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ダンジョン再び3

「トレインだっ、トレインがおきたぞっ!」



 先頭を進む、冒険者達が叫ぶ。


 それに応じて、周りにいた冒険者達も騒ぎだした。



「トレインって、大量の魔物を引き連れたアレだろ……」「ど、どうする?」「どうするも何もないだろ、逃げるんだよ」「そうだな、逃げるしかないな」



 一人が逃げ始めると、それにつられて次々と、冒険者が逃げだし始める。



「ヤマダ君、我々も逃げよう」



 およそ、100メートル先に見えたのは、


 魔物群れ、数にして50体はいるだろうか。


 その殆どが、ゴブリンのように思える。

多少は、違う魔物も混じっているようだが、ここからは詳しく確認できない。


 それを、一人の冒険者が引き連れているようだ。



 ……確かに、この数はヤバイな。



(ご、ご主人様?)



 リュックの中から、心配そうに声をあげるクリスティーナ。



「ニコライさん、先に逃げてください」



「えっ……何を言っているんだい?」



「俺は、大丈夫ですから。急いでっ!」



「わ、わかった。ヤマダ君、無理してはいけないよ」



 と、言うとニコライさんは、困惑しながらも走りだした。


 それを確認すると、リュックを地面に下ろす。



「クリスティーナ、アレを止めるぞ」



「ご主人様、すごい数ですよ?」



「ああ、でも、何とかしなくちゃならない。あの数の魔物がダンジョンから出てしまったら大惨事だ」



 そんな事があれば、おっちゃんの串焼きが食べれなくなってしまうからな。



「わかりました、ご主人様について行きますっ」



 と言うと、クリスティーナはリュックから出てくる。




 さて、呑気にステータス一覧から、スキルを選んでいる時間はない。


 と、なれば……。



スキルポイント:165


アクティブ:スキル 

HPストック:LvMax

フルスイング:Lv1

火属性魔法:Lv1


パッシブ:スキル

アイテムパック:LvMax

マップ:LvMax

言語:LvMax



 こうだっ!



スキルポイント:0


アクティブ:スキル 

HPストック:LvMax

フルスイング:Lv1

火属性魔法:Lv20


パッシブ:スキル

アイテムパック:LvMax

マップ:LvMax

言語:LvMax



 前に覚えた、火属性魔法に全振りしかないだろ。

これで、トレインを止めてやる。


 イメージするのは、炎の壁。


 そして、設置する場所は、先頭を走る冒険者と魔物の間。


 両手を前方に向ける、きっとこの動作は必要ない気がするが。


 やっぱり魔法を使うなら、これしかないだろ。


 意識を集中させて、



「ファイアーウォール」



 イメージを言葉にすると同時に、


 ごっそりと、何かを持っていかれる感覚。

きっとこれは、MPを消費した感覚なのだろう。


 次の瞬間、イメージした場所に炎が吹きあがる。

それは、幅にして3メートルほど、高さは10メートルは越えているであろう、


 まさに、 ファイアーウォールに相応しい姿。


 薄暗い洞窟内を、炎の明かりが照らしだす。

炎の壁で視界が遮られている為、確認することはできないが。


 魔物が壁に衝突しているのだろうか、その断末魔が幾つも聞こえてくる。


 それでも尚、壁を突き抜けてきたゴブリンは、

消し炭になって、その場に崩れ落ちる。


 骨すら残さないとは……。

何という威力だろうか、 ファイアーウォール恐るべし。


 取得経験値のログが、止め処なく流れ続ける。

思っていたよりも、魔物の数が多かったのかもしれない。


 すると、トレインの先頭を走っていた冒険者が、俺の横で倒れこむ。

その姿は、まるでフルマラソンを終えたランナーのようだ。


 はぁっ、はぁっ、と肩で息をして、

そのまま放っておけば、意識を失ってしまいそう。



「クリスティーナ、回復魔法を頼めるか?」



「はいっ」



 クリスティーナが、冒険者に近寄る。

それにしても、この冒険者ずいぶんと小柄だな。



「ひっ、スケルトン!」



 と叫んで、意識を失う冒険者。


 良く見れば、この冒険者は、獣人の少女のようだ。

本作を読んでいただき、ありがとうございます!

ブクマ、評価、感想、大変嬉しく思います。


引き続き、

『現実世界にダンジョン出現!? ~28歳フリーターは攻略を目指す~』を、

よろしくお願い致します。

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