表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

非凡

作者: 在原業平

こんにちは。私のことは何処にでも居る平凡な会社員と思って貰って構わない。

この物語は平凡な私の平凡ながらも何処か数奇な人生の一片である。

ある朝、それは昨日も明日も繰り返す何処か憂鬱ないつもの平凡な朝、だが私はその朝にいつもとは違う何か…といっても空気が違う、風が違う…そんな当たり前の非凡なのかもしれない。しかし、私はこの朝に確かな非凡を感じた…

私は会社に着きいつもの席に着いた、定年になるまで続く朝の憂鬱の元凶の始まりである。しかし今日は珍しく先輩がいない、聞けば先輩はどうやら風邪をひいているようだ。先輩はいつも馬鹿の一つ覚えのように俺は風邪をひかないと言いふらしていたので、風邪というのは少し意外だ。

仕事が終わった私は先輩の家に寄ってから帰ることにした。先輩の奥さんに迎えられ先輩の部屋へと入いる、大雑把な先輩に奥さんがいるというのは不思議なものだ。正直言って少々羨ましい…先輩の部屋に案内され入るとそこには子綺麗な空間と少しぐったりした様子の先輩があった、普段の先輩からは考えられない空間だった。部屋について聞きたい気持ちを抑えながら少し話し私は帰路に着いた。翌日私はいつも通りの朝を迎えた、しかし朝の非凡感は強く確かに感じた。気のせいだと自分に言い聞かせられないほどに。今日は土曜日、平日と比べれば朝の憂鬱は幾分かマシである。私は夕方まで本を読み過ごした。夕方になり私は会社の同期と約束していたバーに向かった、そこには珍しく待ち合わせに遅刻していない同期の姿があった、いつもは最低でも5分は遅刻してくる友人が5分前に居ることに私は違和感を覚えた。同期にそのことを指摘すると、同期は呆気に取られたような表情を見せた。それからも幾つか話しが噛み合わないことがあり、私は違和感を覚えながらも帰路についた。日曜日は誰とも話すことなく同僚や先輩の様子に不安や違和感そして非凡感を感じながら過ごした。月曜日、朝の不快なまでの非凡感は変わらず続いていた。会社では金曜日には気づかなかった点が鮮明に見えた、先輩や同期の整ったデスク、マスクをする先輩。一見すると普通の景色だが私には見える世界全てが色褪せた偽物のように感じた…私は会社を早退きし帰路に着いた、帰り道で見かけた猫もよく見かける親子も何処か違った物に感じる。私は不安を紛わすため酒を飲もうと冷蔵庫を開けた。そこには買った覚えのない物が幾つか入っている、それらを避け見慣れた物に手を伸ばし酒に酔う。

私は気づいたら寝ていた、いつもの朝である。しかしあの非凡感は消えていた、むしろ平凡な朝が何処か輝いてみえた。私は不思議な安心感に包まれながら会社に向かった。

オフィスに入るとそこには先輩と同僚の散らかったデスクがあった。

今考えてもあの非凡がなんだったのかわからない…

私はあの時の何を経験したのか、夢だったのか…いやそれにしてはリアルすぎた気がする…ではパラレルワールドにでも飛ばされてたのだろうか、まさかな…

ただあの非凡感は今も頭の奥底に染みついて離れない…

やはり真相は神のみぞ知ると言ったらところなのだろうか…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