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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
ライバルが人間。
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ライバルが人間。②

小田翔真の提案に便乗することにした藤村君。


頑張れ、青春。w

「転校生、ハルとヒナはなあ。」


「ただの幼なじみなんだろ?」


「いや、違う。ヒナはハルの兄貴と付き合ってるんだ。」


「は?」


棒葉遼太が素っ頓狂な声を出した。俺は驚きのあまり声が出なかった。



「ヒナはハルの兄貴とつきあってるからさ、ハルはそのお目付け役なんだよな、ハル。」


「・・・。」


「だからさ、ヒナの事は諦めて他の人探しなよ、何ならかわいい子紹介するぜ?」


「ひなちゃんの友だちとか皆彼氏いないって言ってたのに?」


「春休み前に付き合うようになったんだろ?ヒナ恥ずかしがりだから皆には内緒にしとくつもりだったんだよ。」


「・・・。」


「でさ、この事知ってるのは俺とハルだけな訳。だからさ、転校生君、わかるよね?」


「何が?」


「ヒナの乙女心に免じてこの事はみんなには内緒にしといてもらいたいんだよね。だよな?ヒナ。」


「う、うん。」


「・・・藤村の兄貴ってどんな奴?」


「医大生。」


「げ、またそんなのかよ。」


「ハルよりもあたりの柔らかいイケメンだよな?ヒナ。」


「ん?・・・そうかな?」


「とにかく、ヒナはだめだ。で、棒葉遼太、見学はするのか?」


「するよ、彼氏いてもひなちゃんがタイプなのは変わんないし。」


「ってかさ、ハル、かわいこちゃんが待ってるってばよ。」


「翔真、いなかったって言っといてくれ。」


「もったいないなあ、相当かわいかったぜ?一年生。なんなら行ってみる?転校生君。」


「俺はリョータ。あんたはオダショーだっけ?」


「そ、そ。転校生のリョータ、ね。もう覚えたぜ! でさ、一年生、どう?」


「藤村の事が好きな子なんだろ?」


「まあ、ある程度イケメンだったらいいんじゃね?リョータも背高いし、顔もまあまあじゃね?」


「オダショー、身長いくつ?」


「俺?突然なんだよ?んー、まあ、160ちょいかな。」


「ひなちゃんは?」


「私?158センチだけど・・・。」


「じゃあ、オダショーもそれぐらい、だよな?」


「バーカ、俺には男子割増があるんだよ。」


「なんだよ、それw ちなみに藤村は?」


「182」


「げえ。お前、ホントにやな奴だな。」


「ろくに面識のない奴にお前とかやな奴とか言われる筋合いはない。」


「ちなみにリョータは?170後半ぐらいか?」


「177ぐらいだな。ちなみにひなちゃんの彼氏は?」


「は?あ、陸兄?ハル君よりちょっとちいさいぐらいかな?」


「俺とそいつとだったら?」


「兄貴のがでかいな。」


「そう睨むなよ、藤村。ひなちゃん、そんな奴の兄貴より俺のほうが付き合ったら楽しいと思うよ?」


「口説くな、棒葉遼太。」


「なんでお前はフルネームで呼ぶんだよ。」


「てかさ、待ってるかわいこちゃんどうするんだよ。」


「・・・だから、いなかったって言っといて。」


「それじゃ可哀想だろ。じゃあ、弓道部連れてくぞ?知らねーぞ、部活から広まって学校中の話題になるぞ。」


「・・・どこにいるって?」


「さっきはうちの教室に来てた。」


「行ってくるから、翔真、絶対ヒナから離れるなよ。」


「は?」


「俺が帰ってくるまで絶対そいつと二人にさせるなよ、翔真。」


「ああ、そういう事な。じゃあ、明日提出の課題写させろよ。」


「すぐ帰って来る。」



俺は不本意ながらも翔真にひなたのことをまかせて教室に向かった。


教室に戻ると3人の女子が俺を見て走り寄ってきた。


「あの、藤村先輩、ちょっといいですか?」


「何?」


真ん中にいた女子が一歩前に出た。


「先輩って、付き合ってる人とかいるんですか?」


「・・・。」


「あ、あのっ。入学式の時に初めて見かけて、それで・・・私とお付き合いしてもらえませんか?」


