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山本遊佑

パチ屋さん栄枯盛衰

作者: 山本遊佑

 つらつらと書いてみました。


 幼い私は床下に光る銀玉を見つけ拾い上げた。

 キラキラと光る銀の玉の輝きに、ビー玉のようないい物のように思えた。

 ジャラジャラと玉が行き交う音に、ファンファーレの電子音。

 煙草のヤニのこびりついた黒ずんだ床と、すえた匂いのするホール。

 大人たちは、一心不乱に台に集中し玉を弾く。

 ここは大人の遊び場。

 パチンコ屋。

 幼い頃の記憶がたまに蘇る。


・・・・・・。

・・・・・・。


 大人になって、自分がいざパチンコ屋で遊ぶようになってみると、それは楽しいもので夢中になってしまった。

 加減も知らずに遊んでいた。

 開店から閉店まで・・・。

 当時は、いろんな店で打ちたいという思いがあり、よく寂れたお店に収支度外視で行っていた。

 そんな昔ながらのパチンコ屋はかなり潰れている。

 駅前にある今だ玉貸し機があったパチ屋なんて、とっくに潰れているだろうな。


 家の近くにあった大型パチ屋は、中堅チェーン店で昔は多くの客で賑わっていたようだが、私が行くようになってからは、人がまばらな店だった。

 よく1パチを打っていて、負けると、たまに4パチや20スロに手を出して、大やけどするなんてこともあった。

 お店が潰れる前に、大量に昔の海が導入されたり、新しい機種が導入されないなと思っていたら、いつの間にか閉店していた。

 今は、店が解体され当時を見る影もない。


 結婚して仕事帰りによく行っていたのが、瀬高町の国道ぞいにあったパチ屋である。

 かなり古くからあるパチ屋で、大手チェーン店であるが、店内は老朽化が進み、トイレもタイル張りで、大の方が座り便所であった。計数機もデーターランプも古く、シマ間が極端に狭く、通路を歩くと、遊戯している人の背に当たったり(ふんぞり返られていると)することもよくあるが、なんともいえないアットホームというかくつろげる空間が、つい寄って行こうとなってしまうのである。

 昔は20スロ4パチのお店だったが、時代の流れから5スロ、1パチとなり細々とやっていたようだ。

 仕事帰りに、ちょっとだけと寄って、5スロの「スーパービンゴ、プレミアム」で初万枚を達成したのはいい思い出だ。

 のち、調子に乗って遊び過ぎて、奥さんに発覚し大目玉を食らった因縁のパチ屋(笑)でもある。

 今はもう無い。店舗は改装され違う業種の店が入っている。

 この道を通る度に、ちょっと苦い思い出と懐かしい思いが込み上げる。


 

 ライオンというパチンコ屋は、パチ屋のバイトをしていた帰りによく寄っていたお店だった。

 県道ぞいにぽつんとあったこじんまりとしたホール。

そこは日ごとにイベントが行われていたが、全く信頼性はなかった。

 そのせいもあっか、いつもお客はまばらで、空いていた。

 台との間隔や、後ろとの席の感覚が狭く、古い老舗のお店だった。

 4号機の「大繁盛本舗」とか「ボンバーパワフル」とか打っていたなあ・・・そうそう、「主役は銭形」で大負けして、ホールを出た瞬間、夜空を見上げ途方に暮れたっけ。


 広川にあった100万ドルパレスというパチ屋は、よく友人と行って遊んでいたお店だ。

 行き始めた頃に、最初の「北斗の拳」のパチンコ台が置いてあったなあ。

 3D風のパチンコ台「ルパン三世」を友人と打っていて、結構負けていて、閉店前に当たってちょっと負けぐらいまで取り戻したのは懐かしい。

 それから、猪木のパチスロ台で、天井狙いをして、当たらなくてお金が尽きて散財したなあ。吉宗も・・・ぐっすん(笑)。

 閉店して、別のパチ屋が居抜きで入ったなあ。

 

 そっか、私がバイトをしていたパチ屋もそう。

 大川にあったアクセスというお店は、私がバイトで入る前は繁盛していたそうだ。

 近郊にライバル店が増えて、次第にお客さんは少なくなっていった。

 バイトを辞める頃には、すでに仕事帰りに寄って大勝ちさせていただいた近隣のパチ屋は潰れ、お店には閑古鳥が鳴いていた。

 それから数年後、お店は潰れ、解体され、今は業界大手ダイナムがその地に建っている。


 八女にゴールデンヤマトというパチ屋があった。

 昔からある老舗で、古い建物が歴史を感じる。

 ヤニの染み込んだ床に、タバコのすえた匂い。

 シマ一つはベニヤで覆われ、漫画が置かれていた。

 全く行ったことがないお店だったが、1パチをはじめたことがきっかけで、たまに行くようになった。

 生き残り戦い。

 なんとか、1パチに望みを繋ぐお店、初代慶次やMAXパチンコを打っていたなあ~。

 ほとんど勝った記憶が無いけど・・・ほどなくこのお店も潰れた。


 筑後の羽犬塚駅前にあったチェーン店のパチ屋は、お客さんも少なく、出している感は全くなかったのによく遊びに行っていた。

 駅前特有の立体駐車場。

 ホールはそれほど広くなく、どちらかといえばこじんまりした感じ。

 ラッキースタートの電子音とともに、所々で客の吸う紫煙が天井へとのぼっている。

 昔は大賑わいだったんだろうな、そんなことを想像させるに十分の大きなドル箱。

 私はなんとなく台の前に座り、なんとなく負けて家路に着く。


 思いだせば、まだまだ潰れたパチ屋さんはでてきそうだが、このあたりに留めておこう。

 キリがないから(笑)。

 なんだろう、寂しさと懐かしさを覚えるのは。

 店の扉を開けた途端、耳にくる電子音と煙草の匂い、はじめは体調にきそうな感じを覚えていたのだが、いつのまにか心地の良い落ち着く場所となっていた。

 特に私は古さや雰囲気のいいお店には惹かれていたようだ。

 収支度外視・・・では決してないが、懐かしい雰囲気とほっと落ち着ける感じがいいんだろう。

 そんなパチ屋がどんどん無くなっている、確かに大手もいいけど、懐かしさを感じるパチ屋もいいじゃんって、ふと思いだした。

 本当に今は見なくなってしまった。

 だけど、老舗の店があったとして、果たして今行こうと思うのか、そう考えると昔と今じゃ違うし、大多数の人がそう思っている、だからお店は潰れていくのだろうけど・・・。

 ノスタルジーを感じられる場が少なくなっていくのは、やはり寂しいものがある。

 それが時代の流れなのだろうが・・・。

 記憶には残しておきたいと、文を書いてみた次第である。


 懐かしいお店。

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