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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
ライバルが人間。
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ライバルが人間。①

鈴村さんのクラスに転校生がやってきて、鈴村さんにちょっかいを出すのが気に食わない藤村君。


今までにない展開に焦っています。

俺は藤村晴人。


高校3年。


かわいい彼女がいる。




そして、今、ものすごく焦っている。



超かわいい俺の彼女、鈴村ひなたのクラスに転校生がやってきた。


何でも今、日本代表のレギュラーとも言われるようになったサッカー選手のいとこらしい。


ひなたは弟がサッカーをやっているだけあって、サッカー好きだ。


それだけでも嫌な感じがするのに、出席番号順に並んだクラスの席で隣らしく、大迷惑にも、担任に世話係に任命されたらしい。


さらに。俺は聞き逃さなかった。


転校初日、有名サッカー選手のいとこという事で一躍話題の中心となり、始業式後に皆で遊びに行くことになった転校生が、俺との約束を優先しようと帰り支度をしていたひなたに


「ひなちゃん、一緒に行かないの?仲良くなりたいな。」


と言ったのを。





まず、ひなちゃんと馴れ馴れしく呼ぶのが気に食わない。


仲良くなりたいとかありえねー。


ひなたには俺という彼氏がいるんだから、近寄るな。


と言いたいところだが、二人の関係を学校では内緒にしようと決めたからにはそう言う訳にはない。



でも、ひなたに対してかなりあからさまに好意を表すあいつへの対応策が考え付かない。


・・・やっぱり俺とひなたは付き合ってますって交際宣言したほうがいいんだろうか。


いや、しかし。


俺の事を何も知らないのに、勝手に盛り上がっている女子がひなたに悪意を向けるかもしれないと思うとそれは怖くてできない。



しばらく、そんな事をぐるぐると考える日が続いた。





そして、数日前、転校生の棒葉遼太は弓道部に入った。


高校3年で転校してきてまさか部活に入るとは思わなかった。


しかも、入部の時から気に食わない。



その日、俺はいつも通り、ひなたが教室から出てくるのを廊下で待っていた。


すると、ひなたと一緒に棒葉遼太も教室から出てきた。



「ハル君、リョータ君も弓道部見に行きたいんだって。」


「よろしく。」




棒葉遼太はひなたを真ん中にして3人で並んで歩きながら、ひなたの頭の上から挑戦的な目をして俺に言った。



「・・・。」


返す言葉が見つからなかった。


「えっと、ハル君は基本無口だから、気にしないで。で、リョータ君は前の学校では何してたの?」


「俺?前の学校ではバスケしてた。」


「じゃあ、バスケ部見に行かなくていいの?」


「んー。まあ、色々やってみたいし。」


「そっか。私も未経験だったけど、弓道はおもしろいよ。」



ヒナ、誘うようなことを言うな。


そう言いたかったが、ひなたは俺と違って棒葉遼太が弓道部に入るのを阻止したいと思っていない。


部員が増えて嬉しいぐらいにしか思っていないだろう。


どうやって棒葉遼太の弓道部入部を阻止するか、俺は頭をフル回転させて考えていた。


すると、棒葉遼太が俺の思考を遮る発言をした。



「ひなちゃんが手取り足取り俺に教えてくれたりするの?」


「ヒナは女子だから。男子には俺が教える。」


ひなたがお前に教えるなんてある訳ないだろう。誰が近寄らせるかよ。そういう気持ちを込めてひなたに気づかれないように棒葉遼太を睨みつけながら即答してやった。


「へー。噂の藤村が直々に、ねえ。」


「噂?」


「色々聞いてるよ、モテモテだとか、難攻不落だとか。」


「・・・。」


「でさ、俺、ひなちゃんのこと好きなんだよね。」


「へ!?」


「ん?」


「何言いだすの?」


「初日から言ってるよ、俺、仲良くなりたいって。」


「ああ、そういう意味ね、びっくりした。」


「いや、俺は最終的には付き合いたいんだけど。」


そう言いながら棒葉遼太はヒナの肩を抱いた。


「へ?」


ヒナ、今は素っ頓狂な声を出している場合じゃない。


「棒葉遼太、ヒナにそれ以上近づくな。」


俺はひなたから棒葉遼太を引きはがすと、ひなたと場所を入れ替わり、ひなたと棒葉遼太の間に入った。


「だって、藤村とひなちゃんはただの幼なじみなんだろ?」


「ただの幼なじみなんかじゃねえ。俺とひなたは」


そう言いかけた時だった。


「おーい、ハル、なんか一年生のかわいい子がお前の事探してるぞ。」


翔真だった。




「今それどころじゃない。」


「お?転校生じゃん、何々?このきまずい空気は?お?修羅場か?」


「・・・。」


「・・・。」


俺と棒葉遼太は修羅場という認識をしていたせいで言葉を発せずひなたの頭上で睨み合った。



「しょ、翔真君・・・。」


ひなたは気まずい空気を察したのか翔真に助けを求めるように翔真の名前を呼んだ。


「何よ?」


「俺がひなちゃんの事が好きだって言ったらこの幼なじみが不機嫌なんだ。」


「は?」


「だから、俺とヒナは」


そこまで言ったものの、ひなたを危険にさらす可能性を考えると、本当の事を言葉にしていいものかどうか迷った。


すると、翔真が俺の目を見てニヤリと笑って言った。


「ああ、そうか、内緒にしてるんだろ?お前ら。」


「え?」


「?」


「何を内緒にしてんだ?」


「転校生、ハルとヒナはなあ。」




この後の翔真はとんでもないことを言い出した。


けれど、俺は不本意ながらもその翔真の発言に便乗することにしたのだった。








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