表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かの竜は正義で、悪で  作者: dragon
全テノ始マリハココニアリ
8/8

七翔 弱キモノハ我ガ支配下ニ

長らく長らく長らく長らく長らく長らく長らく長・・・×100

・・・らく長らくお待たせして申し訳ないです!!

きっかり一か月後となってしまいましたが、まだハルのことを忘れないでー!


では、どうぞ!

只今、始の六の刻なり。


俺は不機嫌な状態で目覚めたというか無理やり目覚めさせられた。何かやらかしたのかとメイドさんたちがオロオロしている。別に君たちが悪いわけじゃないのに。迦楼羅め・・・。


メイドたちを落ち着かせて、準備を始める。昨日は疲れまくったから、何にもしてない。というか余計に疲労した。だからといって流石にこのまま体を汚いままにしてはいけない。だがここで問題が発生する。俺はVIP扱いだから勿論風呂がとっても広いだろう。そして・・・やっぱりあの人たちは手伝うんだろうな。竜化(トランスドラゴン)でほぼ全てのステータスが飛躍的というか無敵なまでに上がったが、メンタル面は一ミリも成長していない。変わったとすれば、冷静になって心が氷のように冷たくなったぐらいだ。でも根本的なところには変わらない。

こんな言い回しまでした意味はないのだが、つまり言いたいことは恥ずかしいってことです。いや、この姿が仮の体としても、ねぇ。恥ずかしいものは恥ずかしいのです。ドラゴンは鱗の鎧があるとはいえ、裸同然だというのに。


脳内で現実逃避ではないけど、でもその事実に対して言い訳をした俺。でもそんなことをしている内に現実は無慈悲にも訪れてくるというもの。


「ニーズニル様、昨日はお疲れのようでしたので身を清めておりません。なので今からお清めいたしましょう。私たちも同伴させていただきます」


そういうメイドA。俺が何か言う前には引きずられてバスルームへ直行。後ろには服を持ったメイドBがついてくる。これもドラゴンの索敵・・・ってそんなことを考えている場合じゃない!


「ちょ、風呂位一人で入れるって。今まで旅をしてたから一人じゃないと逆に落ち着かないんだよ。頼むから一緒っていうのだけは止めてくれ」


「では、慣れてもらうしかありませんね。これからは姫様を護衛する身、宮廷魔術師となるかもしれぬ身で御座います。汚れが少しでも付いていてでもしたら、ニーズニル様の恥。つまりニーズニル様をお雇いになるお国、姫様の恥ということになるのです。どうかご了承くださいませ」


「で、でも・・・!」


「ご理解くださいませ」ゴゴゴゴ


「わ、分かりました!喜んでお手伝いしてください!」


・・・ここまで言われたら反論の余地なくない?あの拒否はさせないと暗に行ってるような声で、ここまで言われてまだ言い返せる人凄いよ。人じゃない俺でも無理なんだから。

くらーい雰囲気を醸し出しながらも、ずるずると引きずられていく。もうどっちが主かわかんないな。


いくら部屋が広いといっても、生活に支障をきたすようではだめだ。だからもうとっくにバスルームの前についている。さっきの会話も立ち止まって行われていた。だからさっきの描写は嘘ですゴメンナサイ誰に誤っているかわからないけど。

・・・目の前にはヤル気満々のメイドB。目がらんらんと暗く輝いて怖いよ。なんとなく嫌な予感がする。いや絶対に危ない!主に貞操の面で!これはドラゴンじゃなくてもわか・・・「失礼します!」ぎゃあぁぁ!こ、このメイド俺の服を脱がしてきやがった!俺は暴れまわるが、いつの間にかメイドAに羽交い締めにされていた。本気で振りほどくわけにもいかず、打開策を考えている内に素っ裸。

先程よりももっとどよーんとしたオーラを放つ。それはもう、目視できそうなほど。部屋の隅っこでイジイジしている俺を見てちょっと罪悪感を感じたのか、ばつの悪そうな顔を一瞬するがすぐに引き締められる。メイドさん・・・もう俺をなんだって思っているんだよ・・・。人のしかも男の裸を直視できる女性なんているの?それはもう淑女じゃない、なんていうかその、怖い存在。ソレが目の前に二体もいます。ひえぇぇ・・・ぶるぶる。


