これからのこと
あの後俺は、口をあんぐり開けて驚いていた友梨亜に美雪のことを紹介する。
友梨亜は美雪のことをいぶかしげに見ていたが、何か変に納得をしたような顔をして先に学校の方へ向っていった。
去り際に「お兄ちゃん、後で詳しい話を教えてね」と言っていたので、後で弁解をしないと行けないのだろう。
考えるだけでも憂鬱なことである。
友梨亜が1人で学校に行ったため、現在美雪と2人で学校に続く通学路を歩いている。
「こうして、雄二と一緒に歩くのも久しぶりね」
「そうだな。こうして平和な道を歩くのは1年前の海辺だろうな」
「1年前って、今は過去に戻ってるんだから言い方が違うんじゃない」
「そうだったな」
そう、俺と美雪は帰ってきたんだ。
あの惨劇が起こる1年前に。
今まではずっと1人で戦ってきた。
だが今回は違う。
今回は美雪と言う仲間がいる。
「でさ、雄二はこれからどうするの?」
「どうするのって……何が?」
「あの、惨劇を逃れる方法について。雄二は何か考えているの?」
「あぁ……俺がやることは1つだ」
惨劇が起きた場合、少しでも被害が出ないようにする。
これがこれからの俺の行動指針となる。
「雄二はあの惨劇を未然に防ぐっていうのは選択肢にないの?」
「いや、それは回避できないみたいなんだ。前は北海道の研究所を壊滅に追い込んだが、その瞬間アウトブレークが発生した」
「その話は確か私がこっちに戻ってくる前の話よね? その後ってどうなったの?」
「地獄だったよ。こっちは武器すらもほとんど持っていないし、ついてきてくれた仲間もほとんど死んでしまった……ほぼ生き残りなんかいなかったさ」
俺はこの時自虐的に笑っていただろう。
あの時は地獄だった。
襲いかかってくる感染者達。
俺をかばって死んでいく仲間達。
その時は美雪や沙耶ですら感染者達に襲われて死んでいった。
最後にタイムリープを作成した奴は俺に『お主がこの未来を変えるのじゃ』と言われて、俺は過去におくられた。
あの時と同じことは起こしたくはない。
「じゃあどうするの?ただこのまま手をこまねいているだけじゃ昔みたいに……」
「それは俺には考えがある」
そうして、俺は美雪に対してこれからの話をした
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