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第漆ノ章~平凡な日常を壊す影~

第漆ノ章~平凡な日常を壊す影~


~寮~

「あ~…朝か?」

海人は布団からモゾモゾしながら出てきた。

「む~…あ~」

海人は寝ぼけながら着替えだした。

海人がパンツ1丁になった時ドアがノックされた。

「にいさん…起きていますか?」

麗華だった。

しかし、海人はまだ起きているようで起きていない。

海人は朝は滅法弱い。

「はいりますよ……って、兄さん!!起きてるなら―――」

麗華が言い終わる前に海人はそのまんま寝てしまった。

「くー…くー…」

「…兄さん…もう!!」

麗華は海人の制服をとり寝ている海人に服を通した。

(案外軽いんですね…しかも、体小さいのに…鍛えられて――――)

「私は…なにを兄さん相手に!!」

その後、麗華はぶつぶつ言いながら寝ている海人に服を着せた。

「お~う海人!!」

浩太は寮を出たところで海人に話しかけた。

しかし海人は、

「ZzzZzzZzzZzz…ぐうぅ」

海人はまだ寝ていた。

「兄さん…朝弱いのは変わってないんですね」

麗華は浩太に言った。

「あっと…あの、美人さん!?」

浩太は驚いて一歩前に下がった。

よく見ると麗華は自分の腕を海人の腕に絡めていた。

「ごべらっ!!」

浩太は後ろに吹っ飛んだ。

そして、海人はその音で起きた。

「ムゥ~、あ~…朝か…」

海人はふぅとため息をついた後自分の格好をみた。

「あれ?…俺いつ着替えた?」

海人はかなり驚いている。

が冷静を装いつつ…。

「ボクハオオキクナッタラ、ナチュ…ナ、ナチュ…」

海人は噛みまくった後ふぅと息を吐き…黙った。

海人の声を聞いて近くにいた上級生たちは口々に「かわいい~」とか「超好み」などと言って立ち去って行った。

「にいさん…人気ですね」

麗華はジト目で海人を見た。

海人はそのことには冷静にかつ普通に言った。

「…大丈夫、俺は年上は好きじゃない!!」

海人は昔から何故か年上の女性に好かれることが多くあったので恐怖の対象と化している。

「そう…ですか」

海人の熱弁に一歩引いたが麗華はそのあと海人に思いっきり抱きついて。

「私は…ダメ…ですか?」

上目使いだった。

海人は一旦深呼吸して答えようとしたとき…。

「なぁああああああああああああああああああああああ!!」

励が大きな声を上げ驚いたように言った。

そして、何かを言いつつ走り去った。

正直聞き取れる速さの物ではなかった。

「…そうだ、学校へ行こう」

海人がそういうと麗華は一度頷いて。

「そうですね」

そう答え二人で学校へ向かった。

学校へ向かう間も麗華は海人の腕を放さなかった。

ずっと、ずっと握りしめ放さないようにしていた。

それは、他人から見たらお熱いと思われるかもしれないが海人達から見たらそうは見えない。

麗華のその行動はまるで、大切なものをもう二度と放さないようにしているようにしか見えない。

海人にもそう見えた。

麗華は昔はよく海人に甘えていた。

ただでさえさみしがり屋な性格だ。

それに、あの事件があってから麗華とはほとんどあっていない。

海人があったのはそう…7年前くらいだ。

海人は自分の妹をほほえましそうに見た。

麗華は本当にうれしそうな笑顔を浮かべている。

そこに…。

「何故だぁ~…何故だぁ~」

浩太が雰囲気をぶち壊しに来た。

それも、高速で…。

(人が干渉に浸っているときにになんてことを!!)

