消し去りたい勘違い・妻
ある日、仲睦まじいかは別として、一つの家族がごく普通の会話をしていた。
その会話は、夫が雑誌を持って、居間に入って来るところから始まる。
「あら?あなた、どうしたの?」
妻は、何か悩んでいる夫を心配し、声をかける。
「いや、対した事じゃないんだけどね、実は……、」
夫の言葉を聞いた妻は突然、怒りを露にする。
「ちょっと何よ!人が真面目になって聞いてれば!!好みの胸の話なんかして!!娘も一緒になって聞いてるんだから、そういうのはやめてって何度も言ってるでしょ!!」
「ど、どうしたんだよ、突然。俺、好みの胸の話なんかしてないよ?」
怒声を浴びせられる夫は、訳もわからず懸命に弁解する。
「嘘おっしゃい!!言ってたじゃない!!『巨乳タイプ』だって!!」
その言葉が発せられた瞬間、夫は会話の内容を理解し、妻をなだめた。
「違うよ、俺はこのアニメ雑誌の名前を、こういったんだ。いいかい……、」
そして、夫はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「今日、ニ◯ータ◯プでさ……、ってね。」
それを聞いた妻は、ゆっくりと頭の中で言葉を整理する。
「きょうにゅうたいぷ……、」
「きょうにゅう、たいぷ、」
「きょにゅう、たいぷ……!!」
全てを理解した妻は赤面し、両手で顔を被った。
「いやー、聞き間違いだって解ってもらえて良かった。」
夫の何気無い一言が妻に追い打ちをかける。
「悪かったわね!!何よ!!普段のあなたの言動がいけないんでしょ!?だいたい、何で、アニメ雑誌なんか読んでるのよ!!」
「え?いや、娘の好きそうなアニメはどれかなーって思って、見てただけなんだけど。」
夫のまともな返答に妻は、ぐうの音もでなくなってしまう。
「だけど、思い出すなー。」
「何がよ?」
急に感慨深くなる夫に、妻は声をかける。
「いや昔さ、この雑誌で声優の『◯原◯』が結婚したっていう特集を見た時、ショックで夜も眠れなかったんだ。」
「やめて!!歳がばれる!!」
「……誰に?」
この小説は、実話を家族会話風に再現しました。
……………駄目じゃん。