第拾章~始終 ハジマリ~
第拾章~始終 ハジマリ~
「始まったのかい?」
校長は近くにいた教師に聞いた。
その教師は電話を受けた教師だ。
「多分……今の音からすると西部のほうが……」
1時間たったかくらいに大きな音がした。
おそらく、西部のほうだろう。
また、この学校自体みんな特殊な能力を持っているためおとなしくしない生徒もいる。
そう言った生徒を朋和は止めていた。
また、励と浩太それから海人は集会所の中心でただ立っていた。
3人は言葉にはなにもあらわさずただ立っていた。
そして、梓乃と霞は何もせず2人でただ座っていた。
そして…
おそらく、2時間くらいだろうか。
犯人のクルセイダーと名乗ったものはからはまだ連絡の1つもない。
「ったく!!
もうそろそろ行かせてもらうぜ!!」
生徒たちも限界だった。
あたりまえでもある。
この学校自体特殊で能力者を集めた学校だ。
そのため1人1人に力がある。
生徒たちから見たら教師の言っていることは簡単に言えば『お前らには何もできない』と言っているようなものだった。
教師たちも何もせず生徒たちも現場待機。
この状況はいいものとは言えなかった。
また、数名残っている生徒がいる可能性もあるらしい。
そのせいもあり現場は思いっきり緊迫とした状態だった。
この学校は、東部、西部、南部、北部、中部、と分かれている。
ちなみに、集会所は中部に位置する。
また、新人戦なども、この中部で行われる。
この学校は規模が大きいしかも異能や身体能力の高い人ばかりが集まる学校だ。
それを考えるとこの学校にテロ行為をすることが無謀と言っていい。
しかし、今回は普通にそれをやってのけた。
驚くと同時に焦っていた。
つまり、敵も何かしらの〝切り札〟があるのだろう。
現場の状況は最悪だ。
魔法騎士団……簡単に言えば今の警察のような人たちだが……。
魔法騎士団に連絡しても手を打てないのは同じだろう。
「校長、そろそろ限界です」
生徒たちを止めていた教師が校長のもとに駆け寄りそして伝えた。
校長はそれを聞き顎に手をあて考え込んだ。
するといきなり放送がはいった。
『私の名前は〝クルセイダー〟』
その一言によりざわついていた校内が静かになった。
相手は変声機も使わず普通に言った。
『私はこの腐った世界を……いや、悪を滅ぼすものだ』
その声を聞いて校長が言った。
「歳は……30代といったところか」
校長の声は静かな集会所に響いた。
すると、クルセイダーはいきなり笑い出した。
『あははははははははははは』
そのいきなりの高笑いに怒りを覚えない者はいなかった。
この学校の女子は基本〝お嬢様〟だ。
つまり、プライドが高い正直そのプライドが高い人たちが黙っているはずがない。
現に数人苛立っているようにみてとれる。
『いや、失礼した。
君たちは愉快だな……殺すのが惜しい。
そうだな、じゃあチャンスをやろう』
まるで道化のように言った。
『チャンスは一回、選択ゲームだ。
確率は2分の1』
クルセイダーは続けた。
まるで、ここの生徒たちをあざ笑うかのように……。
『そうだな……解答権はここの生徒会長、と言いたかったのだが。
残念だよ……確か負けてしまったらしいね。
そうなると自動的にその生徒会長を負かした九十九 海人君に解答権が渡るね』
海人に視線が集まった。
海人は落ち着いていた。
海人には関係がなかったからだ。
そう、テロは関係がなかった。
だからこそきちんとした選択ができるともいえる。
『では、30分後にそっちに行くよ。
楽しみにしていてね。
それと、死なないように』
放送が切れる音と共に変な音がした。
全員がその音の出たほうをみた。
その音は生徒たちの出入りするドアからしたものだ。
音は至って小さい。
だが、少しずつこっちに近づいている。
「海人君!!」
朋和は海人に近づいた。
「なんだ?」
