プロローグ
修正:魔術世界⇨魔法世界
西暦2300年3月10日
天気が良い。
快晴だ。
雲一つない。
僕らの先祖はこんな快晴な日がくるとは思わなかったろうな。
大昔に2100年頃にタイムマシンが出来るとか言った人がいるけどそんなものはない。
あるのは戦争のために急激に進化を遂げた兵器の数々だ。
戦争がなければタイムマシンがあったかもしれないね。
だけどそんなのどうでもいい。
僕は今が好きだ。
面白い友達もいっぱいいるし、親友だっている。
今日も楽しい学校が始まる。
1時間目は世界史かぁ、しかも第一次大世界大戦の授業って。
みんな知ってるよ。
「さて、授業をはじめるぞ。今日は第一次大世界大戦の授業だ。知ってる者も多いと思うが一応授業だから静かに聞いといてくれよ。」
この人は北島先生。
見た目は草食系な感じ。
やる気は感じられないけどものすごく分かりやすくて先生の中で人気No.1なほどだ。
「まず第一次大世界大戦とは何かわかるか?じゃあ岸塚、答えてみろ。」
「は、はい!」
少しぽっちゃりでメガネをかけた生徒が続けて、
「2200年に突如現れた魔法が使える人間たちが世界を混乱させ、魔術世界と科学世界の間で大戦争が起こった出来事です!」
と元気よく真面目に答えた岸塚くん、通称ぶーさんに一気にクラスがうるさくなった。
あだ名こそバカにしてはいるけどクラスのみんなに愛される元気が良く頭の良い青年だ。
この答えに対し先生は、
「模範解答だな。流石クラス1位だよ。ではここからは先生が具体的に説明していくぞ」
ーー西暦2200年3月10日
まぁのちに地獄の1年間と呼ばれた期間のことだ。
突如現れた反科学世界組織メーデンにより世界各国の首都が続々と陥落させられていった。
そこで陥落させられていなかった国や生き残りが連合を組み魔法世界に対抗しうる兵器を1年で開発したのだ。
普通ならあれほどの兵器を開発するのは無理なことだ。
しかし、当時の研究者たちは魔のドラッグ、エニシアに手を出した、これにより1年という短期間で兵器を作り出すことができた。
エニシアとは一カ月で脳を破壊し脳死させる代わりに死ぬまでの間、常人ではありえない集中力、思考力、身体能力、五感を強化することができる科学世界の最終兵器だった。
この薬を使ってしても3万人もの研究者たちが死ななければ兵器は完成しなかった。
しかし、作られた兵器もエニシアの使用が前提とされ、戦争が終結するまでには世界人口の2/3が死ぬことになったが、数百年の時を経てここまでの生活を取り戻せたわけだ。
しかし、ここで疑問があるだろう?
なぜ魔法世界側が1年間も待ってくれたのかと。
それは魔法世界側もまた命を削って魔術を使っていたからなんだ。
彼らにとって魔力とは簡単にいうとHPなんだ。
魔力を使えばもちろん消耗するし使いすぎると魔力切れになり死んでしまうんだ。
これがあったおかげで魔法世界側は戦力が減るのを恐れ、戦力が増えるまでは攻撃をやめたんだ。
なにしろ当時の魔法世界の人間は少数だったからな。
リーダーであるセリア・フロライトの余命が残り少なかったことから人数が集まらず少数での宣戦布告となってしまったんだ。
しかしそれでも魔法世界側により陥落させられた都市は何十もあったがな。
そして2201年11月3日、科学世界はどす黒い鎧を全身にまとい、魔法世界は白いマントを羽織り大戦はこうして幕を開けた。
「科学が黒で魔法が白って科学がわるものみたいじゃないですか」
ある生徒が言った。
「良い質問だ。科学世界はエニシアを研究者及び兵士に使わせたという戒めで黒、魔法世界は世界を塗り替えるという意味を持って白のマントを羽織っていたんだ。」
先生は続けて、
「現在都市区以外の地域ではエニシアを強化したドラッグを作っていてそれが社会問題になっている」
それは知らなかった。
でも戦争がなくなった今エニシアを欲しがる人なんているのかな?
「まぁここまで話を聞いてたら勝敗が気になるよな?
"勝ったんだ"。
それからはエニシアや戦争で死んでいった仲間の埋葬、文明の再建とまぁめちゃくちゃ忙しかったわけだ」
と先生が続けた。
「おっともうそろそろ終わりだな。あっそういえば今日は短時間授業だったわ。」
このように適当である。
ちなみに短時間授業というのは授業時間が半分に短縮される日のこと。
そして今日は保護者会が予定されているため短時間授業なのだ。
「キーンコーンカーンコーン♪」
黒板の上にあるスピーカーから鐘の音が聞こえた。それと同時に先生が
「ということで1時間目は終わりだ。じゃあな。」
短いから授業受けた気がしないなぁ。