ光夜、あいつらに勝てる力を求めるか?」
ジョーカーの質問の意図がわからない、だが何故か迷ってる余裕はないということはわかっていた。コクリと縦に首を振り力を求めた。
「よし、正式な契約はこいつ等(闇黒獣)を蹴散らした後だ」
ジョ-カーは何かから吹っ切れた表情で闇黒獣の方へ向く。直後、ジョーカーの周りに青白く巨大な術式らしき円状のものが現れた。その円状のものからおびただしい量の雷が飛び散っている。少しでも雷に触れてしまったら人間の丸焼きになるようなそんな気がした。
「獣化!!」
中心に立っているジョーカーは雷が迸ると同時に謎の言語を叫んだ。雷が消え去ると同時に光の塊が俺を包み込んだ。その光は優しい暖かさで気持ちが安らぐような感じがする。