海人は朋和のほうをみた。
朋和は一拍おいてから言った。
「麗華君と希海君の姿が見えないんだ。
海人君は知らないかい?」
「な……んだ、と」
海人は驚きを隠せなかった。
その様子をみて朋和は「知らないか」と言った。
朋和はその後海人に一言すまないと言った。
「どういうことだ?」
海人が朋和に聞いたところ朋和は二人が放送室に入るのを見たらしい。
海人はそれを聞いて出入り口に向かった。
集会所の出入り口は1つしかない。
そう、変な音がするほうだ。
おそらくクルセイダーと名乗ったものが何かをしたのだろう。
海人は人をかき分けドアの前に立った。
ドアの所には教師が立っていた。
海人は自分の武器をだした。
魔法科の生徒は基本的に自分の武器を具現化させる。
具現化というのは簡単に言えば召喚だ。
空間を歪ませその歪みに武器をしまう。
それが魔法科の一番の特徴だろう。
剣術科は武器を必ず持ち歩いている。
剣士、魔道士、武道家は基本的にそれぞれにものすごい特徴がある。
ちなみに、剣術科というのは剣士のことだ。
魔法科は魔道士。
武術科は武道家。
剣術科は必ず刀を持っている。
武術科は必ずナックルをつけている。
魔法科は何もない。
この3つの科はそう言った特徴がある。
魔法科は見た目は何も持っていない。
それが特徴だ。
ちなみに、魔法科は空間を歪ませられるがそれは広範囲ではない。
範囲は多くて自分の周りかその程度だろう。
広範囲に対して空間をゆがめるというのはあり得ない行為だ。
海人は自分の武器≪ガン・ブレード≫を構えた。
「どけよ……ヘタレ共」
そう言うと海人は容赦なくドアを撃った。
速度的には早く攻撃力は少ないが逆に今回は連射できていた。
教師たちはそれに反応し後ろに下がった。
「九十九~、貴様は何をする!!」
教師の一言で海人は撃つのを止めた。
そして、その教師に銃口をむけた。
「文句を言うなら俺を殺してみろよ」
海人の声と共にドアは向こう側に倒れた。
すると、何かがいた。
それはおぞましかった。
顔は3つありライオン、サメ、ワニの3つの顔に対し体はサイのような体。
尻尾は無数にありみただけでも、ネコ、イヌ、キリン、リス―――。
「実験型合成魔獣≪キメラ≫」
誰かがそう言った。
確かに見た目こそ悪いが実験型合成魔獣≪キメラ≫はまだ成功例が少なくこれからの科学に役立つらしい。
そのため注目されていたが。
「こんなとこでみることになるとはな」
海人はそういうと実験型合成魔獣≪キメラ≫に数発撃った。
しかし、そいつには全く通用しない。
体に全く当たらない。
「アガッ……ウガァァアアアァァアアアアアアァアアァァア」
実験型合成魔獣≪キメラ≫は世にも奇妙な声を上げた。
そして、実験型合成魔獣≪キメラ≫は唾液らしきものを海人に向かって吐いた。
海人はそれを避けたがその避けた先にもピンポイントで吐いた。
海人はその唾液を当たらない位置までバックステップで避けた。
ちなみに、その唾液のあたった床はきれいに溶けていた。
海人はその実験型合成魔獣≪キメラ≫と向き合った。
「殺し合いといこうか」
そう言って海人と実験型合成魔獣≪キメラ≫の戦いは始まった。
誰も手出しできなかった。
海人は並みはずれた身体能力で避けているが普通では避けれるスピードではない。
体自体がでかく3m位に及ぶ体を音速で動かしている。
しかし、海人には全く当たっていなかった。
実験型合成魔獣≪キメラ≫が攻撃したところにすでに海人はいない。
海人は励に言った。
「お前、大火力の魔法使えたよな?」
励は「ああ」と言った。
海人はそれを聞いて言った。
「頼む、俺が時間を稼ぐから演唱してくれねーか?」
励はうなずき演唱を始めた。
そして、浩太は何も言わず弱いながらも大火力ではないが魔法を演唱していた。
戦いは始まった。
そう、
ついに
壊れた歯車が
動き出した。