ネットでイケメンは検索される。①
なんだかんだで初デートをお試しすることになった二人。
初デート前にちょっと驚く事が。
私は鈴村ひなた。
17歳にして初めて彼氏ができた。
うーん、正確に言うと、お試し彼氏ができた。
あれ?幼なじみのイケメンが私の恋愛音痴リハビリのためにお試し彼氏になってくれた?
どうも、今の状況をあまりうまく説明できない。
幼なじみのイケメン、ハル君はなんでも完璧を目指す男。
だから、多分、本命の彼女が出来た時に余裕をもって対応できるようにお試し男女交際をしておきたいんだと思う。
今まであれだけたくさんの女子に告白されてきたんだから、一度くらい誰かとお付き合いしておけばよかったんじゃないかなんて思わなくもないけど、きっと、自分の気持ちと相手の気持ちが対等じゃないといけない、とか、別れるのが大変だとか、色々考えてやめたのかな?
私だったらいつも一緒にいても変じゃないし、私が普通すぎるせいか、これだけ一緒にいても彼女疑惑もあんまり起きないし、お試し期間が終わる時がきてもあっさりお付き合い終了できるし、気まずくなかったりするんだろうな。
で、今日の朝、初デートに行く日が決まった。
日課となっている朝のコタロウさんの散歩の時だった。
「明日、映画行こう。」
「え?」
「映画。初デート。」
「は、初デートかあ。うん、行こう。」
「白いロボットの外国アニメでいい?」
「あ、観たかったんだ。楽しみだね。」
「おう。」
「そうかー。初デートね。どうしよう?何着て行こう?」
「初デートっぽい格好。」
「初デートっぽい格好って、ワンピースとかかな?」
「どうだろうな。いいよ、ヒナの好きな洋服で。」
「どうしよう?でもかわいい格好のほうがいいよね?」
「・・・うん。」
「ん?」
「あ、いや、いいよ、どんなでも。」
「なんだか楽しみ。ハル君はいつもの格好?」
「・・・俺も何かカッコつけたりしたほうがいい?」
「うーん、でも、私、ハル君がかわいいっぽい格好してるほうが好きだからカッコつけてないほうがいいな。」
「そう?」
「マフラーぐるぐる巻きにして寒そうにしてるハル君、かわいいんだよね。」
「かわいいっていうのは、男への褒め言葉じゃないな。」
「そうかな?でもハル君、クールな顔と雰囲気だから、カッコよくしてると近寄りがたいっていうか・・・。かわいいっぽい格好とのギャップがいいんだと思うんだけど・・・。」
「ふうん、そんなもんか。」
「わかんないけど、私はそう思うかな。楽しみだね!」
「おう。」
ということで、金曜日の夜、クローゼットを開けて、色々な洋服を並べてみている。
まず、靴から決めようかな。
いつもの黒いボアブーツでもいいけど、リボンのついたスエードのバレエシューズもいいかな?
服はやっぱり、スカートだよね。
タイトスカートもあるけど、ふんわりしたほうがいいかなあ。
えーっと、ふんわりしたスカートといえば・・・。
紺色のフレアスカート、黒いチュールのスカート、ベージュのヒダスカート。
ワンピースは黒いニットワンピ、チェックのネルシャツワンピ、チャコールグレーの襟付きワンピ。
あ!今年のバーゲンでゲットした高めのウエスト切り替えにふんわりフレアスカートのカットソーワンピなんてどうかな?まだハル君の前で来てないと思うし。ワンピースがグレイのグレンチェックだから、ピンクのカーディガンなんて合わせたらどうかな?
バッグはこの前、お母さんが買ってくれたバッグにしよう。グレーにピンクのお花のついたフェルトのプチバッグ。これもまだハル君の前で持ってない。
コートはベージュのハーフコートとグレーのダッフルッコートしか持ってないけど、お母さんが今年買った黒いチェスターコート借りちゃおうかな?
うん、なんとなく初デートっぽい格好になってきたな。
黒いタイツかニーハイソックスを買いにいかないと。
ハル君、かわいいとか言ってくれるかな?
うーん、初デートの洋服選び、楽しい!
うきうきしながら選んだ洋服を体にあてて鏡を見ていたらラインがはいった。
ん?同じ部活のともだちの今田 洋子、洋ちゃんからだ。
「ヒナ、情報ゲット。」
「え?何の?」
「例のイケメン情報サイト発見したよ。」
「え?ハル君情報がのってるっていうの?」
「そうそう、今日、中学の時のともだちと街で会ってお茶してたらね」
「うんうん。」
「洋子の学校に藤村晴人君っているでしょ?って聞かれて」
「うん。」
「どう?かっこいい?って聞かれたから」
「まあ、イケメンだよって言ったら」
「やっぱりまだ彼女いないの?って」
「で、何でって聞いたら」
「イケメンだけど彼女いない歴=年齢って書いてあるって」
「で、そのサイトの名前聞いたから」
「連絡ね。」
「え!ホントだったんだね、あの噂。」
「ね。ちょっと衝撃の内容だけど、まあ、見たほうがいいかなって」
「うん。」
「イケメン高校生検索サイト/イケコウサク」
「・・・なんかベタだね。」
「ね、イケコウサク。中身もすごいから。」
「う、なんかコワイね。」
「うん、まあ、とりあえず、藤村君と一緒じゃない時に見たほうがいいと思うよ。」
「う、うん (^-^;)」
「じゃね ^^ノシ」
・・・・・。
ちょっとみてみようかな。
「イケコウサク」っと。
お、でた。えーっと、 藤村 晴人 っと。
んんんんん?!
そこには衝撃の内容が書かれていた。