5年後 プロローグ(後編)
今回は短いです
「行っちゃったんですね。」
私は1人でそう呟き、雄二先輩が座っていた席に行く。
6年前、友達のいない私に話しかけてきた優しい先輩。
私の我儘を何も言わずに聞いてくれた先輩。
そのせいでどれくらいの犠牲が起こったことか。
私が我儘を言わなかったらどれくらいの人が犠牲にならなかったのか。
そう思うだけで胸が苦しくなってしまう。
このタイムリープの装置はいわば私の罪を償う贖罪でしかない。
私が愛する先輩が過去に戻って今以上に人を救えるようにするためのものでしかない。
「雄二先輩。好きでした。先輩と居て楽しかったです。」
そういい、私は先輩の亡骸にキスをする。
その瞬間、今まで保っていた扉が決壊し、感染者がなだれ込んでくる。
私が振り向くと辺り一面感染者だらけ。
「悪いですけど先輩達の亡骸には一切手をつけさせません」
そう言い私はポケットにあった自爆スイッチを取りだした。
何かあった時ように屋敷中、特にこの部屋に仕掛けておいたのだが、それが功を奏したようだ。
「先輩達には指一本触れさせませんよ。神山沙耶の最後の輝きをこの目で見なさい。」
先輩ありがとうございました。
今まで楽しかったです。
あちらの世界でも沙耶のことをお願いします
私がボタンを押した瞬間、あたり一面に爆音が轟く。
それがこの世界における、神山沙耶の最後であった。
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これでプロローグが終了となります。