第4話 召喚された者たち
──第7区・都市駅改札
「ごめーん。待ったー?」
「ぜんぜーん。今来たとこー!」
会話だけ聞けば漫画に出て来そうなシーンであるが、実際は少しは違っていた。
「カット!お前ら何してんだ。腹いてぇ!」
新太と翔一のコントを待ち合わせ場所に着いた途端に聞かされた蓮はそう言ってコントを終わらせる。
「さて、恒例の『漫画でありそうなコント』も終わったし、男性陣で親睦会行きますか!」
「「おー!」」
翔一の掛け声に2人とも楽しそうに答える。
なぜこの様な事になったかというと....
「あっもしもし蓮?僕だよ僕!」
「僕僕詐欺ですか?」
「えっ僕だよ新太だよ!僕だよ!」
「あはは。そんなに言わなくてもわかってるよ。」
「なんだよ。からかってたんかい!」
「ごめんごめん。冗談だよ。んで、今日はどうしたの?」
「明日ってあの病院の時のメンバーでご飯行くじゃん?その前に男3人でどこか行きたいなーって思ってさ。どうかな?」
「俺はもちろん行くよ!翔一は?」
「翔一も来るって!じゃあどっか行きたい場所ある?」
「俺カラオケ行った事なくてさー。行きたいなーって。」
「カラオケいいと思うよ!翔一にも伝えとく!じゃあ9時に7区の都市駅の改札でいい?」
「ありがとう新太!じゃあまた明日!」
「また明日!」
こうして親睦会という形で昼前に3人でカラオケに行く事になったのだ。
ちなみに都市駅というのは通常の駅とは違い、地下を通る高速の電車が走っており、都市間しか運行しないが通常の駅だけを経由し都市へ移動するのに比べて大幅に時間を短縮できるため、いつも利用者で栄えている。
「んじゃあの乗りますか。えーと飯食うのが新都だからその近くのでいいよな。」
「そうだね。あっ!もう出発だよ!」
新太がそう言うと他の2人も焦ってホームまで走って行く。
ギリギリ乗ることが出来、3人は安堵の表情を浮かべる。
「ふぅ〜。ギリギリ乗れたな!まぁ俺は余裕だったぜ?」
そう言って翔一は自慢してくる。
彼は高校でサッカー部に所属しており、体力も底知れない。
「新太はもっと鍛えないとね。」
と笑いながら言う蓮も趣味で体を鍛えているため、翔一にも劣らないほどの運動神経を持っているが、持久力がないのは帰宅部の宿命である。
「わかってはいるんだけどねー。あはは。ここだね。降りよう。」
そうこうしている間に電車は新都のの都市駅に着き、一斉に人が降りだす。
実はここ都市区ではすべての都市は新都を囲む様に存在しており、各区から新都への移動は楽なのである。
都市区とは戦争後の生き残りで作られた都市群で多くの人はここに住んでいるが、自ら好んで都市区の外に住む者も稀にいる。
「ちょい待ち、今場所調べてるらよっと。」
そう言って翔一はスマホを取り出しマップでカラオケ店の場所確認する。
この世界では兵器は最先端でも生活水準はあまり高いとは言えないのだ。
「あっなんだ。すぐじゃん。そこの角曲がればあるらしいぜ。」
「翔一ありがとな。さて、行こう行こう!」
場所を調べたのは翔一なのになぜか蓮が先頭を切ってカラオケ店を目指す。
「スッゲェ!これが新都かぁ!俺初めてなんだよなぁ!」
「パシャ!パシャパシャ!」
翔一は、はしゃぎながらスマホで次々と新都の写真を撮って行く。
そんな行動を見て新太は、
「翔ちゃんやめてくれよー。田舎者だと思われるだろー?」
「いやいや!だって新都だぜ?逆に新太来たことあんのかよー?」
そう言われ新太は目をそらし、無かったことにしようとしたが翔一は許さず、
「ほらー!田舎者でいいじゃんよもー!」
「はい。僕は田舎者です。」
ばつが悪そうに答えた新太を見て蓮はクスクスと笑う。
そんな会話を聞いている間、蓮は少しは俯いていた。
そうこうしている間に3人はカラオケ店に着き、受付を済ませ部屋に入って行く。
「よーし!じゃんけんぽい!」
いきなりじゃんけんを始めた3人。
そして、蓮が負けた。
「はいじゃあ蓮さん!しょっぱなおなしゃーす。」
「ぶぅー。恥ずかしいなぁ。」
「ピピピッ」
そう言いながらも手に持っているタッチペンを使い曲を選んでいく。
蓮の手元にある端末から電子音が発せられテレビ画面に曲名が表示される。
「あっこれアレスドロスのhow toじゃん。良いよねこれ。」
「おーわかってくれる?日本語の歌詞の中に英語の歌詞があるっていうのもまたいいよね。」
「うんうん」と頷く2人だが、翔一は話の内容についていけないという顔をして端末を操作している。
アレスドロスとは最近、都市区でデビューしたバンドで映画の主題歌にも楽曲が使われるなど、現在大人気のバンドである。
そして蓮が歌い始めると驚きの声が上がる。
「えぇー!めっちゃうまいじゃん!」
「蓮くん歌うまいんだね!」
その後も3人で歌い続け、昼ご飯を食べるという約束の時間が迫る。
「さて、そろそろでるか。」
「そうだね蓮くん。」
そして3人はカラオケ店を後にした。
一方その頃、金髪で美しい顔をした兄妹が新都に降り立った。
「お兄ちゃん。ここどこ?」
「いや、俺にもわからない。森の様だが...。」
「ごめんね私のせいで。ひっぐ...。本当にごめんなさい...。」
リリアが泣くとジルが優しく包み込む。
「いいんだ。でもこれからは勝手に知らないところに行くなよ?」
「ゔん...。私もうジルから離れぇなぢぃ。」
「良い子だ。」
そう言ってジルはリリアの頭を優しく撫でてやる。
(しかしなんだここは。木々に生気がまるでない...。大気中の魔力量も極端に少ない。いや、0だ。ここにいても仕方ない、少し探索する必要があるな。それに、リリアを心配させてはいけないな。)
「なぁリリア少し探索してみないか?」
「うん。」
リリアはジルに手を引かれ、森と思われる場所を進む。
(あの棒はなんだ。世界樹?ではないな。しかし、美しい。とりあえずあそこを目指すか。)
そこに広がる光景にジルは驚きを隠せなくなった。
(なんだここは....!)
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