学校での再会
俺と美雪は高校の校門をくぐり、1年A組の教室に向かう。
元々俺と美雪の通う高校は私立の高校であり、結構な人数の生徒が通うマンモス校である。
俺らみたいな一般で入ってきた他にスポーツ推薦や、一芸入試で入る奴も数多くいる。
俺は美雪と教室に入るとお互い親友の所へと向かった。
そして美雪は教室に入るやいなや涙を流していた。
無理もない。
今まで死んでいった親友が生きていてこちらに笑顔を振りまいているのだ。
むしろ泣かない方がどうかしているだろう。
「おはよう、雄二。珍しいな、お前が安城さんと一緒にいるの」
「たまたまだよ。そこの通学路であったから少し話していただけだ」
こうして俺に向かって気さくに話しかけてくるのは親友である葛城尚道である。
眼鏡をかけてとても理知的に見えるが、実際はあまり何も考えていないバカだ
彼はこうしていつも俺をからかってくるが彼の明るさにはよく助けられた。
いつも俺がへこたれそうな時はいつも彼が明るく励ましてくれた。
「でも、お前が今まで安城さんと話している所とか見たこと無いんだがな」
「それは……」
そうだった。この時代の俺はまだ美雪とは仲良くはない。
お互いクラスにこんな人いるんだぐらいの認識だった。
もしかしたら美雪は俺のことを知らなかったかもしれない。
「雄二も隅に置けないな。お前も安城さん狙っているのか?」
「狙ってないよ。それに安城さんが俺みたいなのに振り向いてくれると思うか?」
「それもそうだな。で、彼女とはどこまで言ったんだい?」
「だから、俺と彼女は何もないって言ってるだろう」
こいつは俺の話を聞いていなかったのだろうか。
さて、美雪と関係を俺はどう説明するべきか……。
「その話、詳しく聞かせてもらおうか」
そう言いながら、こちらに迫ってくる一つの影があった。
身長は180位ある金髪の男である。
(こいつはたしか2-fの由良健一郎か……こいつって厄介なんだよな)
彼は安城美雪のことが好きで、アウトブレークが起きる前までも2人で付き合っていたはずだが……。
「(たしか、あのときは由良が美雪を見捨てて逃げたんだよな)」
あのときのゾンビに囲まれた美雪を見る由良は最低だった。
俺がサブマシンガンを持っていたから何とか助けられたが、一歩間違っていたらどうなっていたことか。
考えただけでもぞっとする。
男だったら好きなやつぐらい自分で守れってんだ。
「お前、安城さんと一緒に登校したんだよなぁ?」
「たまたま通学路であっただけですよ。僕としては特に何もしていません」
「本当かぁ~? お前嘘ついてんじゃないだろうなぁ」
由良先輩はすごんで俺のことを見るが、正直うっとうしい。
なんで皆こんな俺に注目をするんだ。
「嘘ついてませんって。第一、僕みたいな男に安城さんがなびくはずがないでしょ」
「それもそうだな……お前、次安城さんに近づいたら問答無用でお前を殺すからな」
「分かりました。善処します」
そういうと鼻を鳴らして由良は美雪の方に寄っていった。
周りに集まった女子が由良の登場に引いて行く中、美雪は明らかに冷めた目線で由良の方を見ている。
無理もない。
アウトブレーク時自分を殺そうとした相手に愛想を振りまくのが無理というものだ。
「そういえば由良先輩って安城さんのこと好きならしいよ」
小声で尚道は俺の方に声をかける。
だがその情報はすでに美雪から聞いているし、もっというとこれから2人が付き合った後のことも全て知っている。
「知ってるよ。それにあいつの気持ちも」
「あいつの気持ちって何のこと。もしかして安城さんのこと?」
やばい、うっかり口が滑ってしまった。
「さぁな誰のことだろうな。俺はそんなこと全く知らないからどうでもいいだろう」
「お前、何か知っているだろ! さぁはくんだ、さぁ、さぁ!」
この後尚道の追及は朝のホームルームが始まるまでまで続くことになる。
果たして、俺はこの後どうなって行くのだろうか。
俺は先行不安な未来を想像して、ため息をついた。
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