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序章 1 ≪過去へ≫

私の母様は異世界の女神様で、時より私とお父様に会いに異間門からやって来る。


お父様は、この国の王様でトリス王、かつて国の危機に身分を隠して

レオンと名乗り冒険の数々をして、その冒険の時に女神ミィカと出会い

私が生まれた。でも異世界で暮らす母様はずっと此処に居られないので

ミリス姉様のほんとは叔母様だけど宮殿にある異間門で行き来している。


「そこでぇ~、考えた。私が門を潜って異世界に行く」


「止めといた方が良いんじゃない?」


私の肩に乗っているベルナが、言い出す。


「なんでよ」


「あんた異間門を開く呪文しらないでしょ」


「それは、あなたが何とかするのよ」


「えっ私ぃ~」


「妖精王ウィルのコネを存分に使うのよ。娘なんだから簡単でしょ」


「無茶言わないでよ。アルヴィ母様がどんだけ怖いか分かるくせに」


「あなたの父親の権力を、今こそ振りかざすのよ」


「無理!」


「うーん。まあ、シグルーンの魔女だものね。

 でもいいわよね。ベルナは自由に移動できるんでしょ」


「えっ、ああ夢馬の事?

 アレは使うと、母様は別として、父様にはモロバレだから

 そうそう自由には使えないわ」


「あなたのお母さまってシルバニアンよね。

 元々、月に住んでたって話。あれほんと?」


「その話は知っているけど、確認した事ないから知らないわ」


ベルナは、私の頭に両手を乗せて、逆さまに顔を向けて来た。


「ただ、それは。ヘルヘイム(死の国)と呼ばれる前の話らしいから

 まだ深い霧の国だった頃、ニヴルとか呼ばれてた時代だって」


「ニヴルって事はオクテットの半分って事よね。

 だとするとオクテットって8人の事だから4人?」


「んー。別に、ちっちゃいって意味かも」


「調べてみない?」


「えー。だから夢馬を使うと叱られるのは私なんだってぇー」


「いいから、いいからー」


私達は、私の部屋にある長椅子に腰かけると私が呪文を唱える


「睡眠≪ソンノ・フォッグ≫」


2人を包む魔法陣が、私達を夢の世界へと誘っていく。


目の前に私と同サイズのベルナが現れた。夢の中ではベルナは私達と変わらない


大きさになる。たぶん、小さいと夢馬に乗りにくいからなんだと私は思う。


「もう、強引なんだから、父様に謝るの手伝ってもらうからね」


「りょうかい」


「でいつにするの」


「まずは、深い霧の国だった頃、ニヴルヘイム時代よ」


夢馬がいつの間にか現れて、私達は夢馬に乗ると


「夢馬ちゃん、ニヴルヘイムまで行ける?」


と聞いてみると『ヒィヒーン』と答えた。


「いけるって」


「さすが妖精王の夢馬ちゃんね。じゃ、ベルナちゃん、お願いね」


「お願いね」


ベルナが優しく夢馬の首の付け根をさすると『ヒィヒーン』と嘶いて走り出す。


相変わらず夢の世界はヘンテコな風景がいっぱいだった。


果樹園ぽいのが見えて、手を伸ばそうとしてベルナに止められた。


「だめ」


「なんで」


「あの夢の持ち主が誰か分からないけど、引き込まれるわ」


「その人の夢の中に?」


「そうよ。だいち、人とも限らないじゃない」


「そっか」


私はおとなしく、見ているだけにした。


夢馬の上はとても快適で、寝る事も出来る。そもそも夢だし・・・願えば


テーブルを出して、食事や本も読める。揺れないと思えば揺れないから


二人は一緒に、おやつを用意する。


「我が求めに応じて姿を現せ、召喚穴(アペルトホール)


私は、黒く丸い空間に手を入れて私の部屋のティーカップを掴むと引き寄せ


さらに、机の上のティーボットを掴んで夢馬の背に置いたテープに並べる。


ちょっうどルナ姉が入れ替えてくれたらしく、温かい紅茶を注ぐ。


「んー、しょっと」


ティーボットを返して、部屋のテーブルからビスケットを皿毎、引き寄せて

こちらのテーブルへと移動させる。


「あっ、苺のパイもあるぅ~」


「うふふふ。イツキちゃんは相変わらず苺好きだね」


「だって、母様の世界の食べ物だもの」


苺は女神ミィカである母様の世界にしかないもので、母様がジャムや


パイにしてくれたり、そのまま食べたり小さい粒の赤くて甘いもの。


「私は大福とかいうのが好きだな」


「あれは、苺大福っていうのよ。大福は苺じゃなくて大豆が入ってるんだって」


「へぇー、じゃあその苺大福が好き」


山盛り苺のパイをテーブルナイフでまず2つにして、さらに2つにしたものを


それぞれ2つに切り分けて合計8つに分けた1つを手づかみで口に運ぶ。


「「おいしぃ」」 と、二人の声が重なる。


ベルナは、1つをテーブルフォークでお皿に取ってデザートナイフとフォークで


少しづつ口に運んでは、顔を綻ばせていた。


「それにしても、あんたのその能力便利よねぇ」


「そんな事・・・あるかもね。でも私は夢馬が欲しいわよ」


「あんた行動派だものねぇ」


クピッと紅茶を飲みながらベルナが横を向いて夢馬に話しかけた。


「ん?なに・・・えっ、いいけど」


「どうしたの?」


「夢馬が自分も食べてみたいって、私の分の1つあげるね」


ひえぇぇぇぇぇぇ。ちょっと・・・びっくり


夢馬ちゃんの首が180度こっちに向いてるぅ~ すごい違和感。


何事も無いようにベルナが1つを手づかみで夢馬ちゃん開いた口から


出た下に渡すように乗せると、シュッと口の中に吸い込まれた。


「ヒヒヒィーン」


と何かベルナに伝えて前に向き直った。


「おいしくて、貴重なものをありがとうだって、あと頑張るってさ」


「母様のパイだもの、気に入ってくれて、うれしいわ」


「ヒヒィーン」


「全力で走ってさ」


「頑張ってね」


私は首には遠いので、背中をさすって言った。


「あとどれくらいか分かる?」


「ヒヒィーン」


「2日くらいだけど、1日で着くように頑張るってさ」


「すごい遠いんだね」


「そうだね」


あんなに遠い、妖精の国まで一瞬で移動する夢馬ちゃんが全力で1日って


多分とんでもなく遠いんだと理解できた。


「ヒヒィーン」


「えっ、そうなの」


「夢馬ちゃんなんだって」


「今、魔走(マッハ)10倍速なんだってさ」


「その魔走(マッハ)ってのが分からないけど、普通より10倍頑張ってるって

 事だと思うから、すごいね」


「かもねぇ」


その後、パイを平らげた私達はテーブルを私の部屋に送り付けて片づけると


二人して夢馬ちゃんの背に体を預けていつのまにか眠ってしまっていた。



登場者に身に覚えがある方は、ありがとうございます。

今度も不定期になると思いますがよろしくお願いします。

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