第二幕:狂えし同行者
やあ、君。ギルガメッシュ王が旅に出る。ボクらもついていく。
準備はできた?
第一幕は、死を回避する為に、ウルク中の物語をかき集め、その中の物語の一つに彼の人生を賭ける事にした。
旅人になることにしたんだ。
ギルガメッシュ王は、政治を長老たちに任せる事にした。
なぜかって?
彼らは長く生き、
それなりに知恵があるからだ。
若者に任せなかったのは、
彼らの情熱で国が滅びるのを王が恐れたから。
老人は落ち着き、やる事をなす。
ギルガメッシュは、王としての豪華な衣装を脱ぎ捨てた。
地味な色のチュニックをまとい、旅で必要な食料を袋に詰めた。
彼は国を愛していたから、
故郷を目に焼き付けようと、
街を歩いた。
そこで、歌を聞いた。
羊飼いたちなどのかけ声とは違う女の声。
——ああ、私のエンキドゥ
どこにいるの?
彼の耳に私の囁きは届くのかしら
風の便りにのせるべき?
木々の葉音にのせるべき?
川の流れにのせるべき?
私の歌は、か細くて
何かに乗せなきゃ届かない
儚い想いが恨めしい
手の上に彼の手をのせた
指の腹を重ねてみせた
足でちょっと突いてみた
言葉が増えていくたびに
彼の一つ一つが変わるのが
愛しいやら
恨めしいやら
私には分からなかった——
ファウストの影が汝を誘う
エンキドゥの絆を断ち切る
——ああ、私のエンキドゥ
どこにいるの?
歌いながら歩いてる
どこまで歩けばいいのやら
歌声が近づくにつれ、王の顔は引きつる。やつれた頭のおかしな女が、
街道の真ん中を、びっこ引きながらくるんだ。
王は顔をしかめた。
女は聖女シャムハトだった。
彼女は、女神ニンスンに仕えた女性だ。女神は神々の国に去り、
彼女の役目はなかった。
この国に、彼女の居場所はないようなものだ。
ーーああ、私のエンキドゥ
どこにいるの?
王の愛した者の名が近づく。
王は思わず口走る。
「ーーシャムハト。
ボクの愛しい女よ。
君の囁きが聞こえた。
ボクはここにいる。
エンキドゥは、ここにいるーー」
女と目が合う、その瞬間。
彼女と彼の頭の中では、
死んだのはギルガメッシュ王となった。
そして、王の旅に女がついてくる事になる。
(こうして、第二幕はびっこを引く女が幕を閉じる。)




