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一年後、僕は君に愛していると伝えたい  作者: 創造執筆者
四月
2/14

2 婚約者は3人!?[1]

灯火が事故にあってから一か月、ようやく病院の通院も終わり、日常生活へと戻っていた。しかし、今でも婚約者のことは思い出せないままだ。気づけば月日は流れ、今日は新学期の初日となっていた。


「おはよう、灯火!事故にあったんだって、大丈夫?」


「やぁ、椎名、事故自体はたいしたことなかったから大丈夫だよ、怪我自体はなかったし。」


彼女の名前は木武(きぶ) 椎名(しいな)、灯火と同じく今年で高校三年生となる。彼女の親と灯火の親が昔からの知り合いだったようで、椎名とも物心ついたときから遊んでいた。いわゆる幼馴染という関係だ。


彼女は剣道部に所属しており、去年はインターハイにまで出場するほどの腕前でとても活発な性格だ。


「そっか、よかったね!ねぇねぇ、そういえば今日はクラス分けの日だよね、一緒になれたらいいよね~。」


「そうだな、椎名と一緒なら高校最後の一年が楽しくなりそうだ。」


「さすが灯火、婚約者の立て方が分かってる~、照れちゃうよ。」


椎名の言葉に灯火は驚きを隠せない、この1カ月の間ずっと探し求めていた婚約者の正体がようやく判明したためだ。灯火は椎名に詰め寄り、そのことについて問い詰める。


「椎名が僕の婚約者?君が僕の婚約者なのかい?」


「何言ってるの、私以外に婚約者がいるはずないじゃない。灯火からプロポーズしてくれたんだよ、忘れちゃったの?やばっ、チャイムが鳴ってるよ。灯火、早くいかないと式に間に合わないよ。」


灯火は婚約者のことを尋ねたかったがチャイムが鳴ってしまったため急いで体育館へと向かう。

新学年の始業式とは校長の長い話はもちろんのこと、クラス分けや担任の先生が決まる一大イベントである。


特に、担任の先生によって、その一年が楽しいものか、そうでないものかが決定すると言っても過言ではない。そのため、担任が決まる際には生徒たちがソワソワし始めていた。そんなイベントも終わりを迎え、生徒たちは自らの教室へと戻っていく。




「あっ、あの、先輩、お久しぶりです。事故にあわれたと聞きましたけど大丈夫でしたか?」


ビクビクしながら話しかけてきた彼女は目黒(めくろ) 優里亜(ゆりあ)、灯火の一つ下の後輩で彼女とは去年に知り合ってからそれ以来ずっと仲良くしている。彼女との最初の出会いは道端に捨てられていた子猫が原因だった。彼女との出会いの話はまたの機会に行おう。


「優里亜、久しぶりだね。事故って言っても大したけがはなかったから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」


「そっ、そんな、先輩を心配するのは当たり前です。だって私は先輩と将来を約束した仲なんですから。」


優里亜は照れながらそんなことを言っているが、灯火は混乱していた、優里亜と自分が婚約していると言っているからだ。だが、それはおかしい、なぜなら先ほど椎名に婚約者だと言われたばかりだから。


「ちょっと待ってくれ、僕の婚約者は椎名、木武椎名だよな?優里亜じゃないだろ?」


その言葉にポロポロと優里亜は泣き出してしまった。


「ぐすっ、せ、先輩、何かの冗談ですよね?木武さんと先輩が婚約者だなんて。だって先輩、言ってくれたじゃないですか、一生幸せにするから結婚してほしいって。あの言葉は嘘だったんですか?」


灯火は混乱しつつも、このままではまずいと思い、とりあえず今は事故のせいにすることにした。


「わ、悪い。事故のせいでそこら辺の記憶があいまいなんだ、傷つけたのなら謝る、すまない。」


「事故のせいですか?なら、仕方ないですね大丈夫です、きっと思い出せますよ。私と少しずつ思い出せばいいんです。」


「ああ、そうだな。優里亜、そろそろホームルームが始まるんじゃないか?急いだほうが良いぞ。」


「本当です!それでは先輩、またあとで会いましょう。」


とりあえず、ホームルームが始まるため、新しいクラスへと向かうが、どの道中でもずっと彼女たちのことばかり考えていた。それもそうだろう、この一か月、どれだけ探していてもその存在すら分からなかった婚約者が見つかったのはいいものの、いきなり二人いると言われたからだ。


いったい、どうしてこんなことが起きるのかを考えるも、どうしてもその答えが思いつかない。灯火は教室に向かうまでそのことばかりを考えているのだった。


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