第壱拾肆章~過去の清算 ビョウイン~
第壱拾肆章~過去の清算 ビョウイン~
「夏だ!!
海だ!!!!
美少女だぁあああああ!!!!!!」
浩太は教室で咆哮していた。
「まぁ、夏まではあと少しだしな」
励は呆れたような顔をしている。
ちなみに、テンションが上がっているのは浩太だけだ。
なぜなら、夏には一大イベントの新人戦がある。
この新人戦でいい成績を出せなかった場合居残りとなる。
「……静かにして」
霞は浩太に言った。
浩太は「ハハハッ、誰が―――」とまで言いかけて動きが止まった。
ちなみに、霞のいるのは浩太の後ろ。
浩太はなぜか青ざめていた。
「静かにする?」
霞は静かに言った。
ちなみに、浩太は顔が真っ青だ。
補足すると励は目線を合わせないようにしていて海人はポーカーフェイスでおとなしくしていた。
「し……します」
浩太は手を上にあげて言った。
すると、霞は少し笑って椅子に座った。
「あははっ、霞お嬢様さすがに……この浩太ナイ―――」
浩太は何かを言いかけて停止した。
全く動かない。
ただただ微妙な笑顔を浮かべているだけだった。
「浩太は少しおしゃべり」
静かにそう言った。
励と海人はため息をついてから適当な会話をした。
「そういや、梓乃は?」
海人は励に聞いた。
励は少し笑ってから指をさした。
その先では梓乃が机に伸びていた。
「なるほどな」
海人も少し笑った。
海人と励は2人で笑った。
そのころ、希海と麗華は病院にいた。
「私たちは何をやってるのかしら?」
希海は不思議そうな顔をしていた。
なぜならレントゲンを撮っているからだ。
「骨をとってるんですよ?」
「骨??」
希海はレントゲンをしらない。
それほどまでのことをしたことがないからだ。
「レントゲンっていうんです」
「へぇ~」
それを聞いてその機会を子猫のような目で見つめた。
「それより、兄さんは何をしてるんでしょうね?」
「多分だけど……あいつは変わらないわよ」
「ですね」
2人は仲良くレントゲンを撮っていた。
~教室~
「遅いな」
海人は廊下にいた。
麗華はともかく希海の帰りが遅い。
いくら検査といえど4時間は遅い。
しかも施設はこの学校にある。
それを考えると4時間はかかりすぎている。
「行くか」
そう言って一人で施設に向かった。
その途中、死銃とすれ違った。
海人は振り返った。
死銃も海人を見ていた。
「こんにちは、海人君」
死銃はニッコリと嗤った。
海人は一言「こんにちは」と言って歩き出した。
海人が振り返ったのには理由がある。
(あいつ……死臭がした)
それは、動物が死ぬ時の独特のにおいだ。
(気のせい?か……)
海人は歩き出した。
施設に向かうために。
海人は施設に向かった。
「失礼します」
海人は施設のドアを開いた。
そこは開けていて白衣を着た人がたくさんいる。
「どうしたんですか?」
「あ……希海、お嬢様の護衛の者です」
海人はなるべく丁寧に言った。
「わかりました。
ご案内します」
そう言われて病室に案内された。
「ここです」
「ありがとうございます」
案内人の人は去って行った。
海人は、「入るぞ」と言って病室に入った。
海人は病室を開けて固まった。
病室には2人がいる。
何故か2人が下着姿でいた。
「あ……え?」
希海と麗華も驚いて口をパクパクさせていた。
海人は2人の姿を見てから「すまん!!」と言ってドアから高速で出た。
(……何時の間に、黒と白……麗華はあんなに、希海も結構、じゃ、ない!!)
「馬鹿野郎、俺は何を考えてるんだ!!」
海人は頭を振った。
「……兄さん、入っていいですよ?」
麗華が小さな声で言った。
海人は「お、おおう」と言って病室に入った。
海人は2人の姿を見た。
(2人は制服を着ているがさっきの下着姿が容易に想像できる……俺は変態か!!)
海人はそう思いつつ2人に話しかけた。
「い、行こうか?」
2人は動かずに下を向いていた。
「えっ……と」
海人は2人に近づいた。
あと1mと言うところで海人は止まって2人に言った。
「教室に―――」
海人が言い終わる前に海人の視界が揺らいだ。
「へ?」
海人は気づくと床の上に寝ていた。
そして、なぜか重い。
海人は自分の体を見ると……。
「う~~~」「………」
唸っている希海と静かに顔を赤らめながら海人を見る麗華がいた。
「えっと……すまん!!」
海人はとりあえず誤った。
すると、2人は……。
「……そんなに、醜かった?」「……そんなに、嫌でした?」
2人で違ったことを聞いてきた。
海人はとっさに。
「2人ともいい体してたよ!!」
全力で答えていた。
そして、海人は後悔した。
(……そうか、俺は何時の間にかここまで変態になってたんだな)
海人はそう思った。
「ほんとに?」「ほんとですか?」
2人の顔は輝いていた。
海人は想像した。
(もしも、『いや……そうでもなかった』と言った場合)
「兄さんなんか嫌いです!!」
「海人はもう近づかないで!!」
(俺、自殺するかも)
そう考えた末に海人は言った。
「もちろんさぁ!!」
結局その後看護婦が来るまで海人は押し倒されていた。
「えへへ~」
希海は教室でご機嫌だった。
ちなみに、海人は微妙にやつれていた。
なぜなら看護婦さんに……。
『二股は気を付けてくださいね?
かの有名な誠氏二の舞にならないよう―――』
とかなんとか言われたからだ。
ついでに言えば麗華もご機嫌だった。
そして、その日は2人ともご機嫌だった。
「明日は、幸せでいられますように」
そして、この日は何事もなく終わった。
そして、夏休みまであと5日となった。
ちなみに、新人戦までは残り1か月くらいとなった。
「準備はもうすぐできるよ」
琺瑯者は少女と二人で学校の上にいた。
「そうですね……待ってていてください。
九十九 海人」