episode1-2 ツウガクロ
俺が朝ご飯を食べ終えるとほぼ同時にそいつはやってきた。
「おはようございまーす!」
秋野ソラ。
こいつとは幼なじみで、そういやこの頃は一緒に登校してたっけ。
「ほら早くしなさい。」
母親に急かされ、着替えを済ませた俺はしぶしぶ玄関へ向かう。
「ちょっとあんたどこいくの・・・」
は?どこって仕方ないからとりあえず学校に・・・
頭を抱える母親。
「・・・ランドセルも持たないで」
うっ・・・ランドセルね。
ランドセルを背負った俺は外見だけは完璧な小学生となり、幼なじみと通学路を行く。
そういやここにコンビニなんてあったなぁ。
とかそんなことを思いながら。
「ハルくん聞いてる?」
「んぁ?」
「ちゃんと算数の宿題やってきた?」
どうだろ?
やる義務があるとしたら小学生の俺だからな。
「もしかしてやってないの?」
「うーん・・・忘れた」
「やっぱり」
呆れたように溜め息をつくソラ。
違うぞ、宿題を忘れたわけじゃなく宿題をやったか忘れたんだ。
なんせ10年も前のことだからな。
それにしても・・・
ソラの頭をポンポンとたたく。
頭をたたかれたソラは目を丸くしてこちらを向いた。
「ちっこいな」
幼なじみの懐かしい姿に思わず笑みがこぼれる。
「ちっこくないよ!
ちょっとハルくんの背が伸びたからって」
まぁめちゃくちゃ縮んだんだけどね。
それにしても、ちっこいソラに和んでる場合じゃないよな。