「ニーズニル様、そんな恰好でおられますと風邪を引いてしまわれます。暖かい湯につかればそのような事忘れてしまいますよ」


「・・・風邪ひいたらお前たちのせいにするぞ。ああ、もう!これじゃあ埒が明かない。こんな屈辱的なことはさっさと終わらせるに限る。あとそんな簡単に忘れることができるならこんなにも嘆かないよ」


そういうとそそくさと風呂場に入っていく。だがメイドたちはついてこない。束の間一人で入れる!と思ったがすぐ入ってきた。そんな都合のよい話はないよな・・・。遅れたのは服を着替えていたかららしい。先ほどのひらひらしたメイド服ではなく、袖はなく丈もぐっと短くなった服を着ていた。生地も薄く、よく言えば機能性に優れた服で、悪く?言えばエロい服装。普通の男なら色めきたつのだろうが、生憎俺は欲情しない、出来ない。だから一瞥しただけで終わった。感想なんてある訳ないのさ。それよりも俺の格好のほうが重大なんです。余計なことは考えられない。しかし、メイドたちは俺の様子を見て傷ついたようだ。よほどプロポーションに自信があったんだろうな。でも無視する。俺の心はそれ以上に傷ついたんだ。以外にも繊細なんですよ、ドラゴンの心ってのは。


「そんなところで呆けてないで、手伝ってくれるんだろ。さっさと終わらしてくれ」


「はっ!こ、この姿を見て何の反応しない人は初めてだわ!くッ、この程度で誇ってはいけないということね・・・。姫様には敵いませんが、使用人の中では一番だというのに!・・・決めました、絶対にニーズニル様から反応を得てやります!」


そうぶつぶつとつぶやくメイド。俺には聞こえないようにしてみたいだけど、地獄耳ならぬドラゴン耳を持っている俺に対しては無駄よ。そしてその試みも無駄無駄無駄ァ!ああ、可哀想に。俺と一緒にいればどんどん尊厳が削れていくんだろうな。これは神に恥を欠かせた罰なのだ!ふははははは!・・・虚しいな、俺こんなキャラじゃないぞ。そしてこれからもなるつもりもないしな。慣れないことはしないほうがいいね。学んだぞ俺は。


「なんかいったか?そんなことをしている暇はないぞ。俺の精神力が事切れる前に終わらせてくれ」


「申し訳ございません。今行きます。まずは体を清めましょう」


二人は俺の前に来ると片方はスポンジを、片方は水入り桶を持っていた。ふむふむ、役割分担をするのだな。軽く水で流してから石鹸をスポンジにつけて洗う。それだけだというのに、なぜか体をクネクネさせながら洗ってくる。なんだ?踊ってるのか?あー、分かったぞ。さっき言ってたもんな。たぶんこの動きはエロいんだろうけど、俺から見れば不思議な踊り。混乱状態にはならないけど。いや、この場合は魅了か?とりあえずこういう時は無視するに限る。こっち来てからすっごい無視ばっかしてるなあ、としみじみ思う。


体を洗い終わり頭髪に移行。前からやっているので胸が目の前に。それでも微動だにせずぼーとする。なんかブルンブルン目の前で揺れていたけど、このままつつがなく終了。風呂に浸かり、精神的疲労を癒す。地味にメイドたちのせいで蓄積したから膨大な量となっている。つまり超イライラ状態のだが、元日本人として風呂は最高。みるみる癒えていきますよ。なんかもう笑顔でいられるぐらい。

でも俺とは対照的なさっきのエロメイドはこっちを凝視しているよう。こっからでは見えないが、ありありと驚愕の感情が伝わってくる。ざまぁみろ。あ、ゴメンナサイ。


長時間浸かったところで風呂から上がる。メイドたちはすぐに駆け寄ってふわふわなタオルで体を拭ってくれる。湯冷めしないからこの点においてのみメイドもありかな。

着替えだけはメイドを外に追い出しました。ここはメイドさんの言い分には含まれないからね、説き伏せました。服はまた同じゆったりローブ。魔法が掛かっているのか、バサバサすれば新品同様に綺麗になる。メイドは訝しげだったけど、実際に綺麗になったから許してくれました。