一息にそう言った女子についてきていた二人がキャアキャアと盛り上がる。


いつもの事だが、どうしてこういう時に友だちを連れてくるんだろう。溜息がでそうになるのを必死でこらえる。


「俺、彼女いるから、悪いけど。」


「えっ!そうなんですか?」


「そう、だから。」


「え、でも。」


「急いでるから、もういいかな?」


「あ、はい・・・。」




もうこの際、早く事が済めばなんでもいい。


さっきの翔真の作戦に乗って、ひなたは俺の兄貴と付き合ってることにして、俺も他校の人と付き合ってることにしようと決めた。


これであの女子が噂を広めてくれたら一石二鳥だ。



そう考えながら走ってひなたのところに戻る。



戻ってみると、3人は楽しそうに話していた。



「まじで?リョータ。うけるな、それ。」


「だろ?」


「あ、ハル君、お帰り。」


「お、ハル、マジ早かったな。告られた?」


「随分と楽しそうだな。」


「おお、リョータにヒナのどこが好きなのか聞いてたんだけどさ、他の話で盛り上がって。な、リョータ。」


「オダショーは部活、何やってんの?」


「お、それを聞くか?俺はさ、スーパーミラクル運動神経の持ち主だからさ、助けて、って言われた運動部に助っ人に行く男なんだよ。」


「一つの事が続かないだけだろ。」


「ハルー、妬いてんのか?」


「何にだよ。」


「ねえ、ひなちゃん、オダショーと藤村だったらどっちが運動神経いいの?」


「んー、同じくらいじゃないかな?いっつも競ってるよね。」


「でもハルはチームプレイ苦手だからさー。」


「お前は持久力がないよな。」


「ひなちゃん、俺、チームプレイも得意だし、持久力もあるよ。」


「え?」


「棒葉遼太、チームプレイと持久力に自信があるなら弓道部じゃなくていいんじゃないか?」


「藤村は俺が弓道部に入るのは嫌なんだな。」


「まあ。」


「ハル君!?」


「いやあ、俺、今日は見学だけのつもりだったけど、嫌がられると俄然燃えるな。」


「・・・リョータ、お前、まさかハルの事が好きなのか?」


「は?」


「ヒナのたたずまいが好きとか言ってたけどさ好きな理由全部抽象的だったしさ、ホントはヒナにかこつけてハルに近づきたいんじゃねーの?」


「あ、ありえそう・・・」


「おい、ひなちゃんまで、俺はノーマル!女子が好きでひなちゃんが好き。けど、まあ、藤村をからかう事に快感は感じ始めているぜw」


「迷惑だ。」


「なんだよ、藤村、仲良くしようぜ。」


「嫌だ。」



そんな話をしながら部室についた。


翔真はこのあと約束がある、と走って帰って行った。





その日のうちに棒葉遼太は入部を決めた。


幸い、棒葉遼太の家は俺たちが帰る方向とは逆だったから、俺たちの楽しい登下校は邪魔されずに済みそうだが、ひなたと一緒にいれる部活の時間にひなたの近くに棒葉遼太がチラチラするのが気分悪い。




棒葉遼太は運動神経が良く、明るい性格で、たちまち部活にも馴染み、弓道部の主のように振る舞っている。


そして、最も気に食わないのは予想以上に榛葉遼太とひなたと仲良くなった事だ。




俺よりも気の利いた会話なんかもできて、明るく笑顔の絶えない棒葉遼太といっしょにいるひなたは俺といる時よりも楽しそうに見える。




こんなことはいままでなかった。



どうしたらいいんだろう?



ライバルが人間。



コタロウ相手にやきもち妬いてた時なんて今考えればかわいいもんだった。




俺の青春はまだまだ続く。



とりあえず、サブタイトル?も一周したし、次の展開が思いつかないので完結としておきます。


高校生編をそのままにして大学生編にいってもいいものでしょうか・・・。


大学受験の前後は書きたいのですが。


その場合、続きとして掲載するべきなのか、新しい話として掲載するべきなのか、そういう事がわからず・・・。


ブックマークしてくださっている方にはできれば大学生編も見てもらいたいのですが、どんなものなんでしょう・・・。


と悩みつつ。


まだ続いたらまた、懲りずにお付き合いくださいませ。


ではまた。


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