表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/79

ダンジョン攻略4

 隙間から救出したスケルトンは、元聖女様だった。


 元聖女様が、その対極に位置するスケルトンになってしまった背景には、様々なドラマがあったであろうことは容易に想像できる。


 当初の印象は完全に逆転し、このスケルトンも苦労してきたのだなと。

同情的な気持ちになってしまった。


 そのせいか、俺に仕えたいという申し出も。

「無害であればいっか」、とばかりに承諾してしまった次第である。



「しかし、まぁ、何であんなところに挟まっていたんだ?」



 庭園さながらの階層をスケルトンと二人、歩きながら問いかける。



「……実は、スケルトンになる前は、神職についていました」



 クリスティーナの話をまとめるとこうだ。


 クリスティーナのことを、良く思わない神官の謀略によって呪いをかけられてしまった。

その呪いは肉を溶かし骨だけの姿、つまり人をスケルトンにする禁術だったと。


 スケルトンになってしまったクリスティーナは、町を追われ、追っ手から身を隠すためにダンジョンに入ったはいいが、崩れだした石材に挟まって動けなくなったようだ。


 ちなみに、ダンジョンではモンスターに襲われなかったらしい。


 同じモンスターという括りなのだろうか。



「そうか……なんか、まぁ。元気だせよな」



 思っていたよりも、大変そうな人生を歩んでいた。

もっと、こう。未練があって、成仏できないとかポップな感じを想像してたわ。



「……はい。ありがとうございます」



 当時のことを思い出してか、心なしに落ち込んで見えた。

スケルトンの表情が読めるわけじゃないけど、あからさまに肩が落ちてるからな。



 しかし、この庭園みたいな階層はすごく広い。

東京ドーム、何個分って広さじゃない。


 歩けど、歩けど、出口が見当たらない。

一体、どれだけ広いんだってね。 


 すでに、通ってきた道もわからなくなってきた。

これは、もう完全に迷子である。


 28歳にして、迷子とか本格的にどうしよう。


 そうか、こういうときはマップを使えばいいのか。


 マップを表示させると、今まで通ってきた道が映しだされている。

帰り道はわかった、今、知りたいのは進むべき道。


 しかし、表示されている面積と、マスクされている未踏破部分を比較してみても。

未踏破部分は、その三倍以上はありそう。


 この中から奥へと続く、出口を見つけるとなると。

なかなかと、骨が折れそうだ。



「ご、ご主人様。そこにスライムがいますっ!」



 クリスティーナが指で示しながら叫ぶ。


 ご主人様って、俺のことか。

一瞬、誰のことかわからなかったわ。


 クリスティーナが指す先には、わらび餅のようなプヨプヨとしたモンスターが。


 大きさは、バレーボールくらいだ。


 目や口などなく、想像していたスライムとちょっと違う。

全体的に濁っていて、正直いって可愛らしさが足りない残念な感じだ。



「めずらしいですね。スライムなんて滅多に見つけることは、できないんですよ」



 そうなのか? こっちの世界ではめずらしいモンスターじゃない。

まぁ、それもゲームの中の話だけど。


 スライムはとくに動くことも、ましてや、襲ってくる気配もみせずに止まったまま。

これなら、簡単に倒せてしまいそうだ。


 おもむろに近づいて、バットでえいっ。


 プチッ、という感触がバット越しに伝わる。


 すると、いとも簡単に潰れ液状になるスライム。


 あれ、もう倒せちゃったのか?



『経験値取得にボーナスがつきます。500の経験値を獲得しました。』



 倒せてしまったようだ。


 それにしても、経験値すごくないか。

今まで倒してきたモンスターに比べると、十倍近い。


 もしかして、スライムさん。

ものすごく、経験値が美味しいモンスターのようだ。



「ご主人様。そこにもスライムがっ」



 クリスティーナが指す方へいって、えいっ。


  プチッ。



「そ、そこにもいますっ」


 

  えいっと、 プチッ。



『レベルアップ。スキルポイント5獲得しました。』


 

 よく見れば、あちらこちらにスライムさんが。


 ……マジか。


 これは時間を割いてでも、狩るしかないな。

おいしい狩場を前にして、ネットゲーマーの血が騒いでくる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