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一人、ゲームな魔術学園  作者: 結城 睦月
第一章 : 新年祭編
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閑話 入学試験の入口

大分間が空いてすみませんでしたぁああ!!

また徐々に出せるよう執筆活動を再開しますので、どうか見捨てないで――

いや、今後ともよろしくお願いします

 夢の中で入試当日のことを思い出す。


 俺は今日この日のために何年も前から魔術の勉強を励み、鍛えてきた。そのため書くの勉強が、(おろそ)かになってしまった気がするが、気のせいだろう。

 魔法の計算を頭の中でやってきたのだから、それを紙に書けばいいだけだ。

 それに疎かとは言いつつも、一日二時間くらいは机に向かって勉強したのだから。


 筋トレを勧めてくる剣士の父親とは違い、母親は冷静に物事を判断する。

 俺に「筋トレばっかりやっていると、剣士になってしまうわよ」と脅しのようなセリフを言ってくるのだ。それも静かに。

 その恐怖と言ったら、ろくに魔術の使えない剣士の未来を連想させる程怖かった。

 純粋な妹のノアも遊びはするものの俺が勉強しているのも見て、釣られて勉強する程度。


 問題だったのは集中力が持たないことであった。長くて三〇分、短くて五分という。

 そんな妹に対しても母親は対策を取っていた。それは『今日の課題を終わらせれば、大好きなお兄ちゃんから頭を撫でてもらえる券』の発行だ。

 そんなことをしなくても、妹の頭は撫でれる、ではなくて俺にも何かしらの条件が与えられるのかと思った。こんなことでノアがやる気になるとは思えなかった。条件を提示された時はそう思っていた。

 しかしそんな俺の予想に反して、ノアはすごく必死になって勉強を始めたのだ。一日の勉強も三、四時間にまで伸びた。その時、入試試験まであと一ヶ月となっていた時だった。



 受験するの学校は国内でもかなり有名な名門、エクシード魔術学園という魔術学校。名前に魔術と書いてあるが近年剣術科も追加されたようで生徒数も二倍になったそうだ。ママ友からの情報に過ぎないが。どの世界でもママ友って存在するんだなと驚いた。


「ねぇお兄ちゃん。緊張してる?」


 ずっとぼーっとしていたようで、妹が俺の袖を掴んで軽く引っ張る。


「いや……まぁーそうだな」


 何処の世界に行っても受験というものは、受験生に対して凄く重いプレッシャーというものを与えてくる。

 今回もそれであり、神様から先天()()能力()を与えてもらったがまだ一度も使ったことがない。

 扱えない能力なんて能力がないと同じで、そのことが原因で受験に落とされるかもしれない。

 悪い考えが頭の中をグルグルと駆け巡る。


「大丈夫だよ、大丈夫」


 袖を掴んでいたノアが掴む位置を徐々に下げ、俺の手を握る。左手を両の手で包み込むように。

 安心させるその手の温もりは、母親のそれと見間違うほどだった。


「ノア……」


 ありがとう。

 その一言が照れ臭くてなかなか言えない。しかし十何年も一緒にいる兄妹だからこそなのか、気持ちが妹にも届いた気がした。

 でも――


「お前も受験生だろうが。自分の心配もしろよ」

「お兄ちゃんよりノアの方が危うかったりしてね」

「また縁起でもないことを」


 今度は俺も右手を添え両手で掴み返す。


「お互いに頑張ろうな」

「うん!」


 そう言って意気込む。

 転生しているのにここで失敗したら、神様にも会わせる顔がない。むしろ逆で神様も見守ってくれていると信じている。

 その筈だ、きっと。

 契約書の第一条にも『異世界を楽しむことを目的としている』的なことが書いてあった。落ちたら楽しむどころではない。


 自分にこれでもかと自信をつけさせ、いざ入試会場へと足を踏み入れた。

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