神山沙耶
「さてと入るか」
俺は現在理科準備室の前に立っていた。
ここに噂の天才少女神山沙耶がいる。
彼女はアメリカの大学卒業後、この学校に入学をした。
噂では、どうしてもここの卒業生になってほしいため学校が金を積んだらしい。
そして、この理化準備室と言う部屋をを与え、授業には出なくてもいいという許可を与えた。
授業に出なくてもいいと言う話は沙耶から直接聞いた話だ。
ただここにいればいいということも。
俺は1カ月前に沙耶に会っているのだが、美雪は会っていない。
美雪がもし、先に着いた時あの少女はわめきちらすだろう。
それぐらい沙耶は人見知りだから慎重にならざる得ない。
だから、先に俺が入って沙耶のご機嫌を取る。
その後、美雪が中に入り沙耶と対面。
そこから仲良くなるという作戦だ。
我ながらよく考えていると思う
「おっす。沙耶久しぶり。」
「お兄ちゃん」
俺がきた瞬間沙耶は満面の笑みを浮かべ俺の方に飛びついてきた。
まだあどけない少女の笑顔に目を引く丸眼鏡、そして自分の身の丈に合った白衣をきている。
これからの将来が楽しみな女の子である。
「今日はどんなお菓子とジュース持ってきてれたの?」
「今日はお菓子だけなんだ。ほらポテトチップス海苔塩味」
「ジュースは?」
「えっと……今日は忘れちゃったんだ」
「え~~ジュースがほしい。ジュースがほしい」
そういい、駄々をこねる沙耶。
実はこれも作戦なのだ。
美雪にはこの後ジュースを持ってこの中に入ってくるように伝えてある。
沙耶の好きなジュースを持ってくるようにいったため、それを沙耶に渡し、2人には仲良くなってもらう。
それにしてもこんな我儘な子がどうしたらあんなに可愛く気立てがよくなるのだろう。
こうしてアウトブレークの1年前を見るとそんな気配なんてないのにな。
「こんにちは。」
ドアを開けて沙耶に向かって一礼をし、美雪が理科準備室の中に入ってきた。
「誰ですか、沙耶と先輩の愛の巣に入ろうとする輩は。」
そう言われた美雪は面をくらっている。
いきなり愛の巣と言われたから多分そうとうなショックを受けているのであろう。
特に俺と美雪は一応形だけ婚約しているし。
現に彼女の顔が引きつっている。
「すいません。今日は雄二君に誘われてきたんです」
「私のお兄ちゃんに雄二君とかなれなれしく話さないでください」
あっ、また顔が引きつった。
笑顔が引きつってるわ。
よく耐えてるな。美雪は。
普段ならもうきれていてもおかしくないのに。
「……ごめんなさい。ゆう……岬君に今日は招待されたんです。可愛い女の子がいるからって言われて……」
おっ、耐えた。笑顔が引きつっているからもうダメだと思った。
すまん、美雪。
もう少し耐えてくれ。
「そうなんだよ。沙耶には俺以外にも友達ができてほしいから無理を言って美雪を誘ったんだ」
「そうなんですか。私はお兄ちゃん以外の友達はいらないんですけどね」
「あんたねぇ……」
沙耶に今にもとびかかりそうな美雪を捕まえる。
「(落ち着け。ここで切れたら全ては終わりだ)」
「(だって、あいつ、あいつ)」
「(わかってる。初めてあいつと会った時のことを思い出せ。こんなんじゃなかっただろう)」
そういい、彼女も思うところがあったのだろう。
必死に怒りをのみこみ沙耶にあれを渡す。
「今日は沙耶ちゃんにこれを持ってきたんだ。一緒に飲まない?」
そういい、沙耶の大好きな100%のグレープフルーツジュースを出す。
これさえあれば沙耶の機嫌もきっと戻るだろう。
「こんな雌豚の持ってきたものは飲めません。さっさと出直してきて下さい」
「誰が……誰が雌豚ですって……」
美雪の表情は笑顔なのだが、額から青筋をヒクヒクさせていることが見て取れる
やばい、きれた。
この時の美雪は本当にやばい。
ていうか、さっきまで必死に耐えてきた分反動がいつもより大きいんじゃないか?
沙耶が美雪を見るとそこには般若のような表情をする美雪の姿があった。
てか美雪さん。こっちの世界に来てから5年前のキャラ崩壊してますよ。
あの、清楚でおしとやか系は一体どうしたんですか?
「あなたは年上への礼儀と言うというものを知らないようね」
「へ、へん。自分より頭の悪い人へ礼儀だなんて……ふぇ」
おう、さすがの沙耶も怯えてるわ。
さすがに今回のことは自業自得だから特には何も思わないのだけど。
「分かったわ。今日から私があなたにレディとしての教育をしてあげるわ。ええそうよ。最初からこうすればよかったのよ。生意気な子にはお仕置きってね」
「いたいれふ。ひゃめてくたふぁい」
美雪はいつの間にか沙耶の後ろに周り、両方のほっぺたをつかんで引っ張り始める。
全く。やっぱりこの二人は最初からこのような対面をする運命だったのかな。
こうして美雪と沙耶の初対面は最悪の形で行われた。
ちなみに前の世界でも沙耶の口の悪さは酷かったため、同じようなことが起こっている。
あのときは上条や、他の仲間達がいたから止められたが今回は俺1人である。
どうやってこの2人を止めようか。
今の俺はそのことで頭を非常に悩ましていた。
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