【Chapter5】俺とあいつは友達じゃない。【ここまでのお話】
・藤堂真白は黒木陽に話があるらしい。なにか、どこか、違和感を覚えるが、黒木は了解する。
場所は放課後、秘密の場所で。
・藤堂に、大きな芸能関係の仕事がはいるらしい。
それにより高校を休むこともあるようだ。(もちろん勉強優先の家庭ではある)
「黒木はどう思う?」と藤堂。
特にたいしたことも言えない黒木の心はなぜかざわつくのであった。
・黒木は悩んでいた。
たった数か月、傍にいただけの藤堂真白から、
「大きな仕事がはいって、たまに高校にこれない」
「それって、どう思う?」
などと聞かれたからだ。
「おめでとう」と言えばいいのだ。悪いことではない。
なのに素直になれなかった。
・茜は兄をこう評価した。
「にいには、ボッチを自称するくせして、周りが見えているタイプなんだよ」
気を使いたくないのに、気をつかう――と。
・黒木は気が付くのだった。
「ああ、近しい奴だと思っていた藤堂が、芸能界なんていう遠い場所へ行ってしまうのが……いやなんだな、俺は」
・藤堂は先日、漆原とのことがあってから、どこかおかしい。
黒木との距離感を探っているようだ。
・黒木には気が付いたことがあった。
藤堂に伝える。
「俺は――藤堂がはじめてできたリアルのゲーム仲間だって気が付いたんだ」
もちろんがっくりうなだれる藤堂だったが、それも黒木の良さでもあった。
・藤堂から「時間をくれ」と頼まれる黒木。
行先はなんと原宿だった。
待ち合わせ場所ですら心拍数があがる。
もちろん藤堂が到着した瞬間にピークとなった。
なぜなら藤堂の瞳は――青かったからだ。
・原宿を歩いていると、周囲が真白を見る。
黒木は居心地の悪さと共に、少しだけ誇らしくもなる。
藤堂は黒木の仲間なのだ。
・個室のカフェで藤堂真白とゲームを始める黒木。
二人の時間はふたたび動き出したように思えたが――。
個室を出たあと、黒木は小学生時代の同級生、灰瀬凛音と再会する。
高校の同級生、藤堂真白。
中学校の同級生、漆原葵。
小学校の同級生、灰瀬凛音。
各年代、三人の少女たちとの同時イベントが、今、まさに始まったのだった。