「ううぅっ・・・。な、なんでぇ・・・やっぱり姫様ほどの美貌がなければ恋愛はできないのぉ!周りはみんなゴールインしているのにわ、私だけぇ・・・。ぐすっ」


何でかなぁ。着替えてリビングに戻ったらメイドさんが泣いていました。もう一人のメイドは睨みつけてくるし。俺がなにしたってんだよ。と、こちらに気づいたらしく、慌ててこちらに向き直る。ちゃっかりもう一人のメイドも同じ行動をとる。ったく、ばればれだっつーの。


「うぉ、もうじわけありまぜん!そ、その気になざらないでぐださい。ちょっと失礼いたじますぅ!」


・・・この場合どうすればいい?意外にもあの子プライド高かったよ!?しかも脆かった。なんか言わなきゃだめだよな。また睨みつけられてるし。

仕方なく、出て行こうとするメイドに声をかける。


「はあ・・・。待てよ。何でそこまで落ち込むんだよ。確かに俺は反応しなかった。でもそれは俺が恋愛できない体質だからだ。客観的に見れば大層美人なんだろうな、俺には解らんが。だからそんな顔をしないでくれ。居心地が悪くなる。なんというか、姫様に変な気を起こさないって解ったという事にしとけばいいんじゃないか?そんなことをしなくてもお似合いの人は現れるよ。唯、今がそのときではないってことだ。ああもう!柄でもないことを言っちまったな。忘れてくれ」


その瞬間、逃げ出そうとしたメイドがピタリと固まる。数秒が経ち、何かやらかしたかと焦る。しかし、そのまま何の前触れもなしにメイドはその場に崩れ落ちた。もう一人のメイドが駆け寄り、宥めているが俺はそこから動かなかった。べ、別にヘタレだからじゃないぞ、俺が関わっちゃいけないと思ったからだ!

静かな部屋にメイドのしゃっくりの音だけが響いている。結構いたたまれない空気ですよ。今すぐ逃げ出したいぐらい。端から見ればメイドを泣かしたように見えるからなぁ。実際そうなんだろうけれども。一人で悶々と考えていると、いつの間にかしゃっくりの音はなくなり、静寂に包まれていた。


「せ、先輩!いったい何をなさっているのですか!」


思考の海から抜け出し、メイドたちのほうを見ると泣いていたメイドは土下座をし、もう一人は先輩らしいメイドの横でおろおろしていた。


「みっともない姿を晒してしまい申し訳ございません。又、ニーズニル様のお世話をするどころか迷惑をお掛けしてしまいました。いかなる罰でも受ける所存でございます。しかし、この娘だけは赦して下さいませ」


先ほどの震えていた弱弱しい涙声とは打って変わり、毅然とした意志の強い声となっていた。その決意はいったいどれほどのものか。


「先輩!何を仰っているのですか!私もともに罰を受けます!いえ、全て私がお引き受けいたします!」


「なりません!これは私がいけないのです!貴女はまだ若い。そしてまだまだ伸びていくことでしょう。こんなところでその芽を摘んではなりません。その芽を守っていくのが先輩としての役目なのです」


「せ、せんぱーぁい!」


「お、おーい・・・」


うわぁーん!

美女二人が抱き合って泣いております。こんな感動的なシーンに水を注せるわけがない。なので暫く待つことに。その後俺を待たせたことに気づいた彼女たちはより一層頭を下げたのであった。もう床にめり込んでいたんじゃないのか?


