第八幕:そして永遠へ
やあ、君。ギルガメッシュとシャムハトは、来た道を戻る。
ボクらはウルクに戻れるんだ。
きっと羊の丸焼きを、今度こそ味わえるんだ。
第七幕では、太陽神から神々の秘密をちょっとだけ教えてもらったボクらは、宴を夢見てウルクへと戻る。
さてーー道中、シャムハトに変化があった。彼女は時折、ギルガメッシュを見つめるようになった。
目には理性の光が戻りかけていた。
ギルガメッシュは、
彼女を何度も見つめた。
彼は彼女が好きだった。
だから、彼女に言葉を贈ることにした。
しばらくして、ギルガメッシュは
シャムハトと向かいあって、
彼女に前にした物語を耳元で囁く。
ーーシャムハト。
君には妹がいた。
どんな時も忘れるはずがない妹だ。
黒い髪に琥珀の瞳
耳の上につけた小さな花飾りが目立つ子だ。
君たちはいつも一緒。
手を繋ぎ、同じドレスを身につけて
二人で踊りを捧げた
市場や
山や川
神々に捧げた
一生別れることがない姉妹
川が暴れた時、
妹が川に連れさらわれた
君が踊りに誘わなければ
親は君を責めた。
今も君は孤独を感じる
妹を失ったのは
君のせいじゃない
逆らえない運命があった
川はまるで暴君だ。
穏やかな時はいい
だが何かあれば手がつけられぬ
王が運命に立ち向かおう
エンキドゥの如く
シャムハトの為に。
王は自然と戦う
生きる為に。
君の為に。
民の未来のために。
ウルクに戻り、
我は再び王になる。
シャムハトは物語を受け入れると、
ブルッと身体を震わせた。
彼女の魅力的な果実が、
ブルンって弾んだ。
彼女の目には知性が戻り、
狂気は光に怯えて縮こまった。
彼女は、王の顔を見た。
「お慕いしております。我がギルガメッシュ王。あなたの側が私の居場所ーー」
彼女は王の名を呼ぶ。
ギルガメッシュの名をね。
そして、
ギルガメッシュは、
彼女との旅をウルクに戻りながら話す。でも、語り始めるのは
始まりの王の幻視だ。
王は語り始めた。
ティグリスとユーフラテスの川の泥で、街が作られた。高い城壁を越えた先、大きな宮殿の奥深くの広間には、陽光が白い石の床に映る。
その中央に彼は立って、
鳥のように両腕を広げた。
『我が父、ルガルバンダ……
英雄と呼ばれ、
神の子と謳われた男。
だが、我はそれを超える。
神の血が我が身に流れ、
ニンスンの子として生まれし我は、
二分の一が神だ。
いや、父もまた神の血を引くなら、我は神に限りなく近い存在だ!』
物語を語り始めた彼は、クジャクの扇のように両手を広げた。
『そうだ、
我が名はギルガメッシュ・ウルク。
ウルクの王なのだ!』
こうして、物語は再び始まる。
始まりの王の物語として。
永遠に、語り継がれるのさ!
(こうして、物語は幕を閉じる。)




