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藤村君と鈴村さん。  イケメン男子とその幼馴染  作者: るい
初詣でイケメンは大吉を引く。
12/30

初詣でイケメンは大吉を引く。①

私は鈴村ひなた。


17歳のカウントダウン少し前、お湯が沸くのを待っている。


毎年、私と弟の駆と隣に住むハル君の3人で我が家のコタツに入ってカウントダウンを迎える。


「姉ちゃん、一個きつねうどんだけど?」

「うん、食べたかったの、うどん。」

「じゃあ、俺と晴兄が天ぷらそばね。」

「ハル君、おそばでいい?ラーメンもあるけど?」

「そばもらう。」


私の家で夕ご飯に年越しそばを食べた後、居間のこたつに移動し、テレビの正面に私が座り、右隣にハル君、左隣に駆が座っている。大袋に入ったチョコレートをかけてトランプをしたり、みかんを食べたり、テレビの感想を言い合ったりしながら過ごし、小腹がすいた私たちは歌番組を見ながらカップ麺を作っている。


もう少しでカウントダウン。年が明けたら挨拶だけしていったん解散し、朝になってから初詣に出かけるのが毎年の恒例行事。


「姉ちゃん、きつねうどんひとくちくれ。」

「ひとくちだけだよ。」

「俺の天ぷら食う?」

「うん、ひとくち。」

「んー。おあげうめー。」

「あ、ハル君、七味欲しいよね?ちょっと待ってて。」

「おう。」


台所に七味唐辛子を取りに行って居間に戻ってくると、駆とハル君が何やら話し込んでいた。


「何話してるの?」

「うわあ!びっくりした。もう帰ってきたのかよ、姉ちゃん。」

「何?内緒話?」

「そう。」

「えー。」

「まあ、年が明けたら教えるよな、駆。」

「う、うん。そうだね。」

「えー?年明けって明けたらすぐ?それとも来年って事?」

「初詣の前、だよな?」

「そ、そうそうそう。」

「駆?なんか様子がおかしいけど・・・。」

「き、気のせいだよ、姉ちゃん。さ。今年のトリって誰だっけ?」

「ま、いいけど。あ、はい、ハル君、七味。」

「ありがと。」

「・・・。」

「何?」

「ハル君は落ち着いてるから、隠し事してるのは駆だな。」

「まあ、ヒナ、年明けまでもう少しだから。」

「だから?」

「テレビ見ようぜ。」

「・・・うん。」


納得いかなかったけど、まあ、教えてもらえるみたいだから待つことにする。


駆が私に隠し事って何だろう。


冷蔵庫に入れといた私のプリン食べちゃったのはこの前もうケンカしたし、私が貸したCDを失くしちゃったっていうのももう違うの買って返してもらったし、何だろう。気になる・・・。


駆の顔をじーっと見ながらあれこれ考える。


駆はわざとらしく私から目線をそらし、興味深そうにテレビを見ている。


アイドルに興味なんかないはずなのに。


むむぅ。


パァァァァン。


油断していたら歌番組の終わりを盛り上げる、銀テープが客席に向かって飛び出す音がした。


あ、カウントダウンだ。


「5、4、3、2、1、明けましておめでとうございます!」


「おめでとう。」


「おめでとうございまーす!」


皆でお祝いを言った。


「で、駆、なあに?」


「お、おう、あ、あのさ。」


「うん。」


「俺、彼女が出来てさ。」


「・・・・・。ええええええええ!彼女?!」


「・・・ヒナ、驚きすぎだろ。」


「明日、俺たちデートに行くんだ。」


「明日?」


「だから、明日、ヒナは俺と二人で初詣だ。」


「駆、初詣行かないの?」


「だから、彼女と行くんだってば。」


「そ、そっか。で、どんな子?」


「えーっと・・・。」


「ヒナと同じクラスの子。」


「え??えええええええ!?」


「さっきから驚きすぎだって。ヒナ。」


「だ、だ、だ、だって、年上って事?」


「年上にそんなに驚くことないだろー、姉ちゃん。」


「で、だ、誰?」


「斉藤 莉帆子りほこさん。」


「え!リホちゃん?!あ!そうか、サッカー部だ。」


「そう、サッカー部のマネージャー。」


「へええええ。駆が告白したの?」


「そう。」


「な、生意気。」


「うるせえな。」


「そっか。そっかー。っていうか、ハル君、知ってたの?」


「ああ。」


「なんで私が知らないのにハル君が知ってるの?」


「相談されたから。」


「むー。」


「むくれるなよ。」


「だって、駆に私より先に彼女ができるなんてなんかイヤ。」


「姉ちゃんは好きな男もいた事ないもんな。」


「うるさいな。でも、そうだよね・・・。ハル君も好きな人いるんだし。」


「・・・。」


「来年は一人でカウントダウンだったりして・・・。」


「俺がいるだろ。」


「ハル君だっていつ彼女できるかわかんないでしょ。」


「彼女ができてもカウントダウンはヒナとする。」


「晴兄、その言い方はどうだろう?」


「何か問題あるか?」


「いいよ、そんな気を使ってくれなくても。」


「俺がそうしたいんだ。」


「それじゃあ彼女が可哀そうでしょ。私だったら嫌だよ。」


「何が?」


「自分がいるのに幼なじみの女の子とカウントダウンしてたら嫌だと思うよ。」


「ほら、そうなるよ、晴兄。」


「・・・。」


「ハル君ってちょっとそういうところ鈍いよね。」


「・・・。」


「姉ちゃんに言われたくないよな、晴兄。」


「・・・。と、こんな時間だ」


「ほんとだ。」


「じゃあ、ヒナ、明日、朝9時に迎えに来るから。」


「うん、わかった。」


「おやすみ。」


「おやすみー。」


「おやすみ。」





ハル君はそう言って家に帰って行った。



私はなんだか頭が冴えてしまって、その夜はなかなか眠れなかった。





























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