「申し訳ありません!全ての罪は私に「いえ、私でございます!「何を言っているの!私が・・・」


このままだと泥沼化しそうなので割り込んで止めさせる。よくやった、俺。


「もう、止めろ。君たちの友情はよく分かったから、な?まずは落ち着こう。それからなぜ罰を受けることが前提なんだ?特に気を害していないから、与えようとは思ってないんだが」


「まさか、ニーズニル様それだけはおやめ下さいませ!どのように見ても私たちは罰を受けねばならないような行動を起こしました!それを罰さないというのは罪を見逃すということと同義でございます。つまりはニーズニル様が罪に加担するということ。使用人として、これほどの屈辱は御座いません。ですから私に罰をお与えくださいませ!」


「いえ私が!」


「はい、ストップー。君たちの言い分は分かった。確かに何もしないというのは、俺の威厳にかかわるのか・・・。俺は王宮で働くことになった以上、そういうところにも気を付けていかないといけない。俺も浅はかだった。だからといって、どういう罰を与えればいいのやら」


「やはり、死刑か追放が妥当でしょうね・・・」


「!?なんでそんな物騒なことになるんだ!?いやいや、そこまでする気はない。罰を与えた、という証拠さえあればいいんだから。そうだな・・・どうしようか」


こういう時ってどうすればいいんだ?二人は神妙な表情で足元に正座している。俺的には痛めつける気はないので少しでも俺に特があるように・・・。じゃあ、あれが妥当かな。なんか釣り合わなそうだけど、ごり押しで納得させるか。


「情報。情報を逐一俺に寄越せ。俺はこの国の情勢ついては無知だ。しかも、メイドは情報通なんだろ?たくさんの噂や新しい情報の詳しいことを知っているはずだ。それを全部教えてほしい。勿論、他言無用だ。できる限り、噂を集めてくれると嬉しい。さて、これが君たちに与える罰の内容だ」


「本当にそれでいいのですか!もうそれは罰ではありません。申してくれれば、いくらでも情報など差し上げます。もう一度考え直してくださいませ」


「いや、これでいい。決めたんだ。それとも、罰が欲しいというのか?まあ、ぶっちゃけると弱みを握るという意味で罰らしい罰を与えないんだよ。与えてしまえば、すっきりなくなってしまう。そしたら俺に何の得もないじゃないか。痛めつける趣味は別にないし。だから絶対に逆らえない状況を作ったという訳だ。情報は見えない凶器だよ。偽ることもできるし、他者に流すこともできる。別に君たちを信用していないわけではないが、こっちのほうが確実だ。確かに情報はくれるだろう。だが信憑性は?機密性は?絶対とは言えないだろうよ。ましてや国王に聞かれたとなれば必ずや答えるはずだ。だが俺はその可能性さえも消しておきたい」


「で、ですが、いくらなんでもそこまで徹底する必要はあるのですか?いくら我々でも主人たる王には逆らえません」


「いや、違うね。もう君たちは王、国の使用人ではない。俺の使用人、所有物だよ。確かに国に仕えているのだろう、しかしそれ以前に俺の物になるんだよ。絶対に逆らっちゃあいけない。俺のために王に逆らえとまでは言わないが、嘘をつくぐらいの覚悟をして欲しい。もしも俺に損があったという場合は・・・どうなるかは分かっているよな?」


メイド二人は言葉を進めれば進めるほど顔を青くした。だんだんと俺の言ったことを理解してきているのだろう。それを見ている俺は自然と笑みを、それも暗い笑みを浮かべた。


「そ、それはお国を裏切れと申しますか!?しかも、従わなければ死を選ばなければならないということですか!ま、まさかニーズニル様、いったい何をお考えで!?」


「いーや、裏切るんじゃない。スパイだよ。死罪だって今回は起きてもおかしくなかったんだろ?それが伸びただけの話さ。しかも失敗しなければ罰は一切ナシ。逆にいいことじゃないかな。なに、しばらくはちょっと調べれば分かるような情報だから。俺の目的はこの国で圧倒的地位を手に入れること。ああ、俺自身のミスで君たち自身に被害が出ないようにするから。安心していいよ」


「・・・そういうものなのですか?私たちに非はありますし、このような話を聞いてしまった以上引き返すことは無理でしょう。王にも『このものに仕えよ』と命を受けました。解釈の仕方を変えれば、所有権の変更のようにもなるでしょうし。・・・わかりました。私どもは貴方様とどのような(地獄や破滅の)道を歩もうとも未来永劫裏切ることはないと誓い、いかなる時でも必ずやついて参ります。それが我ら使用人の務め、貴方様の手足としての誓いでございます」


言い切った二人は俺の前に跪く。マナを用いての忠誠なので俺が捨てない限り絶対に裏切ることはない。俺は口元に浮かべた笑みをより深くし、仕舞には声高らかに笑い出していた。


「あははははは!!まさか本当にこんなことになろうとは。しかもその原因がアレなのは雰囲気に欠けるが、まあ良しとしよう。さてこれで配下ができたというわけだ。そうそう、君たちの名を聞いていなかったな。自分の家臣の名を知らないというのはどうかと思うから。ついでに俺のことはハルでいい。」


二人は顔を見合わせ、先ほどから何かと問題を起こした自称美人メイドが口を開く。


「私はメイドの長、タリア・トーラスでございます。そしてこのものは新参のメイドの中でも一番良い人材である、カーシー・ストレンツでございます。私は侯爵家、カーシーは伯爵家の出身でございます。双方の家は他の家に比べ力がございますので、ある程度の情報は入手することが可能だと思われます」


俺は先ほどとは違う優しい笑みを浮かべ、


「そうか、タリア、カーシー、これからはよろしく頼むよ。できる限り君たちを殺したくない。君たちの働きに期待している」


「「御意」」




情報。


俺はそれを迦楼羅からもらった。

しかし、それは世界の情報だ。

生きていくための情報だ。

人々の名前や生活をすべて知っている訳がない。

ましてや逐一と変わっていくのが情報というもの。

未来でも知らぬ限りいずれは無知となっていく。

それこそ俺が恐れていた事。

情報戦において新鮮かつ相手を揺るがすカードを切れなければ、支配されるしか道は残らない。


確かに迦楼羅に頼めば寄越してくれるだろう。

でも絶対者から得た力ほどつまらぬものはない。

偽物の力など得たところでただただ虚しいだけだ。

己の力は己の手で集めなければ意味がない。

だが己一人ではできることは限られてくる。

そのための配下。配下とは己の力の一部。

それ故に配下(他者)の力であっても己の力で得たのと同義となる。


俺は(魔法)を得た。地位も得た。最後にあるべきものとは?

支えあっていき、ともに困難を乗り越えてくれる仲間か?

己の莫大なる力に見合う武器か?

何事にも挫けぬ強靭なる心か?

はたまた金か?



確かにどれも必要だろう。

人の思想によっては答えは変わる。

しかし、俺にはどれもいらない。

無くとも俺は十分に最強だ。

考えてみろ。

どこまでも力を持つドラゴンに仲間は、武器は、心は、金は必要だと思うか?

答えは否だ。


しかし、情報はどうだ。

今現在、未来を予測し身の振り方を考えねばならない。

それは人はもちろん竜にも当てはまることでもある。

力と知。

両方を極めてこそ本当の強者といえると俺は考える。

俺はそのための第一歩をたった今踏み出したということだ。


「では早速お前たちに仕事をやろう。不自然にならないようにできる限り王宮の情報を集めてこい。できたら裏を取ってっ来ること。まだこの国の力関係さえ知らないから、まだ大雑把な事しか言えないが。どんなものでもいいから頼んだぞ」


「「畏まりました」」


ふぅ、と一息つきソファーに座り込む。と、結構話し込んでしまったと思い時間を確認する。


「なあ、タリア。今何刻か分かるか?確か今日は宮廷魔術師の試験を受ける日じゃなかったか?」


「ああー!も、申し訳ありません!!すっかり忘れておりました!えっと、確か開始時刻は11の刻・・・わああ!お急ぎくださいませニー・・・ハル様!現時刻10刻30斗でございます!!」


「ええ!何してんだ!?急いで準備しろ!朝食は移動しながら食う!くっそ、初日から泡立たしい」


嵐のように部屋から飛び出る3人。

でもどこか、楽しそうな表情をしていた。


「急げ!遅れたらお前たちのせいだかんな!」


「お許しくださいませ~!二度とこのようなことがないようにしますからぁ!」


「おう、当たり前だ!」


・・・これからどうなっていくんだろ。

とても先行きが不安だ・・・

・・・どうしよ。

メイドたちの使い道考えてねぇ!!

一応ドジだけど有能ですよ?あの子たち。

ハルの性格豹変しちゃったよ!


2/21 誤字修正

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