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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
初デートは明日。
16/30

初デートは明日。②

初デートは明日。はこの話で終わります。

「どうなってんだよ?晴兄。」


「ん?」


「姉ちゃん、バレンタインまでお試し交際って言ってたぞ?」


「う?」


「俺、かま掛けたんだよ、晴兄から何か言われただろ?って。」


「ああ。」


「そしたら、期間限定で私の恋愛音痴リハビリしてくれるらしいって。」


「お?」


「何て言ったんだよ、晴兄、姉ちゃんに。」


「・・・お試しで付き合わないか?」


「くーーーー。どうしてそうなるんだよ。」


「いや、正式なお付き合いはお試しの後のほうがいいかと思って。」


「いや、そうじゃなくてさ。まず、好きだってことを伝えないと。」


「・・・。」


「言ってないんでしょ?」


「いや、言った、と、思う。」


「思う、って。」


「テンパってたからあんまり覚えてないけど、確か幼なじみの自分を女として見れるか?って聞かれたから、好きだから見れるよって言ったと思う。」


「好きだから女として見れるって言われたとは言ってなかったぞ。んで、姉ちゃんは何て返事したの?」


「私もハル君のこと好きだよって・・・。」


「それさ、姉ちゃんは絶対家族愛的好きの話をしてるよね、晴兄。」


「う!」


「冷静に考えればそういう発言だよね、姉ちゃん、好きな人いないと自分では思ってるんだから。」


「うーむ。」


「なんでお試しなんてつけちゃったんだよ。」


「いや、だって、ヒナ、突然マジ告白とかしたら驚いた勢いで断られそうだろ?」


「うーん、あり得る。」


「だろ?だからさ、色々考えた結果、さ。お試しになったんだ。」


「色々って、例えば?」


「例えば、好きだから付き合ってって俺が言うだろ?」


「うん。」


「ヒナのことだから、俺が本気だってわかったら自分も同じくらい好きじゃなきゃだめだとか考えるだろ?」


「あー、うん。」


「で、ちょっと考えさせてとか言ってじっくり考えるだろ?」


「だろうね。」


「その間、どんぐらいかかるかわかんねーけど、俺耐えらんないだろ?そんなの。」


「うーん。」


「で、さんざん待たされた挙句、やっぱりハル君が私の事好きだなんて気のせいだよ、とか言いそうだろ?ヒナ。」


「うん、それは言いそうかも。」


「だからさ、お試しでとりあえずOKしてもらって、付き合ってみて、俺が彼氏でもいいかも、っていう方向に持っていこうかと・・・。」


「うーん。そうか。意外とあってるような気がしてきた。」


「うん、俺もやっぱりこの方法がよかったような気がしてる。」


「そうか。わかった。で、バレンタインまでになんとかするんだね?」


「そのつもりだ。」


「相手が姉ちゃんだと考えればその作戦は成功しそうな気がするよ。あの人、色んな意味でちょっととぼけてるからね。」


「そこがかわいいんだろ。」


「・・・。まあ、二人がよければ俺はいいんだよ。とりあえず、姉ちゃんは自分の恋愛リハビリだと思ってるからさ、晴兄がそれを理解していて、その上で作戦たててるっていうならいいんだ。うん。」


「お、おう。」


「よし!じゃあ、俺は俺の心配だけするぜ!」


「お?そっちはどうなんだ?」


「超順調!初詣て手繋いだし。次のデートの約束もしたし。ほっぺにチュもしたし!」


「おー?」


「生意気だろ?にしし。じゃあね、晴兄!」


駆は爽やかに笑って帰って行った。



ほっぺにチュ、だと・・・。


そりゃあ、俺は保育園の頃、ヒナが鈍感なのをいいことにほっぺにチュとかしたことはあるけどさ。


そう。


いきなりキスして告白っていうのも考えたんだ。


キスするとお互いの気持ちが分かるっていうし、一番気持ちが伝わる手段だって本に書いてあった。


でも、もし、ヒナが俺とキスしてみたら嫌だった、なんて事になったら洒落になんねえ。


そんな危ない橋は渡れない。


キス・・・はお互いの気持ちが通じ合って、確実な合意の元でできる日まで我慢だ。


くー。遠いなあ。キス。



お試し男女交際なんて考え付いたのは年末の深夜、元旦告白の作戦を練っていた時だった。



つけたままになっていたテレビからは深夜の通信販売のセールストークが聞こえてきた。


「英語が苦手でお困りの方、もう心配いりません!英語がぐんぐん身に付くんです!」


英語なんかで困ってねーよ。勉強すれば何とでもなるじゃねーか。


「まずは無料のサンプルでお試しください!毎日続けると一ヶ月で効果が実感できます!」


一ヶ月で結果のでる英語ってどんなだよ。


「体験者の感想を聞いてみました。どうぞ。」


「お試し期間があったから、始める不安もなく、自分に合っているかどうか分かって良かったですね。」


「皆に内緒で勉強できて、ぐんぐん自信がつきました。今ではネイティブ?って聞かれたりします。」


「本当に出会えて良かったです!将来海外で暮らしたいという夢が現実にぐっと近付いたと思います!」


・・・・・。


お試し期間があったから、始める不安もなく・・・。


皆に内緒でやれば失敗の不安も少ない・・・。


試してみて本当に良かった・・・。


夢が現実にぐっと近付いた・・・。


・・・。


これなんじゃないか?


そう思ったんだ。



恋愛に奥手なひなたを怯えさせず、俺との男女交際に前向きにさせる方法。



俺がひなたにとっての理想の彼氏になれるかどうかは分からない。だけど、理想の彼氏になれるように努力する気持ちは満タンだ。そういうの、うざいって思われたりするかな?それも見極めないとな。



決めた。



初デートは明日誘おう。


「明日、映画観に行かないか?」


噛まないように練習しとこう。


「行かないか?」って疑問形だと断りやすいかな?「明日、映画観に行こう。」のほうがいいな。


よーし!



頑張れ、俺。


俺の青春は盛り上がりをみせつつまだまだ続く。















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