海人はそう思いつつ口には出さないようにして言った。

「麗華は俺のだ!!」

妹が抜けていた。

海人自身はそれに気づいていない。

ちなみに、今は時間にして朝の7:30。

人どおりは多い。

特に最近入学した1年生は遅れないためこの時間に来ることが多い。

そのなかで大声で海人は公言したのだ。

当人の麗華は顔を真っ赤にして呆けていた。

麗華も気づいてはいた。

『妹』…いや『義妹』と言われることを…。

「なんだ?どうした?浩太」

海人は麗華と腕を組んだまま浩太に近づいた。

浩太はいきなり目をうるうるさせて。

「俺は彼女なんて…いらないんだぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

物凄いスピードでいなくなった。

早いを通り越していた。

「あれを実戦でだせればな…」

海人はうんうんと頷いていた。

ちなみに、麗華はまだ呆けていた。

海人はそんな麗華の顔を覗き込むかのようにして見て言った。

「お~い、どうした?」

麗華は、海人の声を聞き冷静を装いつつ言った。

「私は…だっ…だい…大ジョブですよ!!」

噛み噛みだったがとりあえず海人は気にもとめず笑った。

「あははっ…おもしれーや」

海人は笑った。

麗華はそれを見て一緒に笑った。

最初こそ麗華も自分を馬鹿にされていると思ったのだが海人の顔をみてそうじゃないと気づいた。

海人の顔は昔のような顔つきだった。

それは、幼くなったとかではない。

麗華から見て一番兄が兄として輝き心が強かった時期の顔つきだ。

なにか、決意をしたようなそんな顔。

麗華はそれをみて一緒に笑った。

なぜなら、その笑顔は自分を褒めているかのようだったからだ。

「えっと…いい話の所いいかしら?」

二人が笑い合っているところに希海が来た。

「ははっ…ああ…はぁ……はぁ……いいぜ」

海人は疲れていた。

はぁはぁ言いつつ息を整えてもう一度言った。

「いいぜ」

希海はそれを確認して言った。

「海人はこれから私のことを護衛してもらうから!!」

希海は空いている海人の腕に自分の腕をからめ言った。

「わかった!?」

海人は麗華を一度見た。

麗華は笑顔でうなずいた。

海人はそれを確認してから言った。

「OK、俺のできる範囲でな」

海人の返答を聞き希海は満足したのか腕をはなし去って行った。

海人と麗華はその背中を見つめていた。

そして、時間にして30分後に海人は教室についた。

ちなみに教室で海人は麗華のことをさんざん聞かれた。

そして、HRが始まった。

HRはそこまで面白いものではない。

HRでは昨日の模擬戦をもとに自分の護衛するお嬢様を発表するものだ。

海人は机に突っ伏して受け流している。

ちなみに、励はどこからか魂が抜けたような顔をしている。

おそらく、自分の護衛したかったお嬢様ではないのだろう。

海人は、海人の護衛するお嬢様をもう告知されたのでどうでもよかった。

HRは難なく終わった。

先生の話だと教室に自分の護衛するお嬢様が来るとのことだった。

「まぁ…いいか」

海人はつぶやきつつもう一度窓の外を見た。

そこには曇りない空が続いていた。

「海人~」

励が来た。

いつの間にか復活していたようだ。

「なんだ?」

「聞いていなかったのか?」

励はなぜか誇らしげだった。

最近励のキャラがいろいろ崩壊してきたなと海人は思ったが口には出さずに言った。

「俺は基本は刹那主義なんだ」

海人はそういうと励の肩を叩いた。

「つまりは聞いてなかったんだな」

励は笑顔でそう言った。

その笑顔はまるで、自分の親友が何一つ変わりなくそのまんまであるのを喜ぶかのようだった。

海人はその質問に答えなかった。

「新しい先生が来るんだとよ!!」

海人はいきなりどうでもよくなったのかふっと息を吐いて言った。

「俺は昔から年上が嫌いなんだ」

海人はそう言って前髪をかき上げた。

「そうだったな…嫌いというか苦手じゃなかったか?」

励がそういうと海人は冷や汗を流しながら…。

「ソウトモイウ」

カタカナ言葉だった。

そのあとすぐにチャイムが鳴った。

海人はそのほかの情報を聞けなかった。

(まぁ…今から来るのがおそらく新しい先生だろう)

海人はそう思い適当に受け流すことを決断した。

そして、しばらくしてから教室のドアが開いた。

そしてあらわれたのは背が低い白衣をまとった少女だった。

「はぁ~い、席につけぇ~」

少女は長い髪に赤い目をしていた。

ちなみに髪の色は金である。

背丈も海人より低くおそらく130㎝だろう。

海人は驚きながらその先生を見ていた。

「じゃーまかしたぁ」

そう言って横にいる執事の正装をした男に主席簿を渡した。

「では、私が…」

そう言って主席を取り始めた。

しかし、海人は驚いていた。

彼女らをみて。

海人は思い出した。

そして、これはこれから始まる大惨事のプロローグにすぎなかった…。


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