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第壱拾参ノ章~過去の清算~

第壱拾参ノ章~過去の清算~


~???~

「全てをリセットし始めからにする。

 そして、もう一度リターンする。

 なんて望ましいんだろうか。

 そして、そのおかげで何人の人が救われるんだろうか。

 なんと平等だろう。

 私はそのために過去を清算する」

琺瑯者ピエロは笑顔でそれでいて不思議な顔をした。

「……どうするんですか?

 このままだと九十九 海人が力をつけますよ?」

顔を仮面で隠した女の子は琺瑯者に言った。

琺瑯者は嗤った。

笑顔だった。

顔こそ包帯でまかれていて区別はつかないが嗤っていたに違いない。

少なくとも女の子にはそう見えた。

琺瑯者はそのあと一度頷き言った。

「私はそれでもいいのだよ。

 私は彼に人類の最期の希望を託してるだけだ。

 彼の所為で今が終わるか始まるかなんだ。

 まぁ……時はまだ満ちていない。

 近いうちに殺しに行くよ」

2人の姿はもうなかった。

ほんの一瞬だった。

そして、その頃海人たちは。


「なぁ…怠いんだが」

海人は引っ張られていた。

麗華と希海にだ。

麗華と希海は海人によってけがをした。

怪我はそこまで重くはなかった。

しかし、足の神経を思いっきり焼切っていた。

普通は歩けなくなるレベルだが海人は海人で仕掛けをしていた。

海人は2つの種類を付けられる。

1つ目はもちろん貫通を付けた。

2つ目は治癒を付けたのだ。

それも極限まで遅く回復する治癒を。

そのおかげで撃ったときにばれずそのまんま二人はバランスを崩した。

犯人のクルセイダーから見たら海人は2人を撃たないと思っていた。

だが、撃った。

そこに動揺が生まれた。

そしていきなり励が出てきた。

さらに人質の2人はバランスを崩している。

その状態はある意味一撃必殺。

悪く言えば無茶。

だが、その賭けに勝った。

「兄さんのお蔭でもありましたがそのおかげで死にそうなくらい痛かったです」

麗華は海人の耳を引っ張りながら言った。

「そうね、私も少し許せないところがあるわ」

希海は怒っているというよりあきれているようだった。

「悪かった。

 許してくれ何でもする」

海人は引っ張られながら頭を下げた。

その言葉に反応して2人は一斉に海人から離れた。

「ほんとう?」「ほんとですか?」

希海と麗華の声は見事にシンクロしていた。

海人はどこか後悔していた。

2人にそれを言うのは間違いだったと。

「お手柔らかに頼むぜ?」

海人は少し顔をひきつらせながら言った。

二人は少し笑っていた。

海人はそれを見て覚悟をした。

というか決めた。

もう二度と二人に何でもすると言わないことを。

ちなみに、そのあと海人は二人にこき使わせらたのだった。

「体が痛い」

海人はつぶやきながら部屋で寝ていた。

二人には海人に料理の手伝いやら買い物の手伝いやら挙句の果てに掃除までやらせた。

でも、海人はそんな日常に近いことが幸せだった。

いままで海人はこんなふうに友達と会話することがなかった。

しかし、今ではたくさんの友達に囲まれている。

だからこそ、〝今〟を守りたかった。

海人はふとカレンダーを見た。

カレンダーには5月と書かれていた。

「もうすぐ夏休みか」

海人の学校は基本的に夏休みが早い。

その理由は海人にはわからないがとりあえず早いらしい。

6月の6日にある新人戦のは夏休みの中旬に位置する。

そのため夏休みに入っても練習する人は多い。

ちなみに新人戦で負けた人は残りの夏休みを定期的に来てそれで居残り練習させられるらしい。

なので基本的にこれは長期休暇というより長期練習に近い。

「詳しくは聞いてみるしかない」

海人はそう言ってベットに腰を掛けた。

よく見ると時間はもう10時になっている。

海人はため息をついて布団に入った。


~次の日~

「ねむ」

海人は起きた。

時間的には学校が始まる。

ちなみに、昨日あの事件が起きたところはすべて魔法の力で修復された。

それと、昨日の犯人も捕まった。

あのあとは励と浩太はその場で寝てしまい麗華と希海は海人を使い朋和は妹の所に行った。

学校も落ちつき何より今の所普通に生活が出来ている。

ただ、問題点がいくつか出てきた。

1つ目は、海人のこと。

海人自身は自覚がないかもしれないが身体能力の飛躍的上昇は誰から見てもわかることだった。

