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氷川さんはツンデレすぎる。  作者: 恋する豚共の紙
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第49話:ひまりの押しが強い!? 氷川さんのモヤモヤも加速中

放課後の廊下で、俺を待っていたひまり。


 「ねえ、ちょっと寄り道しない?」


 その無邪気な笑顔に、俺は思わず言葉を詰まらせる。


 (いやいや、これはただの「寄り道」じゃないよな……)


 昨日、ひまりは俺に「また二人で話したい」と言っていた。

 そして今日も、こうして誘ってきた。


 (……絶対に俺と氷川さんのことを気にしてる)


 そう確信した矢先――


 「……あ」


 俺の視線の先に、氷川さんがいた。


 ひまりと俺のやり取りを見ていたらしいが、彼女は何も言わずにそのまま歩いて行ってしまった。


 (あ、やばい……)


 さっきも思ったが、氷川さんの表情がどこか曇っていた。


 (もしかして……機嫌、悪い?)


 そんなことを考えていたら、ひまりが俺の腕を軽く引っ張った。


 「もう、相沢くん! 行こっ!」


 「え、ちょ、待――」


 強引に手を引かれながら、俺は結局ひまりに連れ出されることになった。



 ファストフード店に入り、向かい合って座る。


 「やっぱり、こうして話すの久しぶりだね!」


 ひまりは楽しそうに笑いながら、ポテトをつまんだ。


 俺はストローでドリンクをかき混ぜながら、少し考える。


 (……本当に、ただ話したいだけなんだろうか?)


 正直、ひまりは今までこんな風に俺を積極的に誘ったりはしなかった。

 それが急に距離を詰めてくるようになったのは、やっぱり……


 「ねえ、相沢くん」


 ひまりが少しだけ声のトーンを落とした。


 「……昨日のことなんだけどさ」


 (やっぱり、その話か……!)


 俺は心の準備もできないまま、ひまりの言葉を聞く。


 「相沢くんって、やっぱり氷川さんのこと……好き?」


 (ストレートに来たぁぁぁぁ!!)


 思わずドリンクを吹き出しそうになった。


 「な、ななな、何言ってんだよ!?」


 「だって、最近ずっと一緒にいるし……なんか、仲良さそうだし」


 ひまりは、少しだけ頬を膨らませながら俺をじっと見つめる。


 (うわ、めっちゃ気にしてるじゃん……!)


 俺はとにかく冷静になろうと深呼吸し、慎重に言葉を選んだ。


 「別に、好きとかそんなんじゃないよ。ただ……なんだろうな」


 ひまりはじっと俺の顔を見つめたまま、言葉を待っている。


 「一緒にいて、落ち着くっていうか……なんか、そういう感じ?」


 (あれ、これ逆にヤバい答えじゃね!?)


 俺の発言を聞いたひまりの顔が、明らかにムッとする。


 「……それって、好きとどう違うの?」


 「えっ……」


 「『一緒にいて落ち着く』って、めちゃくちゃ好きな人に対する感情じゃない?」


 (うっ……!!)


 なんというか……思ったより鋭く突っ込まれた。


 「……相沢くん、今すぐに答えなくてもいいけどさ」


 ひまりは少し視線を落としながら、続けた。


 「……でも、私はもっと相沢くんと話したいし、一緒にいたい」


 (!!)


 その言葉に、俺の胸がドクンと高鳴る。


 今までひまりは、ここまではっきりとした気持ちを俺にぶつけてきたことはなかった。


 でも今は――


 (これ……告白に片足突っ込んでないか?)


 ひまりの表情を見る限り、冗談でも軽いノリでもない。

 俺ともっと関わりたい、そういう本音が込められている。


 俺は、返事に困って口を開いたまま固まってしまった。


 「……相沢くん」


 ひまりが、俺の顔を覗き込む。


 「考えてみてね?」


 そう言って、少しだけ寂しそうに微笑んだ。


 ***


 その帰り道。


 俺は、自分の中でモヤモヤした気持ちを抱えながら歩いていた。


 (……俺、どうすればいいんだろ)


 ひまりは俺ともっと関わりたいと言った。

 でも、俺はそれにどう応えればいいのか分からない。


 そんなことを考えながら校門をくぐると、見覚えのある後ろ姿が視界に入った。


 「氷川さん?」


 声をかけると、氷川さんはゆっくり振り返った。


 「……相沢?」


 「こんな時間まで残ってたのか?」


 「うん。図書室で本読んでた」


 そう言いながら、彼女は少しだけ視線を外した。


 「……今日は、夏川さんと一緒だったんだね」


 (!)


 俺は思わずドキッとする。


 「え、えっと……まあ」


 「……ふーん」


 氷川さんは、それ以上何も言わずにまた歩き出した。


 (なんか、やっぱりちょっと機嫌悪いような……?)


 俺が迷いながらも一緒に歩こうとすると、氷川さんがふと立ち止まった。


 「……ねえ」


 「ん?」


 氷川さんは、一瞬だけ迷うような表情をしたあと、


 「……いや、なんでもない」


 そう言って、また歩き出した。


 (絶対に「なんでもなく」ないよな!?)


 俺はまたもや困惑しながら、氷川さんの後ろ姿を見つめるしかなかった――。

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