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かつて魔法と科学が存在した世界  作者: りゅーさん
第1章 干渉
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第5話 邂逅(上)

少し遅れてすいません!

そこに広がっていたのはいくつもそびえ立つ建造物。

異形の服を着た多くの人々が歩いている光景。

そう、彼らは科学世界に来てしまったのだ。


(どういうことだ。あのクリスタルによってここに転移させられたということなのか?仕方がない。とりあえず、ここがどこなのかを聞いて行くか。)


「お兄ちゃんここどこなの?」

「すまない。俺にもわからないんだ。とりあえず人を当たってみよう。」


コクっと頷いてリリアはジルに手を引かれてついていった。

そしてジルは数人の女子高生達にに話しかけた。


「そこの美しい女性のお方。私がわかりますか?」

「えっなにこれナンパー?」

「コスプレ?ちょっ痛いんですけどー。」

「イケメンなのにもったいなーい。」


そんな言葉を浴びせられてもジルはよくわからない様で、


「すまない。忙しいのだな。ではまた。」


と言って他を当たることにした。


(もっと話の通じそうな者はいないのか。ん?あそこの彼、我が国の者に髪色が似ているな。)


新太達と詩音達はすでに合流し、昼食を済ませていた。

そして、紅音がデザートに良い店があると言い、案内を始めた。


「あっここだよ!ここのあんみつがたまらなく美味しいんだよ!」

「予約してあるんだっけ?」

「うん!なんか人数の関係で結構広い場所だからのびのび出来ると思う!じゃあはいろうかー。」


5人が店に入ろうとすると、見かけない風貌をした美男と美女が話しかけてきた。


「やあ君達、すまないがここは初めてでね。色々と教えてもらいたいんだが、いいかな?」

「まぁいいですけど...。」

「大きい部屋で場所余るでしょうし、ご一緒しませんか?」


少し悩む紅音を見て、蓮はなぜか焦った様に2人の男女を店に招き入れた。

他のメンバーは戸惑った様子で店内に入り、注文を済ませるとあんみつが出てくる。


「知りたいんですよね?」

「あぁ頼む。」

「まず、この店秘伝のタレをスプーン2杯かけてから、あんをアイスに絡めて一口で食べてください。」

「ん?」


紅音の説明を聞いて美少女の方は目を輝かせて同じ様に秘伝のタレをかけるなど、紅音の真似をしているが、男の方は何を言っているんだという顔でその説明を聞いていた。


「すまない。誤解があったようだ。私が知りたいのはこの世界のことだ。」

「「え?」」


皆驚きを隠せないでいた。

しかし、その中で蓮だけは少し気まずそうな顔をして、話す。


「そうだったんですか!でもまず、あんみつ食べません?さあさあ。」

「あぁそうだな。食べたら話そうか。」


その言葉を聞き、蓮は少し肩の力が抜けたようだった。

そして、流石に状況を察したのかジルは言った。


「邪魔をしてすまない。私たちはあっちで食べてるよ。」


そのあとは、何だったのかなどの話が出たが、すぐに世間話に変わった。

学校の愚痴やら、趣味の話などの他愛もない話をして一旦話が区切れた時、新太が言った。


「そういえば、あの人たち...。」

「「あっ。」」


全員が2人の事を忘れていたのだ。

そして言い出しっぺの法則なのか、じゃんけんで負けた新太が2人を呼びに行った。

2人は通常の客だったためカウンター席だったが、新太達は予約していたため奥の少し広い和室に通されていたのだ。


「あのぉ。2人とも来てください。」

「おぉ。ありがとう。今行くよ。」


そう言って2人とも新太について行く。

するとジルは足を止めて新太に質問する。

それを聞いて新太も歩みを止める。


「その髪の色、君はイルシアの生まれなのか?」

「イルシア?聞いた事ないですね。僕は7区生まれなので。」

「そうか。ありがとう。」


(7区とはなんだ。やはりここはあの世界なのか...。)


3人は皆の席に着き、それぞれの座布団に座った。

少しの間があった後、ジルが話を切り出す。


「自己紹介がまだだったな。俺はイルシアのジル・フロライトだ。そしてこいつはリリア。」

「フ、フロライト....?」


この都市区にはフロライトという名を持った人間はいない。

なぜならフロライトという名は魔法世界のリーダーの名前だからだ。

そのためこの名前は忌み嫌われ、この名前を付けることは禁忌とさえ言われていた。


「君たちどうしたんだ?して、この地域に世界樹は...。いや、君たちは魔法を使えるのか?」

「魔法?そんなものなくなったんじゃ!」


そう言う新太に対してジルは眉間にしわを寄せて、軽く手を振るう。

たちまち翔一の目の前にあった食器が宙を舞う。


「「っ!!」」

「えっなんで浮いたの!?」


紅音や他のみんなも驚きを隠せない。


「これが魔法だ。やはりここは科学世界ということか。そうだろう?」

「ここには魔法なんてない。そんなのありえないよ...。」


ジルの問いに誰も答えることは出来ず、紅音も困惑した表情を見せていた。


「それじゃあなんだ?お前ら2人は魔法使いってことか?」

「そうだ。そしてなぜかこちらの世界に来てしまった。」


翔一の問いにジルは答えた。


「話を整理します。あなた達のいる世界を魔法世界としましょう。そしてこちらを科学世界とすると、あなた達は王族で、何らかの力が作用してしまったことによりこの科学世界に来てしまったんですね?」

「あぁ。そう言うことだ。その新太君の髪色が我が国の民の標準的な髪色に似ていたから声をかけたんだ。」


珍しく新太がまとめると、それに付け足すようにジルが言った。

新太の髪色は珍しく、クリーム色のような美しく、金髪に似たような髪色をしていおり、それをジルが自国の民と間違えたということらしい。


「そ、そんなことがありえるの...?」

「でも!魔法使いはもういないんじゃ...!」


詩音や紅音が少し怯えて言ったのに対し蓮は落ち着いて対応をした。


「では、あなた達2人は間違いでこの世界に来てしまったのですね?」

「そうだ。私達もどうしたらいいかわからなくてね。」




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