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氷川さんはツンデレすぎる。  作者: 恋する豚共の紙
40/50

第40話:放課後、氷川さんが妙に近い!? 俺に何か言いたそうだけど……?

月曜日の放課後。


 俺はいつものように教室で荷物を片付けていた。


 (……なんか、今日は妙に意識しちまうな)


 それもそのはず。


 昨日の休日、氷川さんと二人で本屋に行き――


 最後に、「またこういうの、してもいい?」と言われたのだ。


 (あれ、普通にデートの誘いみたいだったよな……)


 それを思い出すたび、俺の心臓は微妙に跳ねてしまう。


 そんなことを考えていると――


 「……相沢」


 突然、俺の横に氷川さんが立っていた。


 「っ!?」


 驚いて振り向くと、氷川さんは無表情のまま、じっと俺を見つめている。


 (いや、いきなり近すぎないか!?)


 普段の氷川さんなら、俺と適度な距離を保つのに、今日は明らかに妙に近い。


 「え、な、なんか用か?」


 俺が戸惑いながら聞くと、氷川さんは少しだけ視線をそらした後――


 「……帰る?」


 「お、おう」


 (……えっ、それだけ!?)


 なんか、すごく言いたそうな雰囲気だったのに、思いのほか普通の質問だった。


 「一緒に?」


 「……うん」


 (いや、めっちゃ自然に誘ってくるじゃん!!)


 俺は心臓を落ち着かせながら、頷く。


 「じゃあ、行くか」


 そうして、俺たちは教室を出ようとした――そのとき。


 「おーい、陽向!!」


 またしても、ひまりの声が聞こえた。


 「お、おう、ひまり」


 「ねえねえ、帰りにちょっと寄り道しない? 近くに新しいカフェができたんだって!」


 (……あっ、これまた面倒な展開の予感)


 俺が返事をする前に――


 「……」


 氷川さんの空気が、一気に変わる。


 (おっと、また嫉妬モード突入!?)


 氷川さんはじっとひまりを見つめた後――


 「……相沢は、私と帰る」


 と、静かに言った。


 (…………)


 (…………えええええええええ!!!!???)


 またしても、教室が静まり返る。


 (お前、それもう「私と二人きりがいい」って言ってるのと同じじゃないか!?)


 ひまりはニヤニヤしながら、俺と氷川さんを交互に見る。


 「へぇ~? なんか二人とも最近仲いいよね?」


 「っ!! ち、違う!!」


 氷川さんは全力で否定するが、顔はもう真っ赤だった。


 そこへ、佐藤と田中がやってきた。


 「おいおい、またバチバチしてるのか?」


 「これは……相沢の奪い合い?」


 「いやいや、やめろって!!」


 俺は頭を抱えたくなった。


 (どうすりゃいいんだよ、この状況!!)


 ひまりは相変わらず楽しそうに笑いながら、俺の腕をぽんっと叩く。


 「まあまあ、陽向が決めていいよ♪」


 (お前、それが一番きつい選択だってわかって言ってるだろ!!)


 すると――


 「……」


 氷川さんが、小さく俺の袖を掴んだ。


 (っ!?)


 「……相沢」


 「な、なんだ?」


 「……昨日、私と約束した」


 (…………)


 (…………えっ!?)


 確かに、「またこういうのしてもいい?」とは言われた。

 でも、それって今日のことじゃなくね!?


 「……だから、今日は一緒にいる」


 (お前、それもうデートの宣言じゃん!!)


 俺は完全に思考が停止した。


 しかし、ひまりは「ふふっ♪」と笑って、一歩引いた。


 「そっか、じゃあ今日は氷川さんに譲るね!」


 「……べ、別に……」


 氷川さんはもごもごと口を動かしながら、俺の袖を離そうとしない。


 (もう、認めてるようなもんじゃん……!!)


 俺はため息をつきながら、ひまりに手を振る。


 「また今度な」


 「うん、楽しみにしてる♪」


 ひまりは軽くウインクして、去っていった。



 帰り道。


 俺たちは並んで歩いていたが――


 やっぱり氷川さんの距離が妙に近い。


 (……いや、これなんなの!?)


 さっきもそうだったけど、最近の氷川さんは俺に無意識に寄ってきている気がする。


 俺が気になってチラッと横を見ると――


 「……」


 氷川さんは少し視線を下げて、静かに歩いていた。


 だけど、明らかに耳が赤い。


(……これはもう確定だな)


 俺は、少しだけ試してみたくなり、わざと半歩ほど横にずれてみた。


 すると――


 氷川さんも、同じように寄ってきた。


(…………)


(…………やっぱり!!!)


 俺はニヤけそうになるのを必死でこらえながら、ふと軽くからかってみる。


 「氷川さん、なんか今日、距離近くない?」


 「っ!!!」


 氷川さんの体がビクッと震えた。


 「ち、違う!!」


 「いやいや、明らかに近づいてきてたけど?」


 「……気のせい」


 氷川さんはそっぽを向いてしまったが、耳が真っ赤なままだ。


(はい、完全に自覚なしのデレモードですね)


 俺は心の中でガッツポーズをしながら、なるべく平静を装って言った。


 「まあ、俺は嫌じゃないけどな」


 「っ!!!」


 氷川さんは、一瞬顔を上げ――


 「~~~~っ!!」


 マフラーで顔を隠しながら、足早に歩き始めた。


(ああ、めっちゃ可愛い)


 こうして、俺はまた一つ、氷川さんの新しい一面を知ることになった。


 クールな氷の女王は――


 俺のそばに無意識に寄ってきてしまう、最高に可愛いツンデレになっていた。

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