それを踏まえると海人に関してはいつか何らかの方法で実験が行われる可能性が高い。

2つ目は、この学校のこと。

この学校では何かが行われているというとこ。

その何かの所為で今回の事件が起きたということ。

それと……。

「俺は狙われている」

海人は自分自身で分かっていた。

これはただの予感でしかなかった。

海人の第六感はそう告げていた。

「今は、様子見か」

そう言って海人は学校に行った。

学校の道筋は長いようで短い。

海人はゆっくりと歩いていた。

しばらく歩いていると1人の女の子がいた。

その女の子には見覚えがあった。

「先生なにやってすか?」

ドール、最近来た先生だ。

「えぇ~?

 私わぁ……きれいな桜をみてるんだよぉ?」

「もうほとんど散ってますけど?」

海人の言ってることは嘘ではない。

現にもうほとんどの桜が散っている。

「そうだねぇ」

ドールはどこか憂い目で見た。

「そういえば―――」

海人は夏休みのことを聞こうとした。

「なぁに?」

しかし、その眼を見てやめた。

何故か聞いてはいけないようなそんな眼していたからだ。

「いえ、なんでもないっす」

そう言って海人は歩き出した。

海人に歩幅を合わせてドールも歩き出した。

ドールは背が低い。

海人ですら背が低いのにそれより低い。

見た目は低学年に近いくらいだ。

海人はドールに目を向けずに言った。

「何ですか先生?」

ドールは何も言わない。

ただただ海人の歩幅に懸命に合わせている。

その姿は兄について行こうとする妹にも見える。

「はぁ」

海人はため息をつき歩く速度を下げた。

すると、ドールは海人を見た。

「どうしたのぉ?」

ドールは不思議そうに海人を見た。

「そっちこそ、道違いますよ?

 教師は教師で朝は会議あるんじゃないですか?」

海人の一言に「そうかぁ」と言った。

しかし、道を変える気配はない。

「まぁ、いいですけど……。

 ところで、なんでここに来たんですか?」

海人はとりあえず適当に話してみた。

ドールはう~んとうなってから言った。

「私わ~あなたに会いに来たんだよぉ?」

突然だった。

海人は驚いた。

ドールは笑顔だった

そこに、浩太が来た。

「おい、海人何してんだ?」

海人は「おう」と答えた。

「じゃあ、またあとでねぇ。

 九十九 海人君♪」

そう言って駆け足でいなくなった。

「何話してたんだ?

 海人よ」

浩太は海人に近づきながら言った。

海人は浩太に作り笑いをしていった。

「なんでもねーよ」

そう言って二人で学校の道筋を歩いた。

ちなみに、麗華は学科が違うためこっち方面ではない。

「麗華ちゃんと希海ちゃんがいないな」

やはりそれに気づいたのか浩太は海人に聞いた。

海人は答えた。

「麗華は学科が違うしそれに昨日は疲れていたからおそらく俺の所にはこれないし。

 希海は先に学校にいるかもしくは完全にこないかだ」

俺が答えると浩太は「はぁ」とため息をついた。

「俺のお嬢様は来るなとさ」

浩太は嘆息して言った。

海人は苦笑しながら言った。

「霞さんか」

海人は靴を履き替えた。

「お前が〝さん〟を付ける意味も分かる」

浩太はまた嘆息した。

そんまんま教室に向かった。

二人の会話は普通のものだった。

そして、教室についた。

「おはよう」

先に励がいた。

励は梓乃と話していた。

励の護衛対象者は梓乃だ。

梓乃はこっちの存在に気付くと手を振って「おはよう」と言った。

海人と浩太は同時に「おはよう」と二人に返した。

そのあとは何事もなくHRが始まった。

ちなみに、希海も麗華も今日は検査の為休みらしい。

海人は安堵の息をついた。

そして、HRではこんな話をしていた。

『6月の6日に新人戦がある。

 それに備えろ。

 それから、夏休みは1週間後だ』

ということ。

入学してすぐ夏休み。

だが、その夏休みはあるようでない。

それは毎回いわれているらしい。

海人はそのHRを聞きながらため息をついた。

「夏休み……早くね?」

そう呟いて窓の外をみた。

窓の外では元気に鳥が羽ばたいていた。


~???~

「なるほどね」

煙草を吸いながら死銃はどこかの地下室にいた。

「これを隠したかったのか」

死銃はそう言って嗤った。

「6月6日、地獄の始まり……だ」

そう言って死銃の姿は消えた。

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