第三幕:死んだのは王
やあ、君。ギルガメッシュとシャムハトの旅が始まった。
第二幕では、狂いしシャムハトと街中で出会い、哀れに感じたギルガメッシュはエンキドゥの名乗り、
彼女を旅に連れて行くことにした。
女はエンキドゥの頬をなで、
彼の裾を掴み離さない。
ウルクの門を越えてもなお。
『死を恐れ、さすらう者よ
恐れは汝の試練なり
死は時と共に近づく
ためらうな』
とても過酷な旅だった。
太陽は容赦なく照りつけた。
太陽が沈めば寒くなった。
二人で羊の毛布に包んでよりそい、
また繰り返しすすむ。
『山を求めよ
それは北にある
川を辿れ
道は示される
道が閉ざされた時』
寒さや乾いた砂や熱波が、
二人の体を痛めつけた。
問題はそれだけじゃない。
盗賊が七度彼らを襲い、七度退けた。
狼が彼らを七度襲い、七度退けた。
空腹が彼らを七度襲い、七度退けた。
『舟がある
乗ればわかる
向こう岸に着いたところ
再び北へと向かうといい。』
ギルガメッシュは舟を見つけた。
女はなかなか乗ろうとしない。
怖いんだ。
川の流れが早いから。
ジッと水の流れを見て、女は黙った。
女を置いていけば、
もっと楽に進めた。
だけど、ギルガメッシュはジッと彼女が舟に乗るのを待った。
谷がある。
谷には獅子と蛇がと蠍が住まう。
超えよ、これも試練だ。
獅子は、お前の勇気を試す
蠍は、お前の誠実さ
蛇は、賢さを試す
女はナツメヤシの干し物を遠慮なく食べ、水袋から飲む。
彼の神経はすり減る。
それでも、
彼は前に進みたかった。
獅子の唸り声が近づく。
蠍の体が女の髪を泳ぐ。
蛇が女の腰を締め上げる。
松明をふりまわし、
髪に手をさしいれ、
蛇の頭を掴んで投げた。
そうして、彼らはたどり着いた。
谷の奥にある崖の裂け目。
巨大な幼児が横たわり、
口を開いたかのような穴。
『ーー獅子の巣がある。』
谷に風が吹いた。
亡者の誘うような泣き声が、
穴から聞こえた。
(こうして、第三幕は亡者の声で幕を閉じる。)




