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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
新学期にイケメンはライバル視される。
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新学期にイケメンはライバル視される。①

男女交際を始めた藤村君と鈴村さん。


お互いに前向きに男女交際に向き合おうとしていたけれど。


予想外の邪魔が・・・。

私は鈴村ひなた。


4月を迎え、高校三年生となった。



隣に住んでいる幼なじみのハル君とお付き合いを始め、もうすぐ2か月。




お付き合いを始めるにあたって、ハル君はちょっとルールを決めようと言った。



まず、ルール1、これからもなんでもなるべく話し合う。



確かに、ハル君はあんまり話さないから何を考えているのか分かりにくいことはあったけど、何かをハル君が強引に決めたという印象はないし、話し合いが足りないと思ったことはなかったから、聞いてみた。


「ハル君は何が気になってそのルールが必要だと思ったの?」


「・・・。」


「?」


「・・・引くなよ。」


「うん。」


「ヒナが、突然別れようとか言わないように・・・。」


「え?」


「ヒナが俺と別れたくなっても止める機会がないと困るから。」


「・・・。私がハル君に相談せずに勝手に別れるって決めたら困るって事?」


「そう。」


「・・・そか。」


「いや、それだけじゃなくて、なんでも話し合わないとわかんないだろ?俺、基本無口だから、ヒナが俺の考えている事理解するの難しかったりするだろ?そういう時に「わかんない!」って言って欲しいし。」


「ふむう。」


「・・・俺わがまま言ってる?」


「ううん、言ってないよ。ただ、今までハル君がそういうことを気にしてるって思ってなかったから驚いたの。」


「そういう事って?」


「私がハル君の考えてること理解しづらいと思ってるとか。」


「あ、いや、うん。それじゃいけないと思ってるんだけど、俺、分かりにくい時、あるだろ?」


「うーん、まあ、ないとは言えないかなあ。」


「そういう時に感じた不満とか不信とかが積み重なるとよくないだろ?俺はそういうの、気付けないからヒナに気付かせて欲しいんだ。」


「そっか。」






ルール2、基本ふたりの男女交際は学校では内緒。



これは私も考えていた。


今まで散々周りに「ただの幼なじみ」と言ってきた事もあるし、今さらやっぱり付き合い始めましたって言うのはなんだか言いづらい。



私たちのお付き合いは見方によれば「いい加減な馴れ合いの延長」とも見えるだろう。そんなの、恋じゃない、という人もいるだろう。


私の気持だけを考えれば、自分でもでもそう感じない事もない。


けれども。


少なくとも、ハル君は本気で私の事を好きだと言ってくれている。


そして私には、ハル君の気持ちに応えたいという気持ちが確かにある。


こんな気持ちの関係を、恋愛と呼ぶのかどうかは私にはわからないけれど。




私とハル君で、これからゆっくりお互いの気持ちの確認作業を行おう、と思っているのに、周りに振り回されてしまうのは嫌だと私は思っていた。





それに、ハル君は、私に何か悪い事が起きる事も心配していた。



難攻不落イケメンとして注目されすぎているのを自覚しているハル君は、私と部活が一緒で登下校も一緒だけど、クラスは違うしずっと一緒にいられる訳ではない。ハル君と一緒にいない時に、私に何かあったら困ると考えたようだった。


「別に、本来ならコソコソすることは無いんだけど、ヒナにもしもの事とかあったら嫌だし、そういう外野の要素で俺の事嫌になられても困るし。だから、基本、俺たちの男女交際は学校では内緒にしよう。」


「うん。」




一息ついて、ハル君が言った。


「他に細かい事は後々決める必要があれば決めることにして、とりあえず俺が今気になっていることはこれだけ。ヒナは何かある?」


「じゃあ、ひとつだけいいかな?」


「何?」


「デートは割り勘。」


「え?」


「お互い働いてないから、デートは割り勘にしようね?」


「う。」


「大人になってハル君が働いてお金貰えるようになったら時々奢ってね。」


「・・・。わかった。」


「私が気になってたのはそれだけだから。」


「・・・おう。」


「ん?」


「・・・ヒナ、大好きだ。」


「へ?」


「いや、ちょっと言いたかったんだ。」


「そ、そか。」




ハル君がデートでは男の人が奢るべきだと考えていることは分かっていた。


でも、それだと対等じゃない気がするし、お互いまだ学生。親のお金で養ってもらっているのに男の人が奢るというのはなんだか違う気がした。



でも、それを言うと自分が奢ろうと思っているハル君をがっかりさせてしまうかもしれないから言い出しにくいなあ、と思っていた。


まずルールを決める、という提案はいい機会だった。



さすがハル君。





うーん、ちょっと私、浮かれてるかもしれない。






そんな浮かれた春休みを過ごし、3年生の始業式。



またハル君はA組で、私はB組。ちなみに翔真君はハル君と同じA組のようだ。



ハル君とは3年間違うクラスかあ、と思いながら席に着くと、担任の先生が入ってきた。



物理の袴田先生だ。見た事のない男子と一緒にいる。


「3年B組担任の袴田です。よろしく。で、転校生を紹介します。はい、棒葉君、挨拶して下さい。」



棒葉しんば遼太りょうたです。静岡から引っ越してきました。よろしくお願いしまーす。」


「出席番号だと、えー、鈴村、隣の席だから、色々教えてやってくれ。」


「はい。」




高校にも転校生って来るんだなあ、そういえば転校生って人生初だなあ、その時、私はのんびりとそんな事を考えていた。


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