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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
バレンタインにイケメンは決意する。
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バレンタインにイケメンは決意する①

お試し男女交際が終了する予定のバレンタインが過ぎた。


二人の関係は・・・。

私は鈴村ひなた。


17歳のバレンタインが過ぎた。



今年のバレンタインには私の人生で最大の事件が起きた。



初詣でお隣に住む幼馴染に「お試し男女交際」を提案された。



そして、毎週末、デートした。


まず、映画。そして図書館、水族館、買い物、ハル君家でDVD鑑賞、カラオケとデートの基本ともいえるデートを重ねた。ゲームセンターでプリクラもとったし、クレーンゲームでぬいぐるみも取ってもらったし、スマホのストラップと家のカギのキーホルダーもお揃いにした。



男女交際、思っていたより楽しい。


私は1月の中旬頃には既にバレンタインンで期間限定お試し男女交際が終了するのが寂しくなってきていた。



バレンタインは土曜日。




「ハル君、バレンタインの土曜日って予定ある?」



バレンタインの数日前、私は思い切ってハル君に聞いた。


「ヒナがよかったらデート行こう。」


「14日でいいの?」


「何か用事でもあるのか?」


「ううん、私はないけど、ハル君は・・・。」


「俺もヒナと出掛けるつもりだったから予定はそれ以外ない。」


「そっか、じゃあ、ハル君、どこか行きたいとことかある?」


「どこでもいいよ。ヒナの行きたいとこで。」


「じゃあ、北欧の暮らし展でもいい?」


「ああ、この前からやっててヒナが行きたいって言ってたやつな。」


「うん、ハル君、あんまり興味ないかなあって思ったんだけど、どうかな?」


「ヒナが興味がある事なら見てみたい。」


「そっか、じゃあ、北欧の暮らし展を観に行って、買い物してって感じでいい?」


「おう、いいよ。」


「じゃあ、今回は私がハル君を迎えに行くね。」


「え、いいよ、迎えに行くのは男の役割だし。」


「いいの、バレンタインは私が行きたいんだから。ね?」


「・・・わかった。」


「じゃあ、朝、10時に迎えにいくね?」


「おう。」



という事で私がハル君を迎えに行った。



もちろん、前日にほぼ徹夜で作った手作りチョコも用意した。



今日の洋服はグレーのダッフルコートにケーブル編みの白いニットに黒いウールのタイトスカートに黒い編み上げブーツで赤いニット帽。私にしてはちょっと大人っぽい感じになっていたと思う。かかとのちょっと高い編み上げブーツはお母さんのを借りたし。





お試し男女交際は今日まで。しかも、ハル君はもしかしたら今日、私とのデートの後、本命彼女と会う約束があるのかもしれない。そう考えると胸がぎゅっとなる。何となく聞けないままバレンタイン当日を迎えてしまっていた。




北欧の暮らし展は予想以上に混んでいた。


ハル君とデートの時は手を繋ぐのが定番だったけど、あまりに混んでいたので、この日は腕を組んでいた。というか、まあ、私がハル君の腕にくっついている感じだった。



ゆっくり展示を見て回ってミュージアムショップまでたどり着いた。


ミュージアムショップもたくさんの人で混み合っていた。



北欧デザインの雑貨はどれもかわいくてつい夢中になってしまった。


あ、ハル君、つまんないかな?と思ってふとハル君の顔を見た。


「ん?」


「あ、ごめん、もう飽きたよね?」


「いや、ヒナ、まだ見たいだろ?」


「うん、だけど、混んでるし、あとちょっと見たいからハル君、外で待ってる?」


「いいよ、一緒にいる。」


「いいの?」


「いいよ、ってか、このマグカップかわいいよな。」


「え?ハル君もそう思う?私もそう思ってたの。これ、かわいいよね。」


「お揃いで買おうか?」


「え?でも・・・。」


お試し男女交際は今日までなはずだから、今日お揃いを買うのはなんだか寂しい気がした。


「俺買うよ?ちょうど家にヒナが来た時のカップがないなって思ってたし。」


「でも・・・。」


「欲しいかいらないかだけ考えたら?」


「・・・欲しい。」


「じゃあこれ買おう。」



私はずっと見たかった北欧の暮らし展を見ながら、今日、どのタイミングでこのお試し期間の終了の話をしようか、そればかり考えてしまっていた。



でも、ハル君は今日は私とのデート以外の予定はないって言っていた。


ハル君はお試し期間終了についてどう思っているんだろう。



ここから出たらランチに行こうと思ってるけど、そこで話すことにした。



お試し男女交際は想像以上に楽しかったけど、期間限定だから楽しかったのかもしれない。


今日までありがとうって笑って言おう。


そう考えたら胸がぎゅっとなった。


ん?これが胸がきゅうんっていう感覚なんだろうか?


これがそうだとしたら、私が想像していたよりも苦しい。





「おい、ヒナ、どうかしたのか?」


「あ、ごめん、ちょっとぼーっとしちゃった。絵本コーナーも見たいけど、いい?」


「おう。」





結局、ハル君がペアのマグカップを買ってくれた。



そして、最近できたおしゃれなカフェでランチをすることにした。



「ちょっと量は少なめだけど、うまかったな。」


「そっか、よかった。お腹すいたらお茶すればいいもんね。」


「だな。」


「・・・ねえ、ハル君。」


「お?」


「今日、バレンタインだよね?」


「おう。」


「お試し男女交際、終わり、だね。」


「・・・。」


「想像以上に楽しかったから、何か、寂しくなるような気がするね。」


「・・・。」


「あ、ごめん。」


「何で謝るの?」


「だって、なんか、勝手に盛り上がっちゃったかなあって。」


「ヒナは今日で終わり、にしたいの?」


「え?でも、バレンタインまでって・・・。」




その後、ハル君の発言に私は驚いてしばらく口がきけなかった。













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