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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
プレゼントは靴下の中。
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プレゼントは靴下の中。②

ひなたの母ちゃん、春子おばさんは看護婦さんだ。


いつも楽しい事を考えていて、俺たちと一緒になって遊んでいるとガキ大将のようでもあり、魔法使いのように何でも作ってくれて、どんな困難に直面しても、春子おばさんの近くにいれば何とかしてくれそうな安心感のある、元気で豪快で陽気な人だ。


そんな春子おばさんが病気で入院した俺の母ちゃんと、俺たちと離れ離れのクリスマスを祝う方法を考え、実現したのが藤村家と鈴村家の大きい靴下に入れたクリスマスプレゼント交換だった。


鈴村家の靴下は春子おばさんがつくったパッチワークの大きな靴下に、リボンやボタンやひなたが作ったサンタさんの顔や雪だるまなんかを賑やかに縫い付けた、鈴村家らしい靴下。


藤村家の靴下は手先が器用で几帳面だった母ちゃんが手編みで編んでくれた、イニシャルの入った大きな靴下。


それをクリスマスイブに互いに交換しあい、それぞれのプレゼントを入れて、ヤマモモの木に掛けておく。クリスマスの朝ご飯が済むと、両方の家族が集まってプレゼントを開ける。


俺にとっては、サンタがくれるプレゼントよりも、このプレゼントを開けるのが楽しみだった。



最初の年、保育園の年中のクリスマス


お互いの似顔絵と手紙を交換しあった。



次の年の、保育園の年長のクリスマス


一緒に描いたサンタの絵と一緒に作った大きな松ぼっくりのミニクリスマスツリーと手紙



小学校に上がると、お年玉貯金から1000円以内でのプレゼントをつけてもいい、という決まりができた。


小学1年のクリスマス


ひなたにはかわいい文房具セットと手紙

ひなたからは当時俺が好きだったキャラのハンカチとティッシュのセットと手紙とホットケーキサービス券。


仕事で忙しい春子おばさんの料理の手伝いをしていたひなたは、この頃、ホットケーキ作りにはまっていた。「いつでもたべたいときにホットケーキをつくります。」と書いた券が5枚綴りになっていた。



その年、うちの犬のコタロウの靴下をひなたと俺の二人で作った。コタロウへのプレゼントは毎年二人で相談して用意した。プレゼントの相談から買い出し、ラッピングまで、一緒にいる口実がまたひとつ増えた。



小学2年のクリスマス


ひなたには鉛筆削りとかわいいノートと逆上がりコーチ券

ひなたからは手袋と手紙と手作りプリンサービス券


この年から俺もひなたの真似をして「券」を作るようになった。


ひなたはお菓子作りの腕をあげ、プリンを上手に作れるようになっていた。でも、この年の5枚綴りの券には、(お母さんのいるときにかぎる。)って書いてあった。



小学校3年のクリスマス


ひなたには縄跳びと靴下と二重跳びコーチ券

ひなたからは縄跳びと靴下と手紙と手作りプリンサービス券


ひなたのプリン券からは(お母さんのいるときにかぎる。)という但し書きがなくなっていた。



小学4年のクリスマス


ひなたにはミニバックとタオルとマラソン練習券

ひなたからは毛糸の帽子と手紙と手作りオムライスサービス券


毎年、マラソン大会で1番をとっていた俺は、学年で真ん中ぐらいの順位だったひなたに早く走るにはどうしたらいいか、と相談されていた。そこで考えたのがマラソン練習券だった。冬休み中、毎日一緒に2キロ走るってだけの券だったけど、冬休み明けのマラソン大会でひなたは学年10番になり、すごく感謝され、ものすごく嬉しかった。



小学5年のクリスマス


ひなたには手袋と何でもお助け券

ひなたからはマグカップと手作りクッキーと手紙と手作りデザートサービス券


どんなことでもひなたの役に立ちたい俺は、もう、こうなったら、と「何でもお助け券」(一年間有効)という券を作った。勉強でも、運動でも、ひなたを助けるためなら何でもやる、という気合の入った券だったが、ひなたから券の権利を求められることはなく、俺がひなたを手助けするための口実として使われていた。


ひなたがくれるサービス券も、5枚綴りから「手作りのデザートを欲しい時に提供してくれる券」(一年間有効だけど、事前に相談して下さい。)という定期券的なものになったけど、俺から「デザート券でデザート作って」とは言い出せず、ひなたから「明日のデザート、チーズケーキでいい?」とひなたが作ろうと思っているデザートが嫌いじゃないか聞かれる権利って感じになっていた。



小学6年のクリスマス


ひなたには弁当箱のセットと何でもお助け券

ひなたからは手作りマフラーと手作りカップケーキと手紙と手作りデザートリクエスト券


なんと言ってもすごいのは、デザート”リクエスト”券になったことだ。俺がリクエストすると、ひなたが応えてくれるんだ。このワクワク感。なんか、よくわからないけど、ロマンを感じた。